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カテゴリ:キース・へリング関係( 65 )


2017年 10月 03日

キース・ヘリングのポスター総目録「Keith Haring - Posters」(2017)

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キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)のポスター愛好家待望(?)の総目録(カタログ・レゾネ)が刊行された。ヘリングが1982年から1990年までにデザインしたオリジナルポスター100点を収録したもので、全作品がカラー図版で紹介されている。最近ようやく知ったのだが、キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)が生存中にデザインしたオリジナルポスターによる展覧会「Keith Haring :Posters」が、1877年に設立された美術(版画やポスターを含む)、工芸、デザイン、写真に関する広範囲のコレクションを持つハンブルク美術工芸博物館(MK&G-Hamburg/Museum für Kunst und Gewerbe Hamburg)で11月5日まで開催されており、この総目録「Keith Haring - Posters」は、その展覧会に合わせて美術書の出版を得意とするドイツのプレステル出版(Prestel Verlag, München)から刊行されたものである。編著者はハンブルク美術工芸博物館の版画およびポスター部門の部長を務めるユルゲン・デリング博士(Dr. Jürgen Döring)で、これらのポスターを博物館に寄贈したハンブルクの収集家クラウス・フォン・デア・オステン(Claus von der Osten)氏も編集に加わっている。内容は同じだが、博物館で販売されている同名の図録(註1)とは装丁が若干異なっている。展示公開されている100点のポスターの内訳は、23点が社会政治的な事柄に関するもの、26点が文化的行事に関するもの、そして19点が自身の展覧会の告知用となっている。ほぼ同時進行で、同じくクラウス・フォン・デア・オステン氏から寄贈されたロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg, 1925-2008)のポスター160点のうち120点を展示公開する「Robert Rauschenberg: Posters」も10月8日まで開催されているが、こちらの図録は出ていないようだ。

ハンブルクの収集家クラウス・フォン・デア・オステン氏のコレクションをもとにした展覧会「Haring Posters Short Messages」は既に2002年から2003年にかけてドイツ国内を巡回するかたちで開催されており、ハイルブロン市立美術館(Städtischen Museen Heilbronn)の学芸員であるマルク・グンデル博士(Dr. Marc Gundel)編の図録が、同じくプレステル出版から 2002年に図録(註2)が刊行されている。また2003年にはその改訂版が刊行されている。内容はヘリングが1982年から1990年かけてデザインしたオリジナルポスターの総目録となっており、ほぼ同じ内容といえる。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Catalogue raisonné
●編者:Dr. Jürgen Döring & Claus von der Osten
●サイズ:300x240mm
●発行:Prestel Verlag, München
●制作年:2017
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ポスターの寄贈の話が、美術館や出版社を巻き込み、その成果が市民に還元されるという一連の動きに何かしらの希望を感じる。日本でも相続税の軽減という理由であったにせよ、個人コレクションを積極的に受け入れようという動きがないではない。ただしポスターやエフェメラといったものへの評価は欧米ほど高いとは言い難く、前にも書いたと思うが、20世紀のスペインを代表する画家ジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893-1983)のオリジナルデザインのポスターを百点以上を収集されていた方が公立美術館に寄贈を申し出たところ、ポスターなんかいらない、と取り合ってくれなかったことがあった。公開の方向性だけでも示してくれても良かったのではないかと思うが、残念ながら、篤志家と呼んでもよいその方のミロのポスター収集に注がれた情熱や時間は一切顧みられることはなかったのである。実りのない話ばかりしていても暗くなるばかりなので、他に目を向けてみるのも手かもしれない。最近、美術系の大学に次々と付属の美術資料館が併設されており、ポスターの収集にも力を入れているところもあるので、そちらに話を持っていった方が良かったかもしれない。なんとも残念な話である。

註:

1.
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図版:展覧会に合わせてハンブルク美術工芸博物館で販売されている図録。Jürgen Döring, Claus von der Osten, 128 pages, 300x240mm, 120 color illustrations published by Verlag Prestel in 2017.

