ガレリア・イスカ通信

galleriska.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:案内状/招待状関係( 74 )


2013年 09月 12日

クラレンス・ジョン・ラフリン追悼展の案内状「Robert Miller Gallery」(1991)

a0155815_1742596.jpg

アメリカ南部でシュルリアリスティックな写真を創造したクラレンス・ジョン・ラフリン(Clarence John Laughlin, 1905-1985)のロバート・ミラー画廊(Robert Miller Gallery, New York)での追悼展の三つ折りの案内状。見ていて、西海岸を代表するラフリンと同時代的な写真家ウィン・バロック(Wynn Bullock, 1902-1975)(注)の写真との関連性を想像させる作品が目に留まった。案内状の内側に掲載された「Strange Dialogue」という、破れた網戸が隠喩的な働きを持つラフリンの1957年の作品なのだが、バロックがニューヨーク近代美術館で開催された伝説的な展覧会「The Family of Man( 人間家族)」に「Child in Forest(森の幼女)」(1951年)と「Let There Be Light(そこに光あれ)」(1954年) を出展し注目を集めた翌年の1955年に撮影した「Eric」と56年の「Lucia」《ヌード写真と言う観点から見れば、マン・レイの「Retour à la Raison」(1923)やエドワード・ウエストンの「Nude」(1926)の影響を感じさせる》という、廃屋となった小屋の網戸越しに人物を撮影した作品が脳裏に浮んだのである。しかしながら、それだけでは単なる推測に終わってしまうのだが、実はラフリンは1956年、バロックが撮影のために用いた廃屋でバロックの姿(注1)を撮影しており、そこで撮影されたバロックの作品を見ている可能性があるのである。シュルレアリスティックな視点を持ったラフリンと独特な自然観を持ったバロックとは、写真に対するアプローチの仕方は異なるが、幾つかの写真において、被写体の選択に何らかの関連性を思わせるものがあり、ここではバロックの写真の中に何かしら自分の写真のヒントになるものを見い出したのではないだろうか、と思った次第。

二人とは別に、もう一人アメリカを代表する写真家のひとりで、同世代のマイナー・ホワイト(Minor White, 1908-1976)(注1)も、この年の10月29日に「Ashes Are for Burning」と題されたシークエンス写真のひとつとして、「The Three Thirds(Pike, New York)」を撮影しているが、それもまた廃屋の窓枠を被写体としており、そこでは割れたガラスに映りこむ空と屋内の漆黒の空間が対比されている。これら三点の写真が撮影された1950年代中葉と言えば、アメリカが大いなる繁栄を謳歌していた時期であるが、絶え間なく進む工業化の中で、リアリティーの追求が自然の造り出した風景から人間が造り出したものへと変化する時代の到来と重なり、相互依存的な関係を続けてきた人間と自然との関係に何らかの齟齬が生じ始めて来た中で、自然と人間との関係を捉え直そうとする写真家の目がそこにあったのかもしれない。

●作家:Clarence John Laughlin(1905-1985)
●種類:Invitation
●サイズ:267x210mm(267x626mm)
●技法:Offset
●発行:Robert Miller Gallery, New York
●制作年:1991
a0155815_17401068.jpg
a0155815_17401847.jpg
a0155815_17402914.jpg
Wynn Bullock:「Lucia」(1956)
a0155815_17403719.jpg
Wynn Bullock:「Erik」(1955)


註:

1.ウィン・バロックは写真家になる前は声楽家として知られており、1920年代に演奏旅行でヨーロッパに渡り、パリ滞在中に印象派や後期印象派に触れることで視覚芸術への目を覚まし、後年バロックの実験的な写真制作に影響を与えるマン・レイ(Man Ray, 1890-1976)の“レイヨグラフ”やモホリ=ナジ(Moholy-Nagy、1895-1946)の“フォトグラム”に出合っている。写真家としてのデビューは1941年と遅咲きであるが、1948年にエドワード・ウエストンと出合ったことで、独自のストレイト・フォトグラフィを追求することなる。
2.Clarence John Laughlin:「The Photographer as Explorer of Space and Light 1956 (Wynn Bullock)」(Gelatin silver print)
a0155815_18205129.jpg

