ガレリア・イスカ通信

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2013年 04月 06日

菅井汲の年賀状「Bonne et heureuse année!」(ca.1960)

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菅井汲(Sugai Kumi, 1919-1996)の年賀状は既に何度か取り上げているが、今回のものは初期の「書(Calligraphy)」を思わせるスタイルで制作されたもので、菅井が自宅のアトリエに石版用のプレス機を据え付けた1960年に制作された版画作品と共通の特徴を見い出すことが出来る。菅井はこのプレス機を用い、この年から翌年にかけて精力的に自ら刷りと出版を行なっており、それは、第二回東京国際版画ビエンナーレ(1960年)、第二回グレンヘン色彩版画トリエンナーレ(1961年)、第四回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ(1961年)といった国際版画展での入賞と結びついている。そんな中で制作されたであろうこの年賀状は、力強い筆触による記号性を孕んだ形象が、造形性の強い古伊賀のどっちりとしたフォルムを彷彿させるが、それは、菅井が本来意図したものかどうかは別として、彼の内なる日本的なものが無意識に発現したものといえようか。

●作家:Sugai Kumi(1919-1996)
●種類:Greeting card(Carte de voeux)
●サイズ:109x140mm(109x280mm)
●技法:Lithograph
●紙質:Arches
●発行:Sugai Kumi, Paris
●印刷:Sugai Kumi, Paris
●制作年:ca.1960
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年賀の挨拶 "Bonne et heureuse année! Kumi et Mitsuko Sugaï" 菅井は1956年にパリで出会った広島県出身の画家川本光子(Kawamoto Mitsuko, 1930-)と結婚しており、この年賀状の差出人も連名となっている。菅井夫人となった光子はその後、菅井光(Sugai Mittsu)の名で銅版画の制作を中心とする創作活動行なう。

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by galleria-iska | 2013-04-06 18:00 | その他 | Comments(0)


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