2.
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図版:2003年に刊行された図録「Haring Posters Short Messages」の改訂版(ハードカバー)。Marc Gundel and Claus von der Osten, Revised edition of "Haring Posters Short Messages " published by Prestel Verlag, München in 2002. 300x240mm, 96 pages, text in German and English. 84 color and 16 black & white illustrations. Catalogue raisonné of Haring posters from 1982-1990. Published in conjunction with the expositions at the Versicherungskammer Bayern(November 2002 - January 2003), Kunsthaus Kaufbeuren, Kaufbeuren(August - September 2003), etc.
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by galleria-iska | 2017-10-03 18:00 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2017年 09月 28日

キース・ヘリングのビニールバッグ(3)「Pop Shop Plastic Bag」(1985)

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アメリカの1980年代を代表する美術家キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)が1986年にニューヨーク市にオープンしたポップ・ショップ(Pop Shop New York)用にデザインし制作したビニールバッグ(Pop Shop Plastic bag)5種類が揃った。どういう訳か、天が与えた小さな試練(?)かもしれない、一番気に入っている黄色を基調とするものが最後になってしまった。これらのものをグッズと見るかアートと見るかによってその評価は異なってくるのだが、大手のオークション会社がヘリングのマルティプルとして取り扱うようになったことで、何かと後追いの日本はともかく、海外では随分と高額な値を付ける売り手が増えてきて、グッズとアートの間でせめぎ合いが起こっている。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●題名:Pop Shop Plastic bag
●サイズ:483x427mm
●技法:Silkscreen
●製造:PAK 2000, New Hampshire
●発行:Keith Haring, New York
●制作年:1985
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by galleria-iska | 2017-09-28 20:15 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2017年 07月 12日

キース・ヘリングのTシャツ「Pop Shop Tokyo」(1987)

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久し振りにキース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)関係の“もの”を取り上げてみたい。と言うか、長年仕舞いっ放しになっていたので、状態をチェックするためにビニール袋から取り出してみたというのが本当のところである。

周知のとおり、1986年にニューヨーク市マンハッタン区ダウンタウンにあるソーホー(SoHo)にポップ・ショップ(Pop Shop)(註1)をオープンさせたキース・ヘリングは翌1987年、姉妹店として東京・南青山にポップ・ショップ・東京(Pop Shop Tokyo)をオープン。ニューヨーク店のアイコンと同様、ポップ・ショップ・東京のロゴを盛り込んだアイコンをデザインしている。それは購入した商品を入れてくれる無料の紙袋(註2)の他、販売用のビニール製のショッピング・バッグ(註3)やTシャツにもプリントされた。ポップ・ショップには連日多くのファンが押し寄せ、賑わったようだが、偽物が大量に出回ったことが影響し、翌年には閉店を余儀なくされたと聞く。加えて、この年、エイズと診断されたことも少なからず影響を与えているのかもしれない。

いつの時代(潮流)にも乗り遅れてばかりの自分が訪れた時には、既に商品数も少なくなっており、Tシャツ(5千円)は残り一枚だったように記憶する。このTシャツはその時購入したものではなく、ずっと後になってから手に入れたものであるが、未使用だったので、30年近く経った今でも鮮やかな発色を保っている。反面、心配な点もある。と言うのは、タグ(画像参照)には、ポップ・ショップのロゴではなく、ヘリングのレタリングが使われているのだが、その縫い付けが雑で、サイズを示す“F”の取り付け位置もいい加減なのである。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:T-Shirt
●イメージサイズ:293x265mm
●技法:Silkscreen
●発行:Keith Haring for the Pop Shop Tokyo
●制作年:1987
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ポップ・ショップ・東京のアイコンとして多くの人の目に触れることを意図したこの図像、地の部分は、銀糸を用いて織られた生地に想を得たのだろうか、銀ラメ(Silver gliter)仕様となっており、光を反射して輝く様は、アナクロニズムとも取れなくもないが、原色で色付けされた、どこかトーテムポールを思わせる非言語的コミュニケーション手段であるシンボリックで記号性を帯びた図と結合し、グロテスクな様式美を見せつつ、ヘリング独自の、創作活動を通してより大きなレベルでの関係性の構築を図る役割を果たしているのである。
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                          タグの部分                    

