ガレリア・イスカ通信

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2011年 06月 03日

ルネ・マグリットのポスター「Salon de Mai」(1965)

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毎年5月にパリで開催されるサロン・ド・メ(Salon de Mai=五月の展覧会)は、パリがドイツ軍の占領下にあった1943年、ナチズムや退廃芸術の宣告への抵抗として、パレ・ロワイヤルのキャフェにおいて、批評家のガストン・ディールGaston Diehl, 1912-1999)を中心に、当時前衛的な創作活動を行なっていた画家、彫刻家、版画家らによって創設されたもので、第一回の展覧会は1945年に開催された。展覧会は招待出品制を採っており、出品作家による公式ポスターも見所のひとつと言える。

このポスターは、マグリットが1965年5月にパリ市立現代美術館で開催された第21回「サロン・ド・メ」の公式ポスターとして制作したもので、マグリット唯一のオリジナル・リトポスターであるが、「大家族」に描かれた鳥や季節を示す若葉のシルエットの中に描かれている木々に奥行き・現実感が乏しく、画面全体が平面的な図案にように見えてしまい、マグリット絵画の特徴である異空間の表出に成功していないように思われる。そのため、同じ年の12月から翌年2月にかけてニューヨーク近代美術館で開催された大規模な回顧展の告知用にマグリットの原画「L'idole(偶像)」をもとに作られたもう一点のリトポスターの方が人気があり、市場価格も高くなっている。しかしそれにはマグリットの版画制作に関する事情を考慮しなければならない。マグリットが版画制作に関わるのは1960年代に入ってからで、最初の作品を制作したのは62才とかなり高齢になってからのことである。それはポール・デルボーにも言えることで、マグリットの創作活動ももっぱら絵画制作にあり、晩年はブリュッセル周辺での活動に限られ、また版画制作を行なう環境が回りに整っていなかったことで、銅版画やリトグラフの技術を習得する機会を逸してしまったのである。そのためマグリット自身が制作したオリジナル版画は、エッチング3点とリトグラグ2点の計5点であり、版画用に下絵を描いた作品を含めても20点しかない。

同じイメージのリトグラフも作られている。限定107部。ペンによる署名と限定番号。

●作家:René Magritte(1898-1967)
●種類:Poster
●サイズ:655x465mm
●技法:Lithograph
●限定:ca.850
●発行:Musée d'Art Moderne de la Ville de Paris
●印刷:Mourlot
●制作年:1965
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註:
1.ポスターの刷りを行なったのは、ピカソやマチス、ブラックの刷り師であったアンリ・デュシャン(Henri Duchampes)。




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by galleria-iska | 2011-06-03 23:10 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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