2.1908年にミネソタ州のミネアポリス生まれ。1938年にオレゴン州ポートランドに引っ越し、アンセル・アダムスの紹介で1946年から1953年までカルフォルニア美術学校で写真を教え、1952年にアンセル・アダムスらと写真雑誌「アパチュアー(Aperture)」を創刊した。
[PR]

by galleria-iska | 2013-09-12 12:10 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 08月 13日

ロイ・リキテンスタイン展の招待状「Dessins de Roy Lichtenstein」(1975)

a0155815_18183793.jpg

1977年に開館するポンピドー・センター(Centre national d'art et de culture Georges-Pompidou)の前身であるパリの現代美術センター《Centre National d'Art Contemoporain, Paris(CNAC)》で開催されたロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)のデッサン展の内覧会への招待状。展覧会に合わせて出版された、1961年制作のペン画「Knock, Knock」を原画とする複製版画「Knock, Knock Poster」(Corlett. App.8)と同じイメージを用いている。

原画となった「Knock, Knock」はリキテンスタインのポップアート初期の素描として、1961年から69年までの素描と版画作品を網羅した作品集「Lichtenstein Drawing & Prints」(註1)に掲載されており、それによると、ニューヨークのレオ・キャステリ画廊から発表されたこの作品は、他の初期の作品とともに、1962年にパリにイリアナ・ソナベント画廊を開き、アンディ・ウォーホルやリキテンスタインの個展を開催したイリアナ、ミッシェル・ソナベント夫妻のコレクション(Ireana and Michael Sonnabend collection)となっていることから、この展覧会は、当時、パリとニューヨークに画廊を持っていたソナベント夫妻の協力の下、企画されたことが分かる。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Invitation
●サイズ:147x105mm
●技法:Line-cut
●発行:Centre National d'Art Contemoporain, Paris(CNAC)
●制作年;1975
a0155815_17582573.jpg

a0155815_18232049.jpg
同展の告知用ポスター、1975年、サイズ:710x500mm、発行:Centre National d'Art Contemoporain, Paris(CNAC)

a0155815_18184544.jpg
1988年に刊行された『リキテンスタイン:素描と版画(「Lichtenstein Drawings & Prints」 Wellfleet Press, New Jersey, 1988. Hardcover. Introduction by Diane Waldman. 256 pages. Includes catalogue of drawings 1961-1969, studies 1961-1969, catalogue of prints 1962-1969, biography and bibliography with black and white and color illustrations of works accompanied by description (title, date, medium, size, and location)』の書影。この本は1969年頃に刊行された同名のタイトル(「Lichtenstein Drawings & Prints」A Paul Bianchi Book, Chelsea House Publishers, ca1969. Hardcover. folio. 256. pages. Profusely illus. some colour, biblio.)のリプリント。

a0155815_18185446.jpg
a0155815_1819493.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2013-08-13 18:14 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 06月 17日

ヴィクトル・ブローネル展の招待状「Le Point Cardinal」(1963)

a0155815_18352673.jpg

1963年の4月から5月にかけてパリのル・ポワン・カルディナール画廊(Le Point Cardinal)で開催されたルーマニア出身の画家ヴィクトル・ブローネル(Victor Brauner, 1903-1966)の新旧作品展《Œuvres anciennes Œuvres récentes.》の招待状。表紙にはシルクスクリーンによる版画「Double Head(Les deux visages)」と告知用のポスターのイメージが使われているが、この構図はブローネルが1942年に自画像として制作した彫刻(Signe ou Le Vent)に基づいている。そこには喧嘩の巻き添えにより片目を失った画家の姿が投影されているのだが、自らが負う事になった二つの側面、光と闇、現実と想像(夢)という、アンビバレント(ambivalent)な状態が惹き起こす不安心理が、画家の想像力を喚起し、世界が持つ二つの側面と結びつくことによって多様な形態を創造する原動力となった。招待状の本文にも、ブローネルの名前を囲むように、幻視者(Visionnaire)ブローネルによって生み出された、秘教的な儀式を思わせる、二面性を孕んだ不思議な生き物(Creature)が描きこまれている。

