ガレリア・イスカ通信

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2016年 03月 19日

ホルスト・ヤンセンのポストカード集「12 Köpfe ohne Nägel」(1987)

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このブログでもたびたび取り上げるドイツの画家で版画家のホルスト・ヤンセン(Horst Janssen, 1929-1995)は、自らを“画狂人”と名乗った北斎を師と仰ぎ、いったん制作を始めると、寝食を忘れて制作にのめり込んでいく絵師であったが、また一方で、恐るべき“出版狂”でもあった。今回取り上げるのは、ヤンセンが1987年に出版したポストカード集「12 Köpfe ohne Nägel」である。このポストカード集の原画は、ホルスト・ヤンセンが1964年にハンブルクの“陸軍大尉ルイーゼ・ヘリング夫人(Frau Kapitän Luise Hering)”への彩色手本としてプライベートで制作し、1987年の出版まで一度も公にされなかった12枚の素描による絵葉書である。原画の所有者は、ホルスト・ヤンセンのハンブルク美術学校時代の同級生で、1954年から1975年までハンブルクのヴィルヘルム・ギムナジウム(Hamburger Wilhelm-Gymnasium)の美術教師の職にあった画家で版画家、彫刻家のベルント・ヘリング(Bernd Hering, 1924-2013)とその夫人。ヤンセンは素描を出版するにあたり、新たにカバーの装丁を手掛けており、1987年にヤンセンの画集の出版を数多く手掛けたハンブルクの出版社(Hower Verlag, Hamburg)から出版された。ヤンセンの描く肖像画は一癖も二癖もあるが、ここでも肖像を辛辣に戯画化したり、ダリ(Salvador Dali, 1904-1989)が用いたダブルイメージ(Double Image)の手法を取り入れて描くことで、人物の性格やその背景までも炙り出そうしている。ヤンセンのそのような姿勢の背景には、18世紀ドイツの実験物理学の教授で、スイスの牧師ラファーターが説いた観相学を痛烈に批判するなど、風刺家としても評価されているゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(Georg Christoph Lichtenberg, 1742-1799)への傾倒があったようである。

タイトルとなった"12 Köpfe ohne Nägel"は直訳すると、“釘(留め鋲)の無い12の頭部”となり、何か隠れた意味でもあるのかもしれないと思ったりもするが、絵葉書として制作されていることから、釘を使って壁に飾る必要が無いということなのかもしれない。絵葉書のサイズは原画の縦横比に合わせているので、まちまちである。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Postcard
●題名:12 Köpfe ohne Nägel
●サイズ:154x110mm
●技法:Offset
●発行:Hower Verlag, Hamburg
●制作年:1987

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by galleria-iska | 2016-03-19 20:47 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)


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