ガレリア・イスカ通信

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2015年 05月 11日

ニキ・ド・サンファルの壁紙「Nana (Pink)」(1971)

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1950年代中頃にキネティック・アートを先導したジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925-1991)とヤーコブ・アガム(Yaacov Agam, 1928-)によって発案されたとされるマルティプルは、非常に安価でかつ広く流通させる意図を持って工業的に量産されたオリジナル作品。そのため希少価値の指標となる限定部数を持たない。この概念は1960年代以降、一般化していくこととなるが、今回取り上げるのは、ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)が1971年に制作した、彼女のトレードマークとも言える“ナナ(Nanas)”をモチーフにした壁紙、“アート・ウォールズ(Art Walls)”である。今手元にあるのは、ロール状で購入したものの巻き端部分。この切片には若干欠けがあるが、基本的にこの図柄が繰り返されている。色はピンク地とブラウン地の二種類。ニキは実際に自宅の壁に貼っていたようである。

“アート・ウォールズ(Art Walls)”は"The Swiss ART group"が1971年に立ち上げたプロジェクトで、当時ヨーロッパの著名な作家達(パウル・ヴンダーリッヒ、ジャン・ティンゲリー、ニキ・ド・サンファル、アレン・ジョーンズ等々)にオリジナル作品としての壁紙の制作を依頼。製造はドイツ ヘッセン州のキルヒハイン(Kirchhain)市にある1845年創業の壁紙製造メーカー、マルブルク社(Marburg → Marburg Wallcoverings)で行なわれた。1972年、ベルンの美術館(Kunsthalle Bern)の館長時代(1961年~1969年)の最後の年に企画した展覧会「態度が形になるとき(When Attitudes Become Form)」で従来型の展覧会のあり方に疑問を呈したハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann, 1933-2005)が若くして芸術総監督を務めた「ドクメンタ5(Dokumenta 5)」に出品され、大きな反響を呼んだ。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Wallpaper
●題名:Nana(Pink)
●サイズ:557x531mm
●技法:Silkscreen
●発行:The Swiss Art group
●製造:Marburg, Kirchhain
●制作年:1971
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壁紙の裏に押されたマルブルク社のゴム印。マルブルク社の社史によると、この壁紙の製品名は、"X-Art Walls"となっている。




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by galleria-iska | 2015-05-11 19:29 | その他 | Comments(0)


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