ガレリア・イスカ通信

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2011年 04月 06日

ノワーズ「Revue Noise No.1」

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「Noise(ノワーズ)」誌は、マーグ画廊の創業者であるエメ・マーグ(Aimé Maeght, 1906-1981)の死後俄かに浮上した後継問題が一段落着いた1985年に、デリエール・ル・ミロワール誌を引き継ぐ形で創刊されたマーグ画廊の新しい美術誌。編集には、洋画家の黒田重太郎をおじに持ち、マーグ画廊初の日本人契約作家となった黒田アキ(Kuroda Aki, 1944-)氏を起用し、作家の目を通して現代美術を捉える、という新機軸が打ち出された。題名となった「ノワーズ」はフランス語で“喧嘩”や“諍い”を意味し、後継問題での騒ぎを想起させるが、実際は、黒田氏の友人であるフランスの哲学者、ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の『ノイズ論』(1)に依拠している。1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行された。

「ノワーズ」は、オリジナルのリトグラフを中心に、デッサン、写真、詩およびテキストで構成されており、ラナ紙に刷られた限定2000部の普及版とアルシュ紙に刷られた限定120部のサイン入り特装版がある。

表紙カットは黒田氏によるもの。創刊号ということで、遠慮気味に描いているように見えるが、この後、号を追う毎に変化していく様は見もの。

●種類:Revue d'art
●題名:NOISE No.1
●技法:Lithograph
●サイズ:370x270mm
●限定:2000
●発行:Maeght Éditeur, Paris
●発行年:1985
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ノワーズの創刊の案内と購読申込書。

註:
1.巻頭にミッシェル・セールの次のような言葉が掲げられている:
「Noise: le seul mot positif pour dire un état que nous ne désignons que par des termes négatifs, comme le désordre」

中沢新一氏によると、「ノワーズ、古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノワーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている。」 中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹-より抜粋

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by galleria-iska | 2011-04-06 21:13 | 図録類 | Comments(0)


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