ガレリア・イスカ通信

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カテゴリ:ヴィーノ・デッラ・パーチェ( 5 )


2013年 03月 06日

平和のワイン「Ogata Yosin」(2007)

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1948年、宮崎県は都城市に生まれた緒方良信(Yoshin Ogata, 1948-)氏は、生命の源である水をテーマに作品を制作している画家で彫刻家である。その活動は日本よりもイタリアで多くのことが成されているようで、経歴を見ても、ミラノ・ブレラ芸術大学彫刻科マッシーナ教室、フィレンツェ芸術大学ガッロ教室、ローマ美術大学エミリオ・グレコ教室に学び、1975年にカラーラ芸術大学彫刻科ティコ教室を卒業し、カラーラ国際絵画グラフィックコンクールの一等賞受賞を皮切りに、ファッツィーニ賞など数々の賞を受賞、とある。奇しくも前回取り上げたコロンビアを代表する画家で彫刻家のフェルナンド・ボテロ(Fernando Botero, 1932-)と同じ2007年、日本人としては三人目となる“平和のワイン(Vino della Pace)”のラベル(エティケット)のデザインを依頼され、彫刻作品にもしばしば登場する雫と波紋を用いた作品を制作。ワインを連想させる赤い液体の雫が流れ落ち、波紋を生み出す姿を表現している。しかしそれは単なる平面作品に終わらず、エンボッシングによる凹凸が画面に彫刻のような立体感や質感を生み出し、黒く固まった溶岩の上に新たに滴り落ちる、地球という大地そのものを生成するマグマのような表情も見せている。サインとともに、落款が押されており、作者は、単なるデザインではなく、自己の作品であることを証明している。

●作家:Yoshin Ogata(1948-)
●種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
●サイズ:130x190mm
●技法:Lithograph + embossing
●発行:Cantina Produttori Cormons
●制作年:2007
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         ラベル(エティケット)の裏側
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by galleria-iska | 2013-03-06 19:29 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)
2013年 03月 05日

平和のワイン「Fernand Botero」(2007)

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昨年齢80歳を迎えた南米コロンビアを代表する画家で彫刻家のフェルナンド・ボテロ(Fernando Botero, 1939-)の日本で初めての展覧会は、1981年の6月から8月にかけて池袋の西部美術館で開催された「ボテロ展-陽性のファンタジー」である。この展覧会には、1960年から1980年にかけて制作された油彩画、素描,彫刻合わせて65点が出展され、日本で初めてボテロ芸術の概要を知る機会となった。入場はしなかったが、駅に通じる通路には数多くのポスターが掲示され、ふくよかなフォルムで描かれた作品に目を奪われ、思わず足を止めて見入った覚えがある。この展覧会のポスターは海外でも人気があったみたいで、幾つかの業者の販売カタログに他の美術館やギャラリーのポスターと並んで掲載されていたように記憶する。ボテロの日本への紹介は、この展覧会より10年ほど早い1972年の『みずゑ』812号に掲載された詩人で美術評論家の日向あき子(本名:坪井富美子、1930-2002)の「フェルナンド・ボテロ-楽園願望への志向」という作家論であったようで、ボテロの作品ついて次ぎのように述べている。
異様に充満したフォルムの人物や生物が描かれたボテロの絵画の世界には、ポップアートもシュールレアリズムも、アンリ・ルッソーもルネ・マグリットも、スペイン風肖像画やエル・グレコ、ルーベンスもフランドル派もある。しかし、何よりも支配的なのは南米的な田舎っぽい空気である。そこにはプレ・コロンビア、スパニッシュ・コロニアルの風土にルーツをもつボテロの楽園願望の志向が見られ、官能性とユーモア、諷刺に満ちた彼の絵画は、荒漠とした現代の機械文明の世界に対して鋭い諷刺となっている

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                         「ボテロ展-陽性のファンタジー」のポスター
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                           同展の図録表紙

その後、幾つか展覧会が企画され、2004年に恵比寿ガーデンプレイスで開催された『ボテロ野外彫刻展(Botero at Ebisu)』 は、彫刻家としての評価を反映したものと言え、そのユーモラスな作風によって、都市の生活に潤いを与えた。そのボテロが2007年の“平和のワイン(Vino della Pace)”のラベル(エティケット)に登場した。ここでは画家としてのボテロの出番で、パンとスープとワインが並べられた食卓につき、うまそうにパンを頬張る自身の姿を描いた作品を提供している。

●作家:Fernando Botero(1932-)
●種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
●サイズ:130x190mm
●技法:Lithograph + embossing
●発行:Cantina Produttori Cormons
●制作年:2007
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by galleria-iska | 2013-03-05 19:08 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)
2012年 03月 29日

平和のワイン「Robert Rauschenberg」(1997)

