2011年 12月 09日
マン・レイに特に執心していた訳ではないが、今から二十七、八年ぐらい前に、ポール・エリュアール(Paul Éluard, 1895-1952)の二人目の妻ニュッシュ(Nusch, 1906-1946)のヌード写真が挿絵として使われているエリュアールの詩画集『容易(Facile)』(1935年刊)(1)に心惹かれ、何度か注文を試みたことあるが、落手には至らなかった。その頃のパリの古書店の価格は、通常版で5000フラン(約12万円)ぐらいだったと思う。現在は3700ユーロ(約38万)ぐらいか。 それから暫らくして、「現代芸術の予言と魔術-マン・レイ展」という大規模な展覧会の会場で『容易』を発見し、またぞろ所有欲が沸き起こったが、どうもマン・レイよりも被写体であるニュッシュに惹かれていただけのような気がする。もう少しマン・レイのことを知っておくべきかもしれないと思い購入したのが、1963年に刊行されたマン・レイの自伝「Self Portrait」。初版本であったが、状態があまり良くなかったので、5ドルぐらいで入手することができた。表紙には、マン・レイが1941年に撮影した自画像をもとにしたイメージが使われているが、装丁のために幾分上部が切り詰められている。この写真は1947年にリトグラフ、1972年にはシルクスクリーンに置き換えられ、版画作品として限定出版されているので、自伝の表紙にはリトグラフのイメージが使われたということになるのだろう。裏表紙はマン・レイの手形。 ●作家:Man Ray(1890-1976) ●種類:Autobiography ●サイズ:240x160x40mm ●出版:Little, Brown and Company, Boston, Toronto, 1963 註: 1.20世紀に出版された写真集の意義と価値を標準化するために書かれたアンドリュー・ロス(Andrew Roth)の『The Book of 101 Books - Seminal Photographic Books of the Twenties Century』には、"A fluent but not at all facile collaboration between the poet, the photographer, the model and muse, and the publisher"と紹介されている。
by galleria-iska
| 2011-12-09 23:32
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