ガレリア・イスカ通信

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2012年 03月 29日

平和のワイン「Robert Rauschenberg」(1997)

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ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg, 1925-2008)といえば、ジャスパー・ジョーンズとともにネオダダを代表する作家であるが、版画やポスターの制作にも積極的に取り組んだ作家のひとりである。2001年にはプレステル出版(Prestel Veralg, München / Berlin / London / New York)からポスター集「RAUSCHENBERG Posters」も刊行されている。ラウシェンバーグは、アメリカ政府の大きな肩入れによって、1964年にヴェネツィア・ビエンナーレで最優秀賞を受賞し、画家としての名声を確立するが、その前年に、版画工房のユニバーサル・リミテッド・アート・エディションズ(ULAE=Universal Limited Art Edtions)とのコラボレーションで制作したリトグラフ作品「アクシデント(Accident)」が、1955年から隔年開催されている版画専門の国際展としてはもっとも歴史が古く権威のあるリュブリャナ国際版画ビエンナーレでグランプリを受賞し、一足先に版画家としてその存在が認められている。それは1962年からコンバイン・ペインティングと並行して始まったシルクスクリーン・ペインティングによる創作活動のひとつの成果であり、それ以後、ラウシェンバーグによって選択された時事的な話題とそれとはおよそ関係ないように見える古典絵画などの写真のイメージをコラージュ風に組み合わせた作品制作において、絵画と版画、さらにはポスターの制作が、並行して進んでいくこととなる。

さてラウシェンバーグと「平和のワイン」の関係であるが、「平和のワイン」の生産が始まった1985年、ラウシェンバーグは、世界の平和と理解(world peace and understanding)を促進するために、世界の芸術家と共同制作して展覧会を行なう「ラウシェンバーグ海外文化交流(Rauschenberg Overseas Culture Interchange)」(ROCI=ロッキー)を設立し、「平和のワイン」の趣旨とも繋がる活動を行なっている。それが縁かどうかは判らないが、ラウシェンバーグは1997年のラベル(エティケット)のデザインを委嘱され、グラスの中で凍りつくワインとその細い足に絡みつく錠前という、サスペンス・ドラマを予感させるような構図で、現実世界で繰り返される暴力と脆く壊れやすい平和の関係を浮き彫りにしている。このデザインは我々の知るラウシェンバーグのスタイルとは異なる印象を受けるが、平和を希求するメッセージとして各国元首に贈られる「平和のワイン」の中では、辛口のものであるようだ。

●作家:Robert Rauschenberg(1925-2008)
●種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
●サイズ:130x190mm
●技法:Lithograph + embossing
●発行:Cantina Produttori Cormons
●制作年:1997
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by galleria-iska | 2012-03-29 20:30 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)


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