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ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg, 1925-2008)といえば、ジャスパー・ジョーンズとともにネオダダを代表する作家であるが、版画やポスターの制作にも積極的に取り組んだ作家のひとりである。2001年にはプレステル出版(Prestel Veralg, München / Berlin / London / New York)からポスター集「RAUSCHENBERG Posters」も刊行されている。ラウシェンバーグは、アメリカ政府の大きな肩入れによって、1964年にヴェネツィア・ビエンナーレで最優秀賞を受賞し、画家としての名声を確立するが、その前年に、版画工房のユニバーサル・リミテッド・アート・エディションズ(ULAE=Universal Limited Art Edtions)とのコラボレーションで制作したリトグラフ作品「アクシデント(Accident)」が、1955年から隔年開催されている版画専門の国際展としてはもっとも歴史が古く権威のあるリュブリャナ国際版画ビエンナーレでグランプリを受賞し、一足先に版画家としてその存在が認められている。それは1962年からコンバイン・ペインティングと並行して始まったシルクスクリーン・ペインティングによる創作活動のひとつの成果であり、それ以後、ラウシェンバーグによって選択された時事的な話題とそれとはおよそ関係ないように見える古典絵画などの写真のイメージをコラージュ風に組み合わせた作品制作において、絵画と版画、さらにはポスターの制作が、並行して進んでいくこととなる。

さてラウシェンバーグと「平和のワイン」の関係であるが、「平和のワイン」の生産が始まった1985年、ラウシェンバーグは、世界の平和と理解(world peace and understanding)を促進するために、世界の芸術家と共同制作して展覧会を行なう「ラウシェンバーグ海外文化交流(Rauschenberg Overseas Culture Interchange)」(ROCI=ロッキー)を設立し、「平和のワイン」の趣旨とも繋がる活動を行なっている。それが縁かどうかは判らないが、ラウシェンバーグは1997年のラベル(エティケット)のデザインを委嘱され、グラスの中で凍りつくワインとその細い足に絡みつく錠前という、サスペンス・ドラマを予感させるような構図で、現実世界で繰り返される暴力と脆く壊れやすい平和の関係を浮き彫りにしている。このデザインは我々の知るラウシェンバーグのスタイルとは異なる印象を受けるが、平和を希求するメッセージとして各国元首に贈られる「平和のワイン」の中では、辛口のものであるようだ。

●作家:Robert Rauschenberg(1925-2008)
●種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
●サイズ:130x190mm
●技法:Lithograph + embossing
●発行:Cantina Produttori Cormons
●制作年:1997
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by galleria-iska | 2012-03-29 20:30 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)
2010年 12月 16日

平和のワイン「Mimmo Paladino」(2004)

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1970年代に現代美術を席巻したミニマルアートやコンセプテュアルアートに呼応し、日本の“もの派”との関連性が言われるのイタリア版コンセプテュアル・アートのアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)であるが、それを引き継ぎながらも、理論への行き過ぎとも思える盲従によって生じた制作の場での行き詰まりを打開する方法論として絵画的な表象の復権を即自的な感覚に求めたのが、“トランス・アヴァンギャルディア(超前衛)”といわれている。その中心的存在で、かつて3Cと呼ばれたキア(1946-)クッキ(1950-)、クレメンテ(1952-)ともに取り上げられる、南イタリアのパドゥーリ出身の画家、彫刻家、そして版画家でもある、ミンモ・パラディーノ(Mimmo Paladino 1948-)のデザインによる“平和のワイン”のラベル。

作家:Mimmo Paladino(1948-)
種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
サイズ:130x190mm
技法:Lithograph + embossing
発行:Cantina Produttori Cormons
制作年:2004

パラディーノを初めて知ったのは、1984年にロンドンのワディントン・グラフィックス(Waddington Graphics)から出版された4点組の大きなリノカット作品(*)を見たときで、それがネオ表現主義の絵画スタイルであることなど知る由もなく、純粋さや押さえ切れない情熱に突き動かされ、ある意味切羽詰ったような危機意識の感じられない、何かの焼き直しを思わせる、妙に違和感の残る作風が頭に残った。否、何か胸糞悪い気持ちに襲われた、と言った方が正確かもしれない。描くことへの感傷が、時代を1920年代まで時計の針を巻き戻す必要は、当時の日本人には理解でき得る範囲を超えていたのではないかと思える。ただ時代が、これが新しい潮流なのだと尻を叩き、前に押し出されてしまった、ということなのだろうか。現在は、そのような時代の要請からは距離を置き、生地にアトリエを構え制作しているという。

“平和のワイン”のラベルをデザインするにあたり、作家に求められるのは、ワインと平和のイメージを画面に盛り込むということ。パラディーノのラベルデザインは、縦長の矩形のなかに、神話の時代から平和の象徴されるオリーブの葉を冠のように巻き付けた人物の頭部(自画像か)と自らの署名とを組み込んだもの。傾いた水平線の上で転がり落ちそうな頭部を一点で支えている赤い玉が、葡萄の実ということになる。平和は葡萄(酒)によって保たれているということか。人物が片目を閉じているのは、避けられない瞬間への防御反応のように見えるが、何かの合図を送るときにする仕草にも見える。

(註)

*「A series of four linocuts」, 801 x 1216mm (31 1/2 x 47 7/8) on Fabriano Rosaspina paper 971 x 1355mm (38 1/4 x 53 3/8); printed by Giorgio Upiglio at Grafica Uno, Milan and published by the Waddington Graphics in an edition of 65 in 1984.