註:

1.ヘリングはポップ・ショップのオープンについて、次のように語っている(原文をそのまま引用):
“The Pop Shop makes my work accessible. It’s about participation on a big level.” “The use of commercial projects has enabled me to reach millions of people whom I would not have reached by remaining an unknown artist. I assumed, after all, that the point of making art was to communicate and contribute to culture.”


2、
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                            ポップ・ショップ・東京の紙袋

3.
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                             ポップ・ショップ・東京のビニール製のショッピング・バッグ
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by galleria-iska | 2017-07-12 19:56 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2016年 08月 20日

キース・ヘリングのステッカー「Dancing Flower」(1989)

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キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)が生み出したキャラクターの中では晩年のものとなる「Dancing Flower」(1989)は、このステッカーの他に缶バッジのものが知られている。キャラクターのアイデアの源泉となったかもしれないのが、株式会社タカラトミー(Takara Co., Ltd. → Tomy Company, Ltd., Tokyo)が1988年に発売、全世界でヒットした玩具「Flower Rock」(註1)という、音楽に反応して動く(踊る)鉢植えの花である。そうだとすれば、それは一種のパロディ表現と言えなくもないが、大量生産、大量消費を背景とする大衆文化を巧みに取り込んでいくポップ・アートの手法も垣間見れるのではないだろうか。そして何よりも、他の図像にも見られるように、ヘリングのクラブミュージックやヒップホップへの傾倒が読み取れるのだが、性的な意味合いをも含んでいるのかもしれない。花が記号としての重要な意味を持ったのは、消費文化に根ざしたポップ・アートに繋がっていく、ヒッピー文化やカウンターカルチャーを生み出したビートニクの詩人アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg, 1926-1997)が1960年代に提唱した平和的抗議活動に端を発する、フラワーパワー(Flower Power)と呼ばれる、花を平和と愛の象徴として用いたヒッピーの反戦運動が想起されるが、へリングにそのような思想的背景を重ね合わすことには多少無理があるかもしれない。

ステッカーのフォーマットは280x140mmと、やや大きめ。そこに直径95mmと88mmのものが各一枚、55mmのものが二枚の計四枚の「Dancing Flower」と、へリングの最もよく知られているアイコンのひとつ、「はいはいする赤ん坊(Crawling Baby)」が一枚組み込まれているのだが、それは無限の可能性を持つ赤ん坊と現在の姿が同居するへリングの自画像と捉えることも出来るかもしれない。四半世紀を経た今、缶バッジに比べて残存率は低いようで、近年はオークションへの出品も散見される。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Pop Shop Stickers
●サイズ:140x280mm(Format)/Stickers:95mm diameter x1, 88mm diameter x 1 and 55mm diameter x 2, all signed: © K. Haring
●技法:Offset lithograph
●発行:Keith Haring, New York
●制作年:1989
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註:

1.海外では「Rockin' Flowers」という名称で販売された。



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by galleria-iska | 2016-08-20 18:20 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2016年 05月 10日

キース・ヘリングのポスター「Lesen. Der spass im kopf」(1988)

