ガレリア・イスカ通信

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2011年 08月 18日

アンリ・マチスの展覧会図録表紙「Peintres témoins de leur temps II:Le Dimanche」

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前にフランスを代表するサロンのひとつである「時代の証人・画家展」の招待状を取り上げたときに、第二回展のためにアンリ・マチス(Henri Matisse, 1869-1954)がデザインしたポスターを紹介したことがあるが、今回はその図録。マチスは必ずしもデザインに関心があった訳ではないが、その絵画における線の単純化と純粋な色面を強調した絵画を追及する中で、デザインを成立させるための要件や思考を会得していくこととなり、絵筆を握って描けなくなる中で選択した切り絵という手法において、ある意味皮肉にもデザイナーとしての資質を開花させることとなったと言える。

マチスは最晩年にあたる1952年に、翌年開催予定の第二回時代の証人・画家展の告知用ポスターと図録の表紙のためのデザインを依頼される。マチスは第二回展のテーマである“日曜日(dimanche)”を図像ではなくレタリングの形で盛り込んだデザインを行なっているが、“純粋な式面の強調”を旨としてきたマチスに相応しく、フランスの国旗や南仏の陽光を思わせる明るい色彩を使った単純な色面を組み合わせで画面を構成している。対角線上に引かれた朱色のストライプによって画面は左右に二分され、人為的な形象である《dimanche》という文字を造形的な形体へと変容させ、それと植物の有機的な形体を対比させるように配置しており、左右の色価のバランスを保っている。ポスターでは、対角線上に置かれた朱色のストライプの上に二種類の書体で構成されたレタリングを小分けに配置することで、リズム感を生み出しているのだが、このようなレタリングの配置の仕方はこの時代の感覚には非常に斬新に思えたであろう。図録の方は、告知に必要なレタリングは省かれ、展覧会の題名だけになっている。関係者向けに作られた特装版では通常、別刷りのものが口絵として綴じ込まれることになっているのだが、第二回展の図録では、当初から装丁を意識したデザインを行なったマチスの意向であろうか、通常版と同じように表紙として使われている。ただし、用紙は厚手のものに変えられ、通常版のような裁ち落としではなく、表紙の四方が内側に折り込まれるフランス表紙になっている。

●作家:Henri Matisse(1869-1954)
●種類:Catalogue
●題名;:Peintres témoins de leur temps II:Le Dimanche
●サイズ:208x134mm
●技法:Lithograph
●限定:200(H.C.)
●発行:Musée d'Art Moderne de la Ville de Paris
●制作年:1953

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告知用ポスター。
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出品作家の一人であるアントニ・クラーヴェの紹介:右ページに自画像と出品作品、左ページには図録用に描いたデッサンが掲載されている。





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by galleria-iska | 2011-08-18 16:20 | 図録類 | Comments(0)


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