ガレリア・イスカ通信

galleriska.exblog.jp
ブログトップ
2010年 10月 01日

ロバート・メイプルソープ展の招待状「Galerie Pierre Huber」(1987)

a0155815_21425475.jpg

スイスのジュネーヴにあるピエール・フーバー画廊(Galerie Pierre Huber)で、1987年11月から翌88年の1月上旬にかけて行なわれたロバート・メイプルソープの写真展のヴェルニサージュへの招待状。1987年2月22日に胆嚢の手術の経過が悪く58才で急死したアンディ・ウォーホルの死の一年前の1986年に撮られた肖像写真が使われている。メイプルソープはこの写真を絹布にプラチナプリントで焼付け、それを十字形の特製フレームの中心に嵌め込んでいる。それはあたかもウォーホルというアイコンを祀るようにも見え、一時物議をかもした。トレードマークにもなった銀髪の鬘を着け、レンズを凝視するウォーホルの姿には何の演出も無く、素顔のウォーホルがそこに在るように見える。当然のことながら、この時点ではウォーホル当人に死の意識は微塵もないが、見るものが期せずしてウォーホルの肖像に何か不吉な影をみてしまうのは、1986年にエイズであることを宣告され、死への恐怖の秒読みが始まっていたメイプルソープの精神状態が、そこに投影されているに他ならない。メイプルソープの肖像写真は、被写体の人格の表象としてある通常の肖像写真とは違い、対象としての被写体の仮面を付け、そこに自己投影を行なうという、ある種のナルシズムによって画面を成立させており、ここに写し出されているウォーホル像は、自らの死の影を投影したメイプルソープ自身の自画像であるがために、結果として、ウォーホル像を死の影が纏わり付く予言的な肖像写真としてしまう結果になってしまったのである。

ウォーホルのこの肖像写真は、メイプルソープの主要な写真集には必ずといっていいくらい収録されているが、ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーで1988年に開催されたメイプルソープの写真展「Photographs by Robert mapplethorpe 1975-87: Mapplethorpe Portraits」の際に刊行された写真集の図版が、最も正確にデリケートな光の諧調を再現しており、ウォーホルの澄んた瞳は、巷間騒がれるスキャンダラスな側面とは別の、ひ弱ではにかみやの心を映し出しているように見える。

●作家:Robert Mapplethorpe(1946-1989)
●種類:Invitation
●サイズ:160x160mm
●技法:Offset
●発行:Galerie Pierre Huber, Geneva
●制作年:1987

a0155815_2143820.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2010-10-01 22:08 | ロバート・メイプルソープ関係 | Comments(0)


<< ロバート・メイプルソープ展招待...      ロバート・メイプルソープ展招待... >>