ガレリア・イスカ通信

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2013年 12月 19日

ホルスト・ヤンセンの絵草子「Laatzen's Bilderbogen: 2 Folge:Bogen II 1」(1967)

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図版:Laatzen's Bilderbogen: 2 Folge:Bogen II 1

18世紀後半、人間の骨格に基づく「外面の表情というものは、要するにそこから内面を識るためのものである」という類型学的な見地による観測によって、「道徳的に善であればあるほど美しく、道徳的に悪であればあるほど醜い」という主張を行ない、“観相学”を学問として確立しようとしたラファーター(Johann Kaspar Lavater, 1741-1801)の『観相学断片』(1775年-1778年)に対し、『観相学について:観相学者への反論』(1778年)を著し、感情表現によって人格を読み解こうとする“感情表出学”を提唱した18世紀ドイツの物理学者ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(Georg Christoph Lichtenberg, 1742-1799)はまた、格言家としてもその名を残しており、画家ホガースの版画研究でも知られている。これはそのリヒテンベルクをテーマにホルスト・ヤンセン(Horst Janssen, 1929-1995)が亜鉛版エッチング(Strichätzung)で制作した絵草子「Lichtenberg's Bilderbogen」のひとつとしてを作られたもので、出版元は1960年代にヤンセンの書籍や亜鉛版エッチングによる作品を数多く出版したハンブルクの書肆ヘルマン・ラーツェン(Hermann Laatzen, Hamburg)。

画面の中央には、リヒテンベルクの肖像なのであろうか、アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo, 1527-1593)にも通じるかもしれない幾つも生き物が組み合わさって合成された複雑・怪奇な様相を見せる頭部が描かれているように見えるのだが、いまひとつ判然としない。というのは、まだ実物を目にしていないからであるが、さらにそこに騙し絵的な要素が加わることで、画面は一層複雑化し、見る者の理解を妨げようとする意志さえ感じさせるが、そのエニグマと化した図像とは対照的に、画面右下には、すぐにそれと判るヤンセンの自画像が描き込まれている。ヤンセンは、かつてレンブラント(Rembrand van Rijn, 1606-1669)がそうしたように、目撃者として加わり、また創作者の証として、画面に自身の肖像を残そうとしているようである。このポスターについては、これまで何度かドイツのネットオークションで入手を試みたが、常に今一歩(100円そこそこの差)ところでライバルに持っていかれるという、なんとも悔しい思いをしている。次回運良く入手することが出来たら、画面を仔細に観察してみたいと思う。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Plakat
●題名:Laatzen's Bilderbogen: 2 Folge:Bogen II 1
●サイズ:637x444mm
●技法:Strichätzung(Zinkätzung)
●限定:1000
●発行:Hermann Laatzen, Hamburg
●刷り:Hans Christians, Hamburg
●制作年:1967

その他の作品には以下のものがある。

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Laatzen's Bilderbogen: 2 Folge:Bogen 1A
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Laatzen's Bilderbogen: 2 Folge:1. Bogen (印刷に使われた紙には、白い紙と無漂白の紙の二種類あり、画像は後者のもの)
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by galleria-iska | 2013-12-19 19:20 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)


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