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キース・へリング(Keith Haring, 1958-1990)はAIDSと診断された1988年以降、それまで以上に子供を対象にした社会貢献活動に力を注ぐと共に、新たにAIDS撲滅活動にも積極的に関わっていくこととなるのだが、今回取り上げるポスターは、そんなヘリングが1988年に、ドイツはノルトライン=ヴェストファーレン州のバート・ホンネフ(Bad Honnef)の市立図書館のためにデザインしたポスターである。子供の頭の中に、読書から得られる楽しみである、ありとあらゆる事象が視覚化されており、このポスターは、ヘリングが同年、フォックス・チャンネル5(Fox Channel 5)とニューヨーク公共図書館協会が広告主となって行なわれた、子供たちに読書を勧める教養運動"Fill Your Head with Fun! Start Reading!"のためにデザインした広報ポスター(註1)からイメージ部分を転用して作られている。どちらのポスターにも、子供たちに読書の楽しみを伝える標語がヘリングのレタリングで綴られているが、バート・ホンネフの市立図書館の方には、ドイツ語による標語「Lesen. Der spass im kopf(Reading. The fun in the head.)」が添えられている。このポスターにはもうひとつ別のヴァージョン(註2)のものが存在しているが、そちらはヘリングのオリジナル・ポスターといった性格のものらしく、英語の標語「Fill Your Head with Fun! Start Reading!」のみ記されている。

バート・ホンネフの市立図書館の依頼で作られたポスターは、他の2点と比べると、色数も少なく、随分素っ気無いように思えるのだが、このポスターを扱っているドイツ人業者の案内によれば、図書館向けの100枚とヘリングの手持ち用100枚の計200枚しか作られておらず、もしそうであれば、間違いなくコレクターズ・アイテムになる筈である。それにしても、ここ最近のヘリングのポスター価格の高騰は、明らかに異常(!?)としか思えない。その最大の要因は、本作品の供給が減ったことにあると思われるが、それとは別に、今回のポスターのように、ヘリング自身がレタリングを施したポスターは、それはそれでひとつの表現手段として成立しているとの認識が浸透し評価を押し上げているのかもしれない。それにヘリングと時代を共有した者が感じる同時代性へのある種のノスタルジーが加わり、ポスターぐらいなどと呑気に構えてはいられない状態になってしまっているのだ。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Poster
●題名:Lesen. Der spass im kopf(Reading. The fun in the head.)
●サイズ:ca.540x440mm
●技法:Offset
●限定:100(+100 artist's proofs)
●発行:Stadtbücherei Bad Honnef
●制作年:1988
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註:

1.
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Poster for New York and New Jersey libraries - "Fill Your Head with Fun! Start Reading!",1988, 570x344mm. Offset lithograph

2.
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Another version of the poster "Fill Your Head With Fun! Start Reading!", 1989, 570x344mm. Offet lithograph
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by galleria-iska | 2016-05-10 18:39 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2015年 12月 26日

キース・ヘリングの招待状「Nous, Tintin」(1987)

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1987年にベルギーのブリュッセルにある出版社(Editions du Lion, Bruxelles)から漫画『タンタンの冒険(Les Aventures de Tintin)』の作者として知られるベルギーの漫画家エルジェ(Hergé, Georges Prosper Remi, 1907-1983)に捧げられた画集「Nous, Tintin」(註1)が出版された際、同じブリュッセルにある画廊(Librairie-Galerie SANS TITRE, Bruxelles)で、画集に収録された36人の作家(註2)の作品による展覧会が開催されている。これはそのヴェルニサージュへの招待状で、キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)のデザインによる画集表紙のモノクロのイメージが使われている。

