ガレリア・イスカ通信

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2013年 08月 03日

デイヴィッド・ホックニーの写真集「David Hockney Cameraworks」(1984)

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1983年にロンドンのヘイワード・ギャラリー(Hayward Gallery, London)で開催されたデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)の写真展「Hockney's Photograph」-この展覧会はその後、ヨーロッパ各地および日本に巡回(註1)-を機に1984年にロンドンのテイムズ・アンド・ハドソン社から刊行されたホックニーの写真集「デイヴィッド・ホックニー・カメラワークス(David Hockney Cameraworks)」。1948年創業の美術書やポスターの印刷を手掛けるイタリア ミラノの印刷所《Amilcare Pizzi, S.p.A., Milan》で印刷されたこの写真集は、本文に16世紀の書体デザイナーで印刷・出版も手掛けたクロード・ギャラモン(Claude Garamond, 1480-1561) が製造した書体を元にデザイン、鋳造されたタイプフェース、シモンチーニ(Simontini)(註2)を用いており、この年のコダック写真出版賞(1984 Kodak Photography Book Prize)を受賞している。

ポラロイド・カメラを用いて撮影された、ホックニーのペイントが施されたプールで泳ぐ人物を俯瞰的な構図で捉えた写真やプールサイドに寝そべる男性ヌードは、ホックニーの性的志向という非常に個人的な事柄を主題としているが、その一方で、永遠の一瞬という凍りついた時間の凝視を迫る写真とは異なり、ポラロイド写真の白い縁をグリッドとして用い、碁盤の目のように並べられた複眼的視点を思わせるた静止画像を連続して追うことで、様々な視点と動画のような時間の流れを追体験ことができる。このホックニーのポライド写真によるコラージュは、元はピカソのキュビスムからヒントを得たものであり、一つの写真を長い時間見えていることが出来ないというホックニーの写真にたいする不満を解消するために生み出された手法である。

そう言えば、もう何年もプールに出掛けていないし、中学生の頃は毎日のように出掛けていた海水浴場もすっかり御無沙汰である。多分、今年もプールにも海にも出掛けることはないと思うが、クーラーの無い蒸し風呂のような部屋の中に居ると生きる気力な萎えてしまいそうになるので、ホックニーの写真でも見ながら涼もうかと思い、取り出してきたのがこの写真集である。購入してから三十年近く経ち、本自体はところどころ傷みも出てきたが、いまなお見ることの楽しみを与え続けてくれる写真集である。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Photograph
●題名:David Hockney Cameraworks
●サイズ;310x308x30mm
●技法:Offset
●発行:Thames and Hudson Ltd, London
●印刷:Amilcare Pizzi, S.p.A., Milan
●制作年:1984
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註:

1.1986年に日本各地で開催されたホックニーの写真展「ホックニーのカメラワーク-Hockney's Photographs」の図録。表紙には上記写真集と同じイメージが使われている。
監修:小川正隆
編集:ホックニーのカメラワーク展図録編集委員会
制作:美術出版デザインセンター
発行:美術館連絡協議会/読売新聞社、1986年
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2.シモンチーニについて記された説明文。以下引用
Some of the most popular typefaces in history are those based on the types of the sixteenth-century printer, publisher, and type designer Claude Garamond, whose sixteenth-century types were modeled on those of Venetian printers from the end of the previous century. Later typefaces by Jean Jannon in the early 1600s were long wrongly attributed to Garamond. Between 1958 and 1961, the Italian foundry Simoncini issued its version of Garamond (actually based on Jannon's typefaces), designed by Francesco Simoncini and W. Bilz. More delicate in line and lighter in color than other Garamond/Jannon inspired typefaces, Simoncini Garamond is very versatile in display as well as text situations.

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by galleria-iska | 2013-08-03 16:23 | その他 | Comments(0)


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