ガレリア・イスカ通信

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2012年 03月 06日

デイヴィッド・ホックニーのポスター「The Nineteenth New York Film Festival」(1981)

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1980年代初頭に起こった日本のアートポスター・ブーム。その最大の立役者は、ポップアートを経験しつつも、アメリカ西海岸の明るい陽光に魅せられ、イギリスから移住したデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)である。ホックニーが制作した数々のポスターは、それまで多くの日本人が抱いていた芸術の事大主義的な重々しさや難苦しさ、あるいは現代美術の難解さから、見る側の視点を解放し、都市に住む若い世代の時代感覚とマッチしたその卓越したデッサン力と明るい色彩による画風は、軽薄・単調と揶揄されながらも、アートを気取らずに飾るという喜びを創出したのである。1960年代からホックニーの版画作品の版元であったロンドンのピータースバーグ・プレス社が制作・発行した大振りサイズのポスターが、まずは東京でのアートポスター・ブームに火を付けた。それらの多くは、ホックニーが制作した絵画作品を原画として用いた複製ポスターであったが、ホックニー自身がイメージの選択を始め、レイアウトやタイポグラフィーといったデザインにも積極的に関わり、通常の複製ポスターとは一味違うポスターに作り上げたのである。第19回ニューヨーク・フィルム・フェスティバルの開催を記念して作られたこのポスターも、ロンドンのピーターズバーグ・プレス社から発行されたものであるが、原画はホックニーが1970年に制作した「Window, Grand Hotel Vittel」という題のクレヨン画で、サイズは約43x35cmとそれ程大きくない。ホックニーはそれを大きく拡大することで、もとあったイメージとは異なる視覚体験をもたらす効果を、ピーターズバーグ・プレス社での一連のポスター作りに取り入れている。

このポスターは、1983、4年頃にピーターズバーグ・プレス社から取り寄せたポスターのうちの一枚であるが、ケースに入れて保管していたので、退色はないが、紙が幾分変色してしまった。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Poster
●サイズ:990x690mm
●題名:Window, Grand Hotel Vittel, 1970
●技法:Offset
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1981
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画面右下の部分。題名、モノグラムサイン、年記が記されている。
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シート下部。
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by galleria-iska | 2012-03-06 16:02 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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