ガレリア・イスカ通信

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2016年 02月 04日

横尾忠則の装丁「The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo」(1968)

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「版画の国際的認識と普及向上」を目的に1957年に創設され、東京国立近代美術館と京都国立近代美術館を会場に隔年開催された国際版画展のひとつ東京国際版画ビエンナーレ展は、世界的に版画への関心が薄れた1979年の第11回を持って中止となった。展覧会の主催は、第一回(1957年から第4回(1964年)は東京国立近代美術館と読売新聞、第5回(1966年)と第6回(1968年)は国際文化振興会と東京国立近代美術館、第8回(1968年)から第10回(1977年)は国際交流基金、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、1979年の第11回は、国際交流基金、東京国立近代美術館、国立国際美術館、北海道立近代美術館の主催となっている。1966年にポスター作品がニュヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されたグラフィックデザイナーの横尾忠則(Tadanori Yokoo, 1936-)氏が告知用ポスター(随分前に手放してしまったので画像をお見せ出来ないのが残念である)、入場券、図録のデザインを手掛けた第6回東京国際版画ビエンナーレ展(The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo)は、家族の肖像写真を写真製版を用いたシルクスクリーンで印刷するという作品を出品した野田哲也(Tetsuya Noda, 1940-)氏が国際大賞を受賞したが、審査員たちの関心はむしろ、同じく家族の肖像写真やアレン・ジョーンズ(Allen Jones)とアントニオ・セギ(Antonio Segui)の作品図版を引用し、浮世絵やポップ・アート、サイケデリック・アートをも想起させる、西洋と日本の文化が混交するごった煮的画面を彩る蛍光色による鮮烈な色の対比が見る者の目に強烈に焼き付く、横尾ワール全開のポスターに向かい、「このポスターこそ国際大賞に値する」といった論評を呼び起こした。このポスターを特徴付けるのが、画面の外に意図的に残した色見本とトンボ(印刷工程で利用される目印)であるが、このような印刷工程をあえて示すことで、版画の本質である“版”というものの本質を提示、あるいは問う姿勢を示すという、グラフィック・デザイナー側からの挑戦であり、それは図録のデザインにも及んでいる。

出品者のリストの中には、アメリカの現代美術を代表するネオ・ダダの作家ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)とジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)、ポップ・アートのR.B.キタイ(R.B. Kitaj、ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)、ジェームズ・ローゼンクイスト(James Rosenquist)、エルネスト・トローヴァ(Ernest Trova)、そして彫刻家のルイーズ・ニーベルソン(Louise Nevelson)の名を見つけることができるが、アメリカ勢は振るわず(?)、受賞したのはローゼンクイストただひとりである。

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                         裏表紙

●作家:Tadanori Yokoo(1936-)
●種類:Book work
●題名:The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo
●サイズ:235x187mm
●技法:Offset
●発行:The National Museum of Modern Art, Tokyo
●印刷:Toppan Printing Co., Ltd.,Tokyo
●制作年:1968
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                     扉絵
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by galleria-iska | 2016-02-04 12:35 | 図録類 | Comments(0)


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