ガレリア・イスカ通信

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2015年 11月 21日

デイヴィッド・ホックニーのポスター「Ziegler Editionen & Grafik, Zürich」(1971)

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1960年代にポップ・アートの運動にも加わり、20世紀イギリス美術を代表する作家のひとりとなったデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)が1969年に制作、翌70年にロンドンのピーターズバーグ・プレス社(Petersburg Press, London)から出版された挿絵本「六つのグリム童話のための挿絵(Illustrations for Six Fairy Tales from the Brothers Grimm)」(註1)の展覧会のための告知用ポスター。スイスはチューリッヒにあるジーグラー出版(Ziegler Editionen & Grafik, Zürich)で行なわれた個展「David Hockney:illustrationen zu Grimms Fairy Tales」のためのもの。使われているのは、『ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)』(註1)という話の最期の場面を描いた「自分を二つに裂く(He Tore Himself in Two)」という題の挿絵である。原画はエッチングとアクアチントで制作されている。

「本当は恐ろしいグリム童話」を垣間見るような、”狂気”と“おぞましさ”が同居する画面。この挿絵をポスターの原画に選んだのはホックニー自身だったのか、あるいは主催者であったのか。いずれにせよ、肝心の画面を引き立てるデザインが成されておらず、ホックニーのオリジナル・ポスターとするならば、残念ながら見る者を惹きつける力に欠ける。そういうこともあって、30年以上前に購入したのだが、ずっとケースの一番底に下敷き代わりに入れてある。たまに出して見るのだが、また元の場所に戻ることになってしまう。

●作家:David Hocjney(1937-)
●種類:Poster
●題名:"He Tore Himself in Two"
●サイズ:910x640mm
●技法:Offset
●制作:Atelier M+M Baviera USG/SWB
●発行:Ziegler Editionen & Grafik, Zürich
●制作年:1971
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                          イメージ部分

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註:

1.ホックニーが挿絵を手掛けた六つの物語は以下の通り:

「あめふらし(The Little Sea Hare)」、「めっけ鳥(Fundevogel)」、「ラプンツェル(Rapunzel)」、「こわがることをおぼえるために旅にでかけた少年(The Boy who left Home to Learn Fear)」、「リンクランクじいさん(Old Rinkrank)」と「ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)」

2.「ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)」は、王様のために藁を黄金に変えなければならなくなった粉屋の娘は、小人の力を借りて藁を黄金に変える。王様の妃になった娘は、助けてもらったお礼に、最初の赤ん坊を小人にあげる約束をしていたが、王女が赤ん坊を渡すことをいやがると、小人は「自分の名前を三日以内に当てることが出来れば許してやる」という。三日目に、王女が焚き火の周りを踊る小人たちたちの歌から、小人の名前がルンペルシュティルツヒェンであることを当てると、怒った小人は自分のからだを引きちぎってしまう、という話。


参考文献:
「デイヴィッド・ホックニー版画 1954-1995」東京都現代美術館編、淡交社、京都、1996年
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by galleria-iska | 2015-11-21 13:21 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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