●作家:Victor Brauner(1903-1966)
●種類:Invitation
●サイズ:150x120mm(150x359mm)
●技法:Silkscreen
●発行:Le Point Cardinal, Paris
●印刷:Imp. Union, Paris
●制作年:1963
a0155815_19112052.jpg
a0155815_19112854.jpg

a0155815_19415945.jpg
図版:彫刻「Signe ou Le Vent」(1942)。ブローネルと同じルーマニア出身の彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuşi, 1876-1957)の彫刻《眠れるミューズ》の影響を窺わせる。

a0155815_19152219.jpg
図版:同展のポスター:665x500mm、Silkscreen poster printed by Imp. Union, Paris


a0155815_18505151.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2013-06-17 21:21 | 案内状/招待状関係 | Comments(2)
2013年 05月 11日

浜口陽三展の招待状「Galerie Ditesheim」(1979)

a0155815_2128712.jpg

カラー・メゾチント技法の開拓者として知られる銅版画家の浜口陽三(Yozo Hamaguchi, 1909-2000)は、かつて単位面積あたりの価格が世界で最も高い作家と言われ、“さくらんぼ”の実ひとつに50万円以上の値が付く時もあった。それにはアメリカの画廊が一役買っていると言ったら御幣があるかもしれないが、オランダ国内では無名の存在に近かったエッシャー(Maurits Cornelis Escher, 1898- 1972)をアメリカに紹介し大成功を収めたヴォーパル画廊(Vorpal Gallery)によるモノポリーにその一因があるのではないかと思われる。

1978年、すでにメゾチント作家として国際的に評価されていた浜口であるが、東京の南天子画廊が版元となり、パリのフィアック(Fiac '78)で発表された6点組の版画集「Hamaguchi's six original color mezzotints」が評判を呼び、翌年、フランスとの国境近くに位置するヌシャテル湖畔の風光明媚な街、ヌシャテルにあるディテシェイム画廊(Galerie Ditesheim, Neuchâtel)で、1954年から1979年にまでに制作したメゾチント作品による回顧展が開催されている。これはそのヴェルニサージュ((Vernissage)への招待状。表紙にはこの画廊が版元となったカラー・メゾチントの作品「Papillon orange」(150x60mm Ed.75)が使われている。

●作家:Yozo Hamaguchi(1909-2000)
●種類:Invitation
●サイズ:210x149mm(210x297mm)
●技法:Offset
●発行:Galerie Ditesheim, Neuchâtel
●制作年:1979
a0155815_21281766.jpg


a0155815_1955393.jpg
こちらはフィアックで発表された版画集「Hamaguchi's six original color mezzotints」のイメージを用いて作られた1979年のカレンダー。南天子画廊発行
a0155815_196766.jpg
a0155815_1961765.jpg
a0155815_1963257.jpg
a0155815_1964118.jpg
a0155815_1965010.jpg
a0155815_1971321.jpg

a0155815_11524465.jpg

a0155815_1972368.jpg



a0155815_21311321.jpg
こちらは1979年に南天子画廊から出版されたカラー・メゾチントの作品「赤い毛玉(Red yarn)」を用いた年賀状。114x75mm(114x150mm)
a0155815_2131332.jpg

a0155815_21504276.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2013-05-11 12:09 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 03月 18日

アントニ・タピエス展の招待状「Galerie Maeght」(1969)

