ガレリア・イスカ通信

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2016年 01月 11日

ニキ・ド・サンファル展のポスター「Nagoya City Art Museum」(2006)

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下流老人まっしぐらの身ゆえ、昨年の9月18日から12月14日にかけて東京の国立新美術館(The National Art Center, Tokyo)で開催されたフランスの画家、彫刻家、映像作家で版画も手掛けたニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)の回顧展「ニキ・ド・サンファル展」には出掛けることが出来なかったが、幸いにして、展覧会の企画に加わっているNHKの番組『日曜美術館』で特集が組まれ、その概要を知ることが出来た。今回の展覧会は、2014年にパリのグラン・パレ(Grand Palais-Galeries Nationale, Paris)で開催され、60万人の観客を集めたとされる大回顧展「Niki de Saint Phalle)要素を取り入れながらも日本独自の構成でと、微妙な言い回しを使い、大回顧展ではなく回顧展としているのだが、出品リストを見ると、結局のところ、Yoko増田静江コレクションからの出品が多く、何でも大げさに騒ぎ立てて耳目を集めようとするメディアの放つ謳い文句に踊らされた感も無きにしも非ずである。

日本国内でのニキの大規模な展覧会としては、今回程大きな話題にはならなかったかもしれないが、ニキが亡くなって4年後の2006年に、栃木県那須郡のニキ美術館(Niki Museum Gallery, Nasu, 1994-2011)とドイツのハノーファー市のシュプレンゲル美術館(Sprengel Museum, Hannover)の協力で開催された名古屋市美術館(Nagoya City Art Museum, Nagoya)での回顧展「ニキ・ド・サンファル展」(会期:2006年6月17日~8月15日)が先陣を切っている。こちらは招待券を頂いたので、なんとか観に行くことが出来た。これはその展覧会の告知用ポスター。使われているのはニキ美術館所蔵の「恋する鳥(L'oiseau amoureux) 」(1972年)で、撮影は故増田静江(Shizue Masuda,1931-2009)氏のニ男、黒岩雅志氏である。

常々思うのだが、グラフィック・デザイナーが手掛けることが多い日本の展覧会ポスターは、デザイン性に優れ、美しく(=無味無臭)作られてはいるが、パッケージデザインのようで、欧米の作家がデザインしたポスターのような、作家の生の個性が伝わってこないものが多い。それはポスターに盛り込む情報量の多さに起因しているのではないかと思われる。基本的には展覧会のタイトルと時と場所だけで事足りると思うのだが、役人仕事が入り込んでくるのか、ポスターが視覚言語としてではなく、文字情報の伝達手段と化してしまっている。このポスターでもそうだが、デザイナーの工夫によって目立たぬよう-自己矛盾!-に配慮されてはいるものの、これ以上の親切は無いというくらい事細かく記載してある。そのため、肝心の作家に興味を持たせ、観たいと思う気持ちを起こさせる機能が削がれてしまっている。それはつまり、情報伝達というポスターが本来持つ機能に拘泥するあまり、展覧会という行事が先行し、作家の創造性に対する理解と敬意を蔑ろにしてしまっていることに他ならない。ポスターは回覧板ではないのだ。ついでに言えば、多くの美術館では展覧会に先立ち、ポスターと同じデザインで、裏側には展覧会の案内と簡単な作品紹介が付いたA4サイズのチラシを用意しており、そちらは手に取って読むことができるのだから、ポスターの過剰とも言える文字情報は極力削るべきであろう。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Poster
●サイズ:728x516mm(B1)
●技法:Offset
●発行:Nagoya City Art Museum, Nagoya
●制作年:2006
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by galleria-iska | 2016-01-11 21:25 | ポスター/メイラー | Comments(0)


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