漫画家エルジェと現代美術の作家ヘリングの取り合わせは、一見奇妙に思えるが、エルジェが現代美術のコレクターとしても知られる存在であったことを考えれば、あながち不思議ではない。コレクターとしてのエルジェの関心は、ジョルジュ・マチュー(Georges Mathieu, 1921-2012)やカレル・アペル(Karel Appel, 1921-2006)といったアンフォルメルの作家から次第に線を活かした作家へと興味が移っていくのだが、1972年にニューヨーク市のアンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1983)のファクトリーを訪ねた際には、ウォーホルをして、‘Hergé influenced me as much as Disney’ と言わしめている。そしてその出会いが数年後、ブリュッセルの画廊でのウォーホルのエルジェの肖像画の展示となって実を結び、さらにウォーホルを通じてヘリングを知る機会もあったかもしれないからである。逆にヘリングがウォーホルを通じてエルジェを知った可能性もなくもないが。エルジェはまたこの時期、漫画を絵画の主題としたもうひとりのポップ・アートの雄、ロイ・リキテンスタインの連作版画を自身のオフィスに掛けている。そのリキテンスタインは、何かの引力に引き寄せられるように、エルジェとは直接関係はないが、エルジェの死後10年経った1993年に著された、アメリカの小説家フレデリック・ツーテン(Frederic Tuten)のタンタンに因んだ物語『Tintin in the New World』の表紙と扉絵を手掛けている。このように現代美術が自らの領域を飛び越え、その可能性を押し広げていくことができたのは、保守的で、旧態依然としてブルジョア階級や知識人といった教養ある人々に支持されるハイ・カルチャーから、若者による反体制的なカウンターカルチァーのムーヴメントとともに、より大衆的で個人的な嗜好を反映したサブ・カルチャーへと下降していったからに他ならない。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Invitation
●サイズ:107x200mm
●技法:Silkscreen
●発行:Librairie-Galerie SANS TITRE, Bruxelles
●制作年:1987
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註:

1.
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タンタンの作者エルジェに捧げられた画集「Nous, Tintin」 出版社:Editions du Lion, Bruxelles, 1987、サイズ:355x270mm

2.36人の作家:Glues Bachelet, François Berthoud , Enki Bilal, Annick Blavier, Bode Bodart, Alberto Breccia, Max Cabanes, Silvio Cadelo, Nicole Claveloux, Didier Eberon, Ever Meulen, F'murrr, André Geerts, Daniel Goossens, Steven Guarnaccia, George Hardie, Vincent Hardy, Jan Colombe Lange, Frank Le Gall, Silver Lemon (and Bode Bodart), Jacques de Loustal, Marc Lumer, Francis Masse, Lorenzo Mattotti, José Munoz, Pascal Nottet, Albert Pepermans, Marie-Françoise Plissart, Ian Pollock, Pierre Pourbaix, Stéphane Rosse, Alec Severin, Bill Sienkiewicz, Alex Varenne, Thierry Wégria
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by galleria-iska | 2015-12-26 21:29 | キース・へリング関係 | Comments(3)
2015年 10月 20日

キース・へリングの塗り絵本「Keith Haring Coloring Book(2)」(1986)

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キース・へリング(Keith Haring, 1958-1991)が1985年にニューヨークにポップ・ショップを開くにあたって制作したオリジナル・ドローイング20点からなる塗り絵本(Coloring book)を五年前に取り上げたことがあるが、初版と第二版の区別が付かないでいた。今回、その証拠となるものを見つけることが出来たので、再度取り上げることにした。それによると、初版はヘリングの私家版として作られたもので、表紙には版上の署名の他、手書きによる年記とヘリングの著作権が記されているが、出版データが何も記載されていない。一方、ヘリングがポップ・ショップを始めた1986年に出版された第二版は、近現代の美術やデザインを対象とするオランダのアムステルダム市立美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)で個展を開いた際に、オランダの出版社(De Harmonie Amsterdam)から正規の出版物として出版されたもので、初版と第二版は同じフォーマットで作られているので、表表紙を見ただけでは区別が付かないが、第二版には裏表紙の左下に《© Keith Haring 1986. Published by De Harmonie Amsterdam, in arrangement with Keith Haring. ISBN 90 6169 303 9》との記載があることが判った。