a0155815_1522593.jpg

昨年亡くなったスペインの現代美術を代表する作家のひとり、アントニ・タピエス(Antoni Tapies, 1923-2012)はシュルレアリスムをその活動の起点とするが、抽象表現主義に傾倒していくことで、出身地であるカタルーニャ地方の乾いた風土を感じさせる物質性の高い表現に向うこととなる。1960年代にパリに移住、シャガール、ブラック、ミロといった作家を抱えるマーグ画廊(Galerie Maeght, Paris)と契約、広く国際舞台で活躍することとなる。とはいえ、タピエスの版画作品の価格は他の作家と比べると低く抑えられていたようで、"jésus"と呼ばれる中版(76x56cm)サイズのものが、1980年前半でも数万円で購入することができた。これはそのタピエスのマーグ画廊での三度目の個展の際に作られた内覧会への招待状である。タピエスはここでは、同じカタルーニャ地方の都市バルセロナ出身のミロが行なったように、指を絵筆のように用いて直接描写する方法を採っており、指跡や指紋といった身体の痕跡を残すことで、抽象表現主義における身体性を強く押し出した、直裁な表現を行なっている。そしてまたミロ同様、タピエスの作品を特徴付けるのは、画面の中に書き込まれた自身のモノグラムなどの文字や記号であるが、招待状を広げて見ていると、アルファベットの"T"や"A"、あるいは"X"という文字が浮かび上がってくる。

この個展の図録として刊行された「デリエール・ル・ミロワール(Derriere le Miroir)」誌の第180号には、タピエスのオリジナル・リトグラフとして、招待状と同じように指を使って描いた一本の赤い線が、何箇所かの息継ぎのような繋ぎ目を挟みながら、表紙から最終頁まで延々と続いている。その線は三種類の赤を使い分けて描かれたものであり、一見単調に見えもするが、幾つも感情の起伏を思わせる変化を認めることが出来る。さらにその告知用ポスターでは、白い画面に縦に引かれた、書を思わせる、たった一本の線によって作品を成立させており、それはポップ・アートの作家ロイ・リキテンスタインが抽象表現主義に特徴的な激しい筆触を表現した版画作品「ブラッシュストローク(Brushstroke)」(1965)”同様、絵画をそれを構成する最小限の要素にまで還元してみせている。

●作家:Antoni Tàpies(1923-2012)
●種類:Invitation
●題名:Lithographie en rouge et noir
●サイズ:220x170mm(220x340mm)
●技法:Lithograph
●発行:Maeght Editeur, Paris
●印刷:Arte, A. Maeght, Paris
●制作年:1969
●目録番号:Galfetti. #208
●参考文献:Tàpies - Das graphische Werk 1947-1972, Erker Verlag, St. Gallen, 1972.


a0155815_1523216.jpg

a0155815_14591451.jpg

a0155815_15295822.jpg
同展の図録として発行された『デリエール・ル・ミロワール(Derrière le Miroir)』誌、第180号:(Derriere le Miroir, No. 180, Octobre 1969: 'Tapies'. Text / poem by Joan Brossa. This issue contains 1 original 28-page colour lithograph! and 16 b/w reproductions on totally 42 pages including cover)
a0155815_1003927.jpg
同展の告知用ポスター

●作家:Antoni Tàpies(1923-2012)
●種類:Poster
●題名:Lithographie en rouge
●技法:Lithograph
●サイズ:650x450mm
●発行:Maeght Editeur, Paris
●印刷:Arte, A. Maeght, Paris
●制作年:1969
●目録番号:Galfetti. #207
●参考文献:Tàpies - Das graphische Werk 1947-1972, Erker Verlag, St. Gallen, 1972.
[PR]

by galleria-iska | 2013-03-18 13:00 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展案内状「Érik Desmazières Vues d'Amsterdam」(2004)

a0155815_2045595.jpg

フランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)のアムステルダムの眺めを描いたシリーズの、ニューヨーク・プリント・フェアーとフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)での個展の案内状。表紙には、おそらく創建350周年に因んだものかと思われるが、現在は国立海事博物館(Het Scheepvaartmuseum/ National Maritime Museum, Amsterdam)(註:1)として利用されている1655年に建てられた海軍補給庁('s Lands Zeemagazijn)の建物-前の桟橋には1990年の帆船祭に際し復元された18世紀の東インド会社所有の大型帆船「アムステルダム号」が係留されている-をヨット・ハーバーを挟んで描いた作品「's Lands Zeemagazijn, 2004. Etching」(右端部分)が使われている。裏表紙には幻想的な風景画で知られる17世紀の画家兼版画家ヘラクレス・セーヘルス(Hercules Pieterszoon Seghers or Segers, c. 1589 – c. 1638)のエッチング作品「積まれた本」を彷彿させる、17世紀に著されたアムステルダムに関する二冊の書物をモチーフとする作品「Description of Amsterdam in Two Volumes, 2004. Etching on antique paper」が使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Announcement
●技法:Offset
●サイズ:184x136mm(184x272mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:2004
a0155815_20375644.jpg
a0155815_2038436.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2013-01-18 20:13 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Recent prints」(2001)

