ガレリア・イスカ通信

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2012年 06月 12日

キース・ヘリングのカバー・アート「Sylvester:Someone like you」(1986)

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1988年12月16日にエイズによる合併症で亡くなったシルヴェスター(Sylvester James, 1947-1988)は、ファルセット・ヴォイスが売りのオープンリー・ゲイの黒人ディスコ、ソウル・シンガーであったが、彼がメジャーレーベルのワーナー・ブラザーズ・レコードからリリースした唯一のLPアルバムが「Mutual Attraction 」(Warner Bros. Record Inc.,1986)で、それが彼の遺作となった。同じ年にリリースされたこの12インチ・シングル・レコード(MAXI SINGLE )には、アルバム収録曲の「Someone like you」の四種類のヴァージョンが収録されており、内二つのミックスを、キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)も足繁く通ったクラブ、パラダイス・ガラージ(Paradise Garage)(註:1)で10年間専属のDJを務めたラリー・レヴァン(Larry Levan/Lawrence Philpot, 1954-1992)が手掛けており、1984年にこのクラブで26才の誕生日を祝う第一回"Party of Life"を開いたヘリングがカバー・アートを担当している。ヘリングがこのアルバムのために描いたオリジナルのドローイングは、シルクスクリーンで印刷され、オリジナルのグラフィック・アートとして十分通用する出来栄えである。ただ、レコードとして買うか、アートとして買うかによって、その意味するところは随分違ってきそうではあるが。近年、カバー・アートの評価とともにコレクターの数も増えてきており、ウォーホルやヘリングが手掛けたものの中には1000ドルを超えるものもある。例によって日本の美術界の反応は今ひとつのようであるが、現代美術の作家によるカバー・アートはいづれマルティプル・アートとして取り扱われるようになるのではないだろうか。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Cover Art
●題名:Sylvester:Someone like you (4ver)
●サイズ:315x315mm
●技法:Silkscreen
●レーベル:Warner Bros. Record Inc.
●制作年:1986
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註:
1.ウィキペディアによれば、1977年にオープンしたパラダイス・ガラージの客層は主にゲイの黒人であり、(オープン時にクラブの音響設計に関わった)伝説的なDJ、ラリー・レヴァンがプレイしていた。ラリーは幅広い音楽の知識を元にディスコ、ロック、ヒップホップ、ラテン音楽、ソウル、ファンク、テクノ・ポップなどありとあらゆる音楽を掛けて一晩中客を踊らせ、その有様はそこに集う客の熱狂を伴って殆ど宗教儀式のようであったと言われている、とある。
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by galleria-iska | 2012-06-12 18:58 | キース・へリング関係 | Comments(0)


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