ガレリア・イスカ通信

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2010年 11月 02日

ロイ・リキテンスタインのポスター「Leo Castelli Gallery」(1963)

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1963年のレオ・キャステリ画廊でのロイ・リキテンスタインの展覧展を告知するために制作されたポスター。これはそのポスター・オリジナルス社(Poster Originals,Ldt.)ヴァージョン。レオ・キャステリ画廊が出版したオリジナルヴァージョンは、ポスター・オリジナルス社のものより薄い紙に印刷られており、画面の右枠下に小さく、「Leo Castelli Gallery・Lithographed by Total Color, New York」と記されている。また《CRAK!》のCの文字の下方部分に掛かる煙に色欠けがある。他にオリジナルヴァージョンからタイポグラフィーを省き、サインとナンバーを入れたものが300部ある。リキテンスタインの版画のカタログレゾネによると、ポスター・オリジナル社のものは背景のドットの色が黒となっているが、このポスターのようにオリジナルと同じ赤を使ったものも有り、限定部数は付されていないが、サインを入れたものも存在している。

2004年に名古屋市美術館で開催された「リキテンスタイン 版画の世界展」の図録によると、リキテンスタインはこのポスターのイメージを、1962年に刊行された漫画「星の戦争物語」(『その町は死にたくない!』より)の中の一場面から引用しているとある。漫画からのイメージの引用はその後多くの追随者を呼ぶことになり、リキテンスタインの漫画からのイメージの引用は1965年頃までに終わるが、漫画という大衆イメージを取り上げることになったには、印象派が浮世絵の平面的で奇抜な構図と色彩に影響を受けたのに近い動機が潜んでいたように思える。レオ・キャステリ画廊と契約する直前までのリキテンスタインは、抽象表現主義にぞっこんで、それを何とか物にしようと格闘していたが、何の下絵も用意せず、作家の内面から溢れ出てくる情念のようなものをキャンバスに叩き付けるように描く抽象表現主義のスタイルの表面的なものは取り込むことはできても、それを自己の血や肉と同じように一体化し体現することに活路をみいだすことは出来なかった。それは対象を分析、解体し、新たに構成することによってひとつの統一性を導き出すという、リキテンスタインが本来持っている気質には適しておらず、抽象表現的なスタイルで制作していた頃に素材として取り込んでいたこともある漫画という現代社会では見慣れたイメージを、ある種の社会的風景として使い絵画を創り出す決断を迫られことになったのは、1960年のキャステリ画廊訪問が失敗に終わったの後である。リキテンスタインは漫画を純粋絵画へのアンチテーゼとして掲げようとしたのではなく、実際は、まず自身が捕らわれていた絵画そのものから離脱しようとしたのであり、後にそれを解体・再構成し、自己の絵画として統合しようと試みた、と言った方が、リキテンスタインの立場に即しているのではないだろうか。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Poster
●サイズ:534x724mm
●技法:Offset lithograph
●題名:CRAK!
●出版:Poster Originals, Ltd., New York
●制作年:1964
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by galleria-iska | 2010-11-02 16:52 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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