a0155815_20281561.jpg

2001年11月17日から12月22日にかけてニューヨーク市のフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)で三巻目の版画目録の出版に合わせて開催されたフランスの銅版画家(Erik Desmazières, 1948-)の近作展のレセプションへの招待状。この招待状には、パリ生まれの建築家アンリ・ラブルースト(Henri Labrouste, 1801-1875)設計で、新しい素材の鉄やガラスを使い、1862年に着工し1868年に完成したフランス国立図書館の旧館の天窓の付いたドーム型の天井を細い支柱で支える閲覧室を描いた作品「La Salle Labrouste de la Bibliothèque nationale, 2001. Etching and aquatint. Third state, reworked with india ink」が使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:128x176mm
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:2001
a0155815_20282639.jpg

[PR]

by galleria-iska | 2013-01-18 20:09 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Borges' "La Biblioteca de Babel"」(1998)

a0155815_20174213.jpg

a0155815_20235877.jpg

フランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)が南米アルゼンチン出身の作家ホルヘ・ルイス・ ボルヘス(Jorge Luis Borges, 1899-1986))の『伝奇集』に収録された短編小説「バベルの図書館」に登場する架空の図書館-その巨大な図書館は中央に巨大な換気孔を持ち、六角形の閲覧室が上下に際限なく積み重ねで成っており、主人公はそれを「宇宙」と呼んでいる-に想を得て制作した10点のエッチングとアクアチントによる連作銅版画集「バベルの図書館」-挿絵本と版画集という三つの体裁で出版された-のフィッチ=フェブレル画廊における出版記念展のレセプションへの招待状。この展覧会は、ニューヨーク・プリント・フェアー(1998年11月4日-8日)で開催された後、フィッチ=フェブレル画廊(1998年11月19日-12月19日)で行なわれたもので、フィッチ=フェブレル画廊以外にも、10月から12月にかけて、アメリカとカナダの4つの画廊を巡回している。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:140x191mm(140x568mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1998
a0155815_20135757.jpg
三つ折りの招待状の裏側に使われているのは「想像の街Ⅱ(Ville Imaginaire II, etching reworked with aquatint & gouache, 178x476mm)」で、風景作品の収集を行なっている静岡県立美術館が2008年に購入している。
[PR]

by galleria-iska | 2013-01-18 20:08 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Recent Works on Paper」(1994)

a0155815_205640.jpg

1913年に第1回アーモリー・ショー(Armory Show)が開催されたレンガ造りの歴史的建造物(第69連隊の兵器庫)を会場に毎年11月に開催される国際的な版画見本市であるニューヨーク・プリント・フェアーでの展示に続き、1994年11月19日から12月30日にかけてニューヨーク市のフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery)で開催されたフランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)の近作展のレセプションへの招待状。この個展にはエッチングの大作が何点も出品され、ことに17世紀のフランスの版画家ジャック・カロ(Jacques Callot, c1592-1635)の生誕400年に因んでであろうか、カロが1630年に制作した「聖アントワーヌの誘惑(La Tentation de Saint-Antoine)」を忠実に再現した同名の作品「La Tentation de Saint-Antoine, 1993-94. Etching, aquatint and roulette in two colors」が話題を呼んだ。招待状の表紙には作家が何度も画題として取り上げている版画工房のルネ・タゼ(Atelier René Tazé, Paris)(註:1)の内部を描いた1メートルを超える大作「L'Atelier Rene Taze VI, 1993. Etching, aquatint and roulette)が、裏表紙には、「聖アントワーヌの誘惑」の試し刷り(Trial proof)に水彩とグアッシュで彩色を施したものが使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:145x180mm(145x360mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1994
a0155815_1153363.jpg