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by galleria-iska | 2010-12-16 19:31 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)
2010年 12月 13日

平和のワイン「Vino della Pace」(1985~)

数年前にある作家のポスターを探していたところ、見慣れないものに目が留まった。“Vino della Pace"、平和のワインと呼ばれる白ワインに貼られるラベルとのことだった。なぜか未使用のものだった。ちょっと胡散臭い名前だと思ったが、通常のワインラベルにはないその大きさと質感に、捨てがたい魅力を感じてしまった。版画とは謳っていないが、どう見ても版画にしか見えなかった。これは集めるべきではないか、それも一滴のワインも飲まずして。妙なことになってしまったが、でもよい。ワインラベルの収集家ではないのだから。ワイナリーの紹介によると、平和のワインは、イタリア北部、スロベニアと国境を接するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州(Friuli-Venezia Giulia)で生産されている白ワインで、コルモンス醸造組合(Cantina Produttori Cormons))の畑に世界各地から寄付され植えられた450種類以上の葡萄から作られているのだそうだ。1985年に生産が始まり、毎年三人の第一線で活躍する作家によるオリジナルデザインのラベル(label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏))に、平和のメッセージを添え、世界中の元首に贈られているとある。ということは、日本では天皇家となる訳だが、果たして受け取ってもらえているのだろうか。出荷されるワインの本数は10000本と、それほど多くはないが、ラベルの希少価値が高まることは当分の間なさそうである。単品売りと、三種類をセットにしたものなどがあるらしい。ただし、目的はラベルであるので、ワインの味がどうだこうだと言う気は毛頭ない。と言うより未だ口にしたことがない。

本題のラベルだが、ワインラベルというと、高級ワインの代名詞とも言われるフランス・ボルドーのシャトー・ムートン・ロートシルト(赤ワイン)が有名で、1945、6年頃から20世紀を代表する作家のデザインがラベルを飾っており、コレクターも多いと聞く。2008年には日本でもラベルの原画展が開催されている。現代作家にラベルのデザインを依頼する例は他にもあるが、やはりオーナーの美術に対する関心と情熱があったればこそ実現できるわけで、お金を積んで何とかしようなどいう魂胆では此処まで長くは続けられない。ここでは新たなラベルの歴史を築きつつある、と言うよりもう既に25年の歴史がある、“ヴィーノ・デッラ・バーチェ”のラベルを出来るだけ取り上げてみたいと考えている。

ラベルの構成については、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルの場合は、ワインの身元や品質証明などに空間を割いているため、作家のデザインはラベルの上部、面積としては全体の五分の一程度の狭い空間に収められている。そのため、作家にとっては構図上の制約が大きく、どうしても画面が窮屈なものにならざるを得ない。一方、平和のワインは、横長のフォーマットを用い、ラベルの中央部分をデザインに充てるという、デザイン中心の構成を採っているので、作家は通常の作品製作に近い感覚でデザインを行なうことが出来る。勿論、それだけでデザインの良し悪しが決まるわけではないが。

承知の通り、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルのデザインを引き受けた作家は、ピカソ、ミロ、ブラック、マッソン、ダリ、シャガール、ウォーホル、キース・へリングなどなど、世界的に有名な作家が多く、相当な報酬が支払われているのかと思いきや、自分がデザインしたワイン(数量は不明)が送られてくるだけだそうだ。ただしワイン自体が高価なので、金額に直せばそれなりのものになるのかもしれない。“平和のワイン”も同じ方式を採っているようなのだが、こちらは価格が低いので、概ね平和への奉仕ということになるのであろう。とは言っても、ラベルは単なる原画の印刷ではなく、様々な版画の技法を用いて作られた歴としたアート作品になっており、小さな現代美術コレクションと位置付けることができる。デザインに参加している作家はイタリア人作家が中心となっているが、ヨーロッパ、アメリカはもとより、南米、アジア、オセアニアの作家も取り上げている。日本からは、これまでに三人の作家がデザインに参加しているが、フルクサスとも関係の深い前衛芸術家、小野洋子もその一人である。
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by galleria-iska | 2010-12-13 18:29 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)