この塗り絵本は本来、マルティプルとして捉えられるべきものであるが、近年、リトグラフで印刷された版画集として見る向きもあり、そのような認識が広まれば、さらなる評価を得るのではなかろうか。と言うのも、収録されているイラストレーションはそれぞれ単独のドローイングとしてオークションに掛けられれば、軽く一万ドルを超える値で落札されるような質の高いものばかりであるからだ。塗り絵本自体も、署名が施されたものの中には数千ドルの値を付けるものも現れてきている。この塗り絵本も他のグッズと同様、ヘリングの思想を反映しつつも、手に取りやすいように目的を持たせたグッズとして低価格で販売され、庶民にも気軽にアートを楽しんでもらうことを目的に作られているのだが、それらはその一義的な意味において、使用あるいは消費され、多くのものが失われていく運命にあることも確かだ。それ故、いわゆる蒐集家と云われる人種や美術館などは手を出さなかったのである。ただ、時を経て、その希少性が高まるとともに、一義的な意味が剥がれ、ヘリングの本来の意図が立ち現れてくることとなった。結果として、それらは庶民の手から離れ、それが本来あるべき場所に還っていくことになるのだが、ヘリングは遥か以前にそのことを予期していたのではないだろうか。

●作家:Keith Haring(1958-1991)
●種類:Coloring book
●サイズ:305x305mm
●技法:Lithograph
●発行:Keith Haring for Pop Shop
●制作年:1985
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ヘリングが1986年にオランダのアムステルダム市立ステデリック美術館(Stedelijk Museum)で個展を開催した際に出版された第二版。出版はDe Harmonie Amsterdam、1986.
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by galleria-iska | 2015-10-20 18:19 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2015年 10月 20日

キース・ヘリングのステッカー「Pop Shop Tokyo」(1987)

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1988年に東京の南青山にオープンしたキース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1991)のポップ・ショップでティーシャツやトレーナーといった比較的高価なグッズ購入者への“オマケ”として配られたオリジナルデザインのステッカー。ヘリングが自身の作品の理解を深めるために東京店用に特別にデザインしたもので、色鮮やかに着色されたヘリングの様々なアイコンが、大きなフォーマット(258x365mm)のステッカーに所狭しと並べられており、ヘリングのファンには嬉しい贈り物であった筈である。このステッカーはヘリングのお膝もとであるニューヨークのポップ・ショップにはなく、ネット・オークションなどではかなり高額で取引されている。アイコンはそれぞれ抜き出して使用することも出来るが、これをヘリングのひとつの作品として観賞する方が楽しく思える。以前、デットストックと思われるものが数枚、ネットショップで販売されているのを見つけたが、送料が高くて購入するのを見送った。そのときの価格は一枚2,500円だったように記憶する。四半世紀を経た現在、残存数は間違いなく減っているだろうから、その希少性は更に高まっているものと恩われる。

●作家:Keith Haring(1958-1991)
●種類:Sticker
●サイズ:258x365mm
●技法:Silkscreen
●発行:Keith Haring for Pop Shop Tokyo
●制作年:1987
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                   ステッカーの裏側
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by galleria-iska | 2015-10-20 13:31 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2015年 04月 04日

キース・ヘリングのカバー・アート「Man to Man / At the Gym」(1987)

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以前、キース・へリング(Keith Haring, 1958-1990)が1987年にニューヨーク市のハイエナジー・バンド(Hi-NRG band)、"Man 2 Man(=Man to Man)"の12インチ・シングル・レコード(12" Maxi, 45rpm)「Man to Man / At the Gym」(Bolts 10/12)のカバー・アート(裏側)を担当したことを書いたが、今回取り上げるのはそのフランス版(Vogue 312086)である。オリジナル版と同時にリリースされたフランス版のデザインは、同じドローイングを用いてはいるが、配色を変え、黒色の縁取りを加えることで、コントラストが強調され、どこかゲイっぽさを匂わせるパステル調のトーンのオリジナル版と比べて、より鮮烈でインパクトのあるものになっている。この相違はへリングのカバー・アートの扱いの違い-オリジナル版は裏側(back cover)、フランス版は表側(front cover)-によるものだが、事情はどうあれ、結果として二つのヴァージョンを手にする機会を得たことを、むしろ喜ぶべきであろう。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Cover Art
●題名:Man to Man / At the Gym
●サイズ:305x305mm
●技法:Offset lithograph
●レーベル:Vogue
●印刷:Offset France
●制作年:1987
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フランス版の裏側(back cover)
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  フランス版(front cover)                       オリジナル版(back cover)

