ガレリア・イスカ通信

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2010年 12月 16日

平和のワイン「Mimmo Paladino」(2004)

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1970年代に現代美術を席巻したミニマルアートやコンセプテュアルアートに呼応し、日本の“もの派”との関連性が言われるのイタリア版コンセプテュアル・アートのアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)であるが、それを引き継ぎながらも、理論への行き過ぎとも思える盲従によって生じた制作の場での行き詰まりを打開する方法論として絵画的な表象の復権を即自的な感覚に求めたのが、“トランス・アヴァンギャルディア(超前衛)”といわれている。その中心的存在で、かつて3Cと呼ばれたキア(1946-)クッキ(1950-)、クレメンテ(1952-)ともに取り上げられる、南イタリアのパドゥーリ出身の画家、彫刻家、そして版画家でもある、ミンモ・パラディーノ(Mimmo Paladino 1948-)のデザインによる“平和のワイン”のラベル。

作家:Mimmo Paladino(1948-)
種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
サイズ:130x190mm
技法:Lithograph + embossing
発行:Cantina Produttori Cormons
制作年:2004

パラディーノを初めて知ったのは、1984年にロンドンのワディントン・グラフィックス(Waddington Graphics)から出版された4点組の大きなリノカット作品(*)を見たときで、それがネオ表現主義の絵画スタイルであることなど知る由もなく、純粋さや押さえ切れない情熱に突き動かされ、ある意味切羽詰ったような危機意識の感じられない、何かの焼き直しを思わせる、妙に違和感の残る作風が頭に残った。否、何か胸糞悪い気持ちに襲われた、と言った方が正確かもしれない。描くことへの感傷が、時代を1920年代まで時計の針を巻き戻す必要は、当時の日本人には理解でき得る範囲を超えていたのではないかと思える。ただ時代が、これが新しい潮流なのだと尻を叩き、前に押し出されてしまった、ということなのだろうか。現在は、そのような時代の要請からは距離を置き、生地にアトリエを構え制作しているという。

“平和のワイン”のラベルをデザインするにあたり、作家に求められるのは、ワインと平和のイメージを画面に盛り込むということ。パラディーノのラベルデザインは、縦長の矩形のなかに、神話の時代から平和の象徴されるオリーブの葉を冠のように巻き付けた人物の頭部(自画像か)と自らの署名とを組み込んだもの。傾いた水平線の上で転がり落ちそうな頭部を一点で支えている赤い玉が、葡萄の実ということになる。平和は葡萄(酒)によって保たれているということか。人物が片目を閉じているのは、避けられない瞬間への防御反応のように見えるが、何かの合図を送るときにする仕草にも見える。

(註)

*「A series of four linocuts」, 801 x 1216mm (31 1/2 x 47 7/8) on Fabriano Rosaspina paper 971 x 1355mm (38 1/4 x 53 3/8); printed by Giorgio Upiglio at Grafica Uno, Milan and published by the Waddington Graphics in an edition of 65 in 1984.

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by galleria-iska | 2010-12-16 19:31 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)


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