a0155815_2052535.jpg

a0155815_2051614.jpg


註:
1.ルネ・タゼ工房を描いた作品は、1975年から2006年までに計七点制作されている。幾つかを図版で紹介する。

a0155815_17493076.jpg
L'Atelier René Tazé III, 1981
a0155815_17494263.jpg
L'Atelier René Tazé V, 1992-1993
a0155815_1749561.jpg
L'Atelier René Tazé VII, 2006
[PR]

by galleria-iska | 2013-01-18 20:07 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Etchings 1982-1991」(1991)

a0155815_18225597.jpg

アメリカの版画商アンドリュー・フィッチ(Andrew Fitch)氏は、フィリップ・モーリッツ(Philippe Mohlitz, 1943-)と同様、現在のフランスを代表する銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières(1948-)(註;1)の才能を早くに見い出し、個展を開催すると共に、版画目録(Catalogues raisonnés)(註:2)の編纂を行なっている。これは彼の画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)で二巻目の版画目録(Erik Desmazières:Etchings 1982–1991の出版に合わせて開催された個展のレセプションへの招待状である。表紙には、版画目録と同様、パッサージュ・シリーズのひとつで、1826年に建てられたガラス天井と美しい市松模様の床のある透り“ギャルリー・ヴェロ=ドダ”を、うねるような動きを見せる建築構造物として描いた作品「Galerie Vero-Dodat, 1989, Etching, aquatint and roulette)」が使われている。

日本でのデマジエールの認知度はそれほど高いとは言えないが、19世紀から現代までのフランス絵画を専門とする千葉市の下総屋画廊によって定期的に個展が開催され、2010年には 町田市立国際版画美術館で「常設展 デマジエールの迷宮世界」が開催されるなどして、序々にファンを獲得しているようである。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:127x176mm(127x352mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1991
a0155815_18241663.jpg


註:
1:仏領インドシナのハノイに生まれた版画家で画家のジャン・デルプク(Jean Delpech, 1916-1988)の工房の門下生のひとりとして、フィリップ・モーリッツ(Philippe Mohlitz, 1941-)やイヴ・ドアレ(Yves Doaré, 1943-)、フランソワ・ウータン(François Houtin, 1950-)、アントニオ・セグイ(Antonio Segui, 1934-)らと同じようにデルペクの夜間教室で版画技法を学んだエリック・デマジエール(Érik Desmazières(1948-)は1948年、フランスの外交官の息子として、赴任先のモロッコ王国の首都ラバト(Rabat)に生まれる。幼い頃からデッサンの素養を見せたが、外交官になるべくフランス屈指のエリート校であるパリ政治学院(Insitut d'Etudes Politiques de Paris )入学。1971年に卒業し、パリ建築大学(École spéciale d'architecture Paris)に数ヶ月間通うが、建築家になるのを諦め、デルペクの夜間教室(クラスメートに銅版画家のウータンがいた)に通う。ただ多くのことを独学で学び、エッチングとアクアチントに恐ろしいほど精通する。そのことをデマジエールの代理人である版画商のアンドリュウ・フィッチは次ぎのように言っている:"Like so many great printmakers, he has learned by doing"。1972年、モーリッツに励まされ銅版画家になる決心をする。1978年に《Grand Prix des arts de la ville de Paris pour la gravure》を受賞し、フランス版画協会会員となる。

2:フィッチ=フェブレル画廊が出版したデマジエールの版画目録は以下のとおり:
Tome I:Etchings 1972–1981, Fitch-Febvrel Gallery, 1982. 72 pages, with 68 b/w illustrations.(234 x 255mm).
Tome II:Etchings 1982–1991, Fitch-Febvrel Gallery, 1992. 64 pages, with 73 b/w illustrations(234 x 255mm).
Tome III:Etchings 1991–2001, Fitch-Febvrel Gallery, 2002.72 pages, with 68 b/w & 4 color illustrations(234 x 255mm).
Tome IV:Prints 2001–2011, Fitch-Febvrel Gallery, 2011. 72 pages, with 46 b/w & 14 color illustrations(234 x 255mm).
[PR]

by galleria-iska | 2013-01-18 19:56 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)