尚、フランス版の収録曲は以下の通り:

Face A: At the Gym(Eromix)
Face B: At the Gym(Breakdown Remix)



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by galleria-iska | 2015-04-04 19:17 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2014年 09月 29日

キース・ヘリングの招待状「Second annual "Party of Life"」(1985)

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建築家の磯崎新(Arata Isozaki, 1931-)の設計による改装とキース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)のダンスホールの巨大な壁画による装飾が加わり、コンサート・ホールからナイト・クラブへと変身したニューヨーク市のパラディウム(The Palladium, 126 E. 14 St. N.Y.C.)は1985年5月14日にオープニングを迎え、その月の22日にヘリングの二度目のバースデイ・パーティ(Second annual "Party of Life")が開催された。その招待状としてヘリングが親しい友人たちに送ったのが、この箱状の招待状である。とうにガタが来ている2002年製のコンパクト・デジカメ(200万画素)の買い替えを先延ばしし、やっとこさ手に入れることが出来た。

蓋の表が招待状になっており、ホールでダンスを踊る様子を描いたのであろうか、ヘリングのアイコニックな人物が隙間無く描かれた周りをパーティへの招待文(Keith Haring invites you to the second annual "Party of Life" at the Palladium - 126 E. 14 St. N.Y.C. May 22 - Wednesday - 11 pm - 1985)が縁飾りのように取り囲む。

ヘリングによる規則性のない画面構成は、奥行きが圧縮されて平面的に見えるが、M.C.エッシャーが用いたような正則分割による数学的な美とは対極にあって、重力に逆らうかのようにブレイクダンスを踊る姿を多面的に捉えたものであり、その運動エネルギーを直裁に表現しているように見える。しかし一方で、ヘリングの視点は、見る者に別の意味を投げ掛けているようにも思われる。何故なら、折り重なるように群がる人間の姿は、地獄の底から抜け出そうと、もがき苦しむ人間の姿を想像させるからである。

箱の中には、招待状と同じイメージを使ったジグソーパズル(100ピース、180x180mm)と缶バッジ(40x40mm)、それと"Free admission with Button"と記された入場案内の赤色の小さな紙片(20x70mm)が入っている。この他に、手元にはないが、同じイメージがシルクスクリーンでプリントされたタンク・トップがあり、こちらも同封されたのかもしれない。と言うのも、タンク・トップはニューヨーク市のゲイクラブ「パラダイス・ガラージ」で行なわれた第1回(1984年)から第3回(1986年)までの招待状の共通アイテムとなっているからである。

これらの招待状は、エフェメラに特有の一過性ものではなく、それぞれが実用性を兼ね備えている点でユニークな存在である。タンク・トップや缶バッジは手にした者が身に着けることで、フレームとなり、あるいは場となって、ヘリングのイメージを伝播させる役割も担っていると思われる。またジグソーパズルについては、自らの手で構図を組み立ていく行為によって作品の記憶を深化させ、完成品を額に入れて飾れば、作品として眺めることもできるのである。コレクター向けの大作を購入できなくとも、身近なところでアートを楽しむことができるという、へリングの思想を反映した活動のひとつと言えようか。

●作家:Kieth Haring(1958-1990)
●種類:Invitation
●サイズ:104x104x40mm(Box), 180x180mm(Jigsaw Puzzle)
●技法:Offset lithograph
●発行:Keith Haring, New York
●制作年:1985
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by galleria-iska | 2014-09-29 19:05 | キース・へリング関係 | Comments(0)