2012年 07月 05日
アーティストポスターの魅力は作家の自由な発想によるイメージもさることながら、それと組み合わされるタイポグラフィの用い方も重要なポイントになる。一方、古くはアールヌーボーのポスターに象徴されるように、作家自身によるレタリングを用いた、ある意味完全なオリジナル・デザインポスターは、ポスターの機能的な役割を越え、ひとつの作品として成立する場合もあり得る。パウル・ヴンダーリッヒの初期のポスターにも、ピカソやマチス等と同じように、そのような例が幾つか見られる。1963年にヴンダーリッヒの契約画廊で版元のひとつであったハノーファーのブルスベルク画廊(Galerie Brusberg, Hannover)で行なわれた、ヨーロッパの現代美術作家が一堂に会した展覧会「Kunst & Knoll International」の告知用ポスターもその内のひとつであろう。このポスターでは、絵画的形象は、画面左側に描かれている個人としてのアイデンティティーをすべて剥ぎ取られた裸体の人物だけで、あとは全て、ヴンダーリッヒによる軟体動物を思わせる字体で描き込まれた展覧会情報や参加した作家の名前である。リトグラフの技法のひとつである解き墨(ラヴィ)を用いて濃淡を付けられた文字は、記号としての機能を残しつつも、人物像と同化し、また有機的な形象として画面に不思議な文様を作り出している。 ここで取り上げるのは、フランスのリト工房、デジョベールでリーヴ紙を用いて刷られた限定50部のもので、画面の右下余白に署名、左下の余白には限定番号が書き込まれている。 ●作家:Paul Wunderkich(1927-2010) ●種類:Poster(Plakat) ●題名:Kunst + Knoll International ●サイズ:690x520mm ●技法:Lithograph ●限定:50 ●紙質:BFK Rives ●発行:Galerie Brusberg, Hannover ●印刷;Desjobert, Paris ●制作年:1963
by galleria-iska
| 2012-07-05 19:26
| ポスター/メイラー
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