ガレリア・イスカ通信

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2010年 11月 12日

ホルスト・ヤンセンの亜鉛版エッチング「Laatzen's Bilderbogen」(1966-1967)

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1966年から67年にかけてハンブルクの書肆へルマン・ラーツェンから順次刊行されたホルスト・ヤンセンの「絵草子」シリーズ全6点。亜鉛版エッチング=亜鉛凸版(Zinkätzung)による作品だが、見た目の判断でリトグラフと表記されることが多く、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が所蔵する三点(3,4,5)もリトグラフと表記されている。亜鉛版エッチングは古くはヴィクトリア朝の世紀末イラストレーター、ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley 1872-1898)のモノクロの挿絵の印刷に用いられた印刷方法(イギリスではライン・ブロックと呼ばれている)で、凹版技法のひとつであるエッチングとは逆に、描線部もしくはベタ部分以外を腐食し、木版と同じように凸部にインクを乗せ印刷を行なう。この技法は黒と白からなるコントラストの強い画面を作り出せるが、中間調の表現が難しく、絵画的な表現よりは、イラストレーションやポスターなど、グラフィックな表現に向いている。このシリーズでヤンセンは、1,2,3は主に白と黒の対比によってコントラストの強い画面を構成し、3.4.5も同じ技法を使いながらも、一本一本の線を細くし、それを平行して引くことで線の集合体を作り、白と黒の中間のトーン感じさせる工夫をしている。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Laatzen's Bilderbogen 1-6
●技法:Zinkätzung
●限定:1000
●発行:Hermann Laatzen, Hamburg
●制作年:1966-7
●サイズ:(1)619x439mm
      (2)625x435mm
      (3)623x438mm
      (4)635x448mm
      (5)639x446mm
      (6)637x446mm

ヤンセンの亜鉛版エッチングによるポスターと「絵草子」シリーズは、白と薄茶色の二種類の用紙を使って印刷されることが多く、このシリーズも二種類の用紙に印刷されているのだが、薄茶色の紙のものが市場に現われるのは稀で、今のところ確認できたのは1と2だけである。
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by galleria-iska | 2010-11-12 17:12 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)


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