ガレリア・イスカ通信

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2012年 01月 26日

フィリップ・モーリッツ展図録「Mohlitz Engravings」(1973)

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フランスはボルドー出身の銅版画家フィリップ・モーリッツ(Philippe Mohlitz, 1941-)のアメリカへの紹介は、ニューヨークのコロンビア大学のフランス館を会場にして行なわれた1972年のエッシャーとの二人展が最初のもので、翌年には同じ会場を使って最初の個展(4月16日~5月4日)が開催されている。この二つの展覧会を企画したのは、当時未だ自宅をショールーム(Fitch-Febvrel Gallery)にしていたニューヨークの版画商アンドリュー・フィッチ(Andrew Fitch)で、1973年の個展の際にはリーフレットを制作、自ら紹介文を書いている。一方、日本にいち早くモーリッツの銅版画を紹介したのは、当時東京芸術大学の教授を務めていた銅版画家の駒井哲郎(1920-1976)で、1971年に渡欧した際、オールドマスターから現代作家までの版画とデッサンを得意とする1876年創業の老舗版画商、ポール・プルーテ画廊(Paul Prouté S.A.)でモーリッツの1967年の銅版画「深淵(Les Abysses)」を購入し、帰国後、芸大の版画研究室で披露している。それから二年後の1973年の11月、日本で最初の個展が東京銀座の番町画廊で開催され、「深淵」やリーフレットの表紙に使われている「36人の登場人物に攻撃される英雄」などが展示された。美術の諸要素を最小限の単位で形成するというミニマル・アート全盛の時代に、過去への退行としか思えないエングレーヴィングという表現法を持って現われたモーリッツは、そのアナクロニスムを逆手に取り、芸術が持ち得る本来的な意味での想像力に満ち溢れた作品を創り出した。

●作家:Philippe Mohlitz(1943-)
●種類:Leaflet
●サイズ:190x230mm
●技法:Offset
●発行:The Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1973

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by galleria-iska | 2012-01-26 15:53 | 図録類 | Comments(0)


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