ガレリア・イスカ通信

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2011年 12月 22日

フランチェスコ・クレメンテの挿絵本「The White Shroud」(1983)

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1960年代初頭にインドのペナレスに数年間隠棲した経験のあるアメリカのビート・ジェネレーションを代表する詩人、アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg, 1926-1997)と、イタリアのナポリに生まれローマ大学で建築を学んだ後アーティストとなり、1973年から79年までマドラスを制作の拠点としていた画家、フランチェスコ・クレメンテ(Francesco Clemente, 1952-)とのコラボレーションによる挿絵本「白いかたびら(The White Shroud)」は、1984年にバーゼルのクンストハレで開催されたクレメンテの個展の際に発行された。本の印刷と装丁は、クレメンテが制作の拠点としていたインドのマドラスで行なわれている。表紙にはインドの手織綿布が使われ、赤、紫、青、緑の四色の綿布が用意された。題字は金箔押し。この本を購入した古書店の話では、インドから船便で輸送中に相当数が湿気によるダメージを受けた為、残っているものは少ない、というものであったのだが...。

ギンズバーグによれば、夢の中で母親のナオミ(Naomi Livergant Ginsberg, 1894-1956)-有能な教師である一方で熱心な共産主義者で、ギンズバーグをしばしば集会に連れて行くが、後に精神病を患い入院してしまう-に対して抱いていた相反する感情を解決する詩「白いかたびら」は1983年10月5日の朝5時30分から6時35分の間にベッド脇で最初ノートに記され-その詩にインスパイアされクレメンテがペンと鉛筆と水彩によるドローイングを制作-同じ年の12月20日の午後、クレメンテのフォリオ(445x679mm)に書き改めた、とある。クレメンテは1980年、マドラスでの制作を切り上げ、ニューヨークに初めて滞在し、1983年には家族と共に定住を決めている。

クレメンテの絵画にはいわゆる絵画的な実在性を構築するための構造がなく、クレメンテの意識の変遷を垣間見せるかのように、時間の揺らめきに中に漂う視覚的な断片が、エーテル状の夢幻的空間の中に浮び上がり、やがて消えていく。そのような表現方法は、クレメンテの、聖と俗、生と死が一井の生活なかで日常的に隣り合うインドでの体験が反映されたものと言えるのかもしれない。つまり我々が目にしている現実社会は大いなる幻影に他ならず、地上にある真実とは、聖なる死と俗なる生以外には何もない。

●著者:Allen Ginsberg(1926-1997)
●挿絵:Francesco Clemente(1952-)
●種類:Illustrated book
●サイズ:400x311mm
●限定:1111
●印刷:Kalakshetra Publications, Madras, bound in green hand-woven cotton cloth
●制作年:1983

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口絵。シルクスクリーンによるオリジナル
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by galleria-iska | 2011-12-22 16:15 | その他 | Comments(0)


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