ガレリア・イスカ通信

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2017年 04月 24日

カリン・シェケシーの写真「Nude」(1993)

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紙に直接文字を書くことが減ったことも原因のひとつとしてあるかもしれないが、記憶がこんがらがる事が増えている。自分はこれで間違いないと思っていることが、それとは別の事柄と引っ付いて、新しい事実として脳にインプットされてしまっているから厄介である。思い込みというやつであるが、妄想癖がそれに拍車を掛けているようだ。自分の言うことが信用し難くなっている。

テクノロジーの進化により銀量の減った銀塩写真の物質性が失われていったように、カラー写真も印画紙の生産がデジタル用のものに置き換えられていく中で-それはある意味概念の言語化の過程と似ているのかもしれないのだが-何かが確実に失われていくに違いない。我々が未だアナログ的な行為として愉しんでいる食べるという行為も、生命の維持という本質的な意味に還元するならば、宇宙飛行士が摂っていた宇宙食を更に進化させ、生命維持のための栄養分の補給と満腹感を得るための何らかのカプセル(サプリメントとしてあるものの応用)の摂取と仮想現実との組み合わせによって、和食であれ洋食であれ、プログラミングされた料理を堪能することが出来るようになるのではないだろうか。そうすれば食料生産のための途方もない労力が必要なくなるとともに、人類を飢餓から解放することが可能となるかもしれない、と書いたところで、2022年の世界を描いた1973年公開のアメリカ映画「ソイレント・グリーン(Soylent Green)」を思い出してしまった。快楽に虚しさを覚え、苦痛に希望を見出す。昨今の社会情勢を見ていると、人類は再びカタストロフを求めているのかもしれない。

女性のヌード写真において独自の表現スタイルを築いたドイツの写真家カリン・シェケシー(Karin Székessy,1938-)さんから頂いた(?)小判サイズのカラー写真(C-Print)。プレゼン用に焼いたものかもしれない。小道具にロープを使った写真のうちのひとつであるが、題名は不明である。いわゆる緊縛写真を意図したものではなく、動きを与えたモデルを低速シャッターで撮ることでブレを生じさせ、カラー写真ではあるが、濃紺のトーンによるモノクローム調に仕上げることで、幻想的な表情を創り出している。

●作家:Karin Székessy(1938-)
●種類:Photograph
●サイズ:156x111mm(Image:146x101mm)
●技法:Chromogenic color print(C-Print)
●紙質:Kodak Professional Paper
●制作年:1993
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                            印画紙の裏側


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                   マーカーペンによる署名と年記
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by galleria-iska | 2017-04-24 20:30 | その他 | Comments(0)


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