ガレリア・イスカ通信

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2012年 09月 04日

ミンモ・パラディーノのポスター「Galleria Lucio Amelio」(1989)

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イタリアのナポリにあるルーチョ・アメリオ画廊が発行する展覧会ポスターは、作家のオリジナリティを活かしたデザインと厚手の上質紙を用いた印刷で定評がある。画廊を設立したのは、現代美術のディーラー、プロデューサーとして名高い、ナポリ生まれのルーチョ・アメリオ(Lucio Amelio, 1931-1994)で、アメリオは1965年にルーチョ・アメリオ画廊の前身となるモダンアート・エイジェンシー(Modern Art Agency)を設立、1969年に画廊の重要な契約作家となるヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys,1921‑1986)と出会い、1971年にルーチョ・アメリオ画廊の名でイタリアで初めてボイス展を開催している。1980年にはウォーホルによるボイスの肖像画展を開催。その年の11月に起きた「イルピーニャ地震」を受け、自然災害に対抗する芸術の力を示すことを目的に、地震を題材とする作品コレクション"Terrae Motus(地震)"を企画、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、キース・ヘリング(Kieth Haring)、ギルバート・アンド・ジョージ(Gilbert & George)、ロバート・メイプルソープ( Robert Mapplethorpe)らの現代美術作家が作品制作に参加している。以前取り上げたメイプルソープ展のポスターに使われた聖母マリアの象徴である百合の花を持つ黒人のヌード「Dennis with flowers」は、メイプルソープがこの企画のために制作した5点の写真からなる組写真"The Annunciation (受胎告知)"の内のひとつ。

アメリオは国際的評価のある作家を扱う一方、戦後生まれの若い世代の作家にも目を向け、イタリアのトランスアヴァンギャルドの作家のひとりであるミンモ・パラディーノ(Mimmo Paladino, 1948年-)を積極的にプロデュース、1977年から1989年までに計5回の個展を開催している。そのパラディーノも他のイタリア人作家とともに"Terrae Motus(地震)"の企画に参加、1981年に「Re uccisi al decadere della Forza=King killed the decay of the Force」という題の絵画作品を制作している。

このポスターはパラディーノのアメリオ画廊での最後の個展の際に制作されたもので、アメリオ画廊のポスターの特徴である作家のオリジナル・ドローイングと最小限の情報だけを手書き文字で書き入れる方法でデザインされている。画面中央には、パラディーノの宗教的関心、あるいは鎮魂の意を表すためであろうか、五本枝の燭台が“火”を象徴するであろう赤一色で描かれており、背景には、この個展に出品されたオブジェ作品を思わせる、縦に等間隔に引かれた罫線の上に火山礫のような石が並べられた画像が使われており、それは西暦79年に起きたヴェスヴィオ火山(Vesuvius)の噴火に因むものではないかと思われる。

アメリオは“Terrae Motus(地震)”コレクションに続き、新たにナポリに因んだ作品制作を契約作家に依頼、1985年、先ずウォーホルがヴェスヴィオ火山の噴火を描いた作品(版画を含む)を制作、ナポリの街を見下ろす高台に建てられた古典美術を展示するカポディモンテ美術館を使って展示が行なわれた。次いでボイスがナポリで制作した遺作ともいえる「パラッツォ・レガーレ」の展示が行なわれたが、会期中にボイスが死亡したため、追悼展となり会期が延長された。パラディーノの作品もその企画に沿って制作されたものと思われる。その後も、クネリス、トゥオンブリー、ラウシェンバーグらの個展が開催されている。

●作家:Mimmo Paladino, (1948-)
●種類:Poster
●サイズ:688x487mm
●技法:Offset+lithograph
●発行:Galleria Lucio Amelio, Napoli
●制作年:1989
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by galleria-iska | 2012-09-04 17:02 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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