ガレリア・イスカ通信

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2016年 08月 20日

キース・ヘリングのステッカー「Dancing Flower」(1989)

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キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)が生み出したキャラクターの中では晩年のものとなる「Dancing Flower」(1989)は、このステッカーの他に缶バッジのものが知られている。キャラクターのアイデアの源泉となったかもしれないのが、株式会社タカラトミー(Takara Co., Ltd. → Tomy Company, Ltd., Tokyo)が1988年に発売、全世界でヒットした玩具「Flower Rock」(註1)という、音楽に反応して動く(踊る)鉢植えの花である。そうだとすれば、それは一種のパロディ表現と言えなくもないが、大量生産、大量消費を背景とする大衆文化を巧みに取り込んでいくポップ・アートの手法も垣間見れるのではないだろうか。そして何よりも、他の図像にも見られるように、ヘリングのクラブミュージックやヒップホップへの傾倒が読み取れるのだが、性的な意味合いをも含んでいるのかもしれない。花が記号としての重要な意味を持ったのは、消費文化に根ざしたポップ・アートに繋がっていく、ヒッピー文化やカウンターカルチャーを生み出したビートニクの詩人アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg, 1926-1997)が1960年代に提唱した平和的抗議活動に端を発する、フラワーパワー(Flower Power)と呼ばれる、花を平和と愛の象徴として用いたヒッピーの反戦運動が想起されるが、へリングにそのような思想的背景を重ね合わすことには多少無理があるかもしれない。

ステッカーのフォーマットは280x140mmと、やや大きめ。そこに直径95mmと88mmのものが各一枚、55mmのものが二枚の計四枚の「Dancing Flower」と、へリングの最もよく知られているアイコンのひとつ、「はいはいする赤ん坊(Crawling Baby)」が一枚組み込まれているのだが、それは無限の可能性を持つ赤ん坊と現在の姿が同居するへリングの自画像と捉えることも出来るかもしれない。四半世紀を経た今、缶バッジに比べて残存率は低いようで、近年はオークションへの出品も散見される。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Pop Shop Stickers
●サイズ:140x280mm(Format)/Stickers:95mm diameter x1, 88mm diameter x 1 and 55mm diameter x 2, all signed: © K. Haring
●技法:Offset lithograph
●発行:Keith Haring, New York
●制作年:1989
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註:

1.海外では「Rockin' Flowers」という名称で販売された。



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by galleria-iska | 2016-08-20 18:20 | キース・へリング関係 | Comments(0)


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