ガレリア・イスカ通信

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カテゴリ:図録類( 69 )


2015年 06月 26日

デイヴィッド・ホックニーのポスター案内「David Hockney Posters」(1982?)

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先々週、パソコンから突然変な音が鳴り始め、終了と同時にウインドウズXPが昇天してしまった。過去5年間に撮り溜めてきた写真画像や作品資料が入っているので、あれこれ回復を試みたが、全てうまくいかず諦めるしかなかった。ウインドウズ98とMeという、お蔵入りに近い二台のパソコンが未だ動いているので、すぐには壊れまいと思っていたのだが、甘かった。画像や資料の一部は古いパソコンに保管してあるので助かったが、また一から積み上げていくのはしんどい。壊れたのはウインドウズ・ビスタであったものをウインドウズXPにダウングレードしたものだったが、最近はインターネット・エクスプローラー8では開かないページが増えてきたので、付属のリカバリー・デイスクを使ってOSをウインドウズ・ビスタに戻した。結果、5年間累積されていた更新プログラムが毎日、山のように送られてきて、インストールの終了を待つ日々が続いている。それに加え、インターネット・エクスプローラーの言語パックがインストールされず、メニューやステータスバーが英語表示になってしまい、それを直そうとサポートに紹介されている方法をいろいろ試してみたがうまくいかず、5分もあれば済むところを、何日も掛かってしまった。

そんな状況なので、調べたいことがあっても、現物に当たるしかなく、海外の業者から送られてきた販売カタログを引っ掻き回していたら、30年以上も前にロンドンの出版社ピーターズ・バーグ・プレス社から送られてきた同社発行のデイヴィッド・ホックニー(David Hockney,1937-)のポスターの案内が出てきた。当時、机の上に置いて毎日のように眺めていたので、縁は擦り切れ、折り目は裂けてしまっていた。そこを透明なテープで補修をし、資料用の写真を撮った。案内には1969年から1981年にかけて発行された14点のポスターがカラー図版入りで紹介されている。このブログで取り上げた#1,5,9,10以外にも取り寄せたものがあったが、友人や知人に譲ってしまった。中でも評判の良かった1973年に制作された“天候シリーズ(The Weather Series)”の中の一点「Sun」を用いた「David Hockney prints 1954-77」(#12)は、連れ合いの友人の新築祝いになった。洋風の建物だったので、気に入ってくれるものとばかり思っていたが、日本画の方が好みだったようで、部屋の隅に置いたままになっていた。おそらく粗大ごみとして葬られてしまったのではないかと思う。こんなふうにしてポスターの現存数は序々に減っていき、巧まずして、稀少価値を生み出すのに一役買っている。一品ものである絵画や初めから稀少性を謳っている版画とは違い、日々の生活の中で扱われるポスターや案内状は、記憶装置としての意味を持ってはいるものの、作家の創作の根幹に繋がる重要な証拠として捉えることは難しく、やはり物として消費されていくことからは免れない。その結果について、フランス文学者で古書コレクターの鹿島茂氏はその著書『子供より古書が大事と思いたい』の中で“稀覯本ほど見つけやすいという真理とはちょうど逆に、価値のない本ほど見つけにくいというのもまた真理である”と述べており、いつでも手に入いると思っているような展覧会のポスターや案内状、冊子のたぐいほど、無くなってしまったときには見付け難くなるのである。エフェメラ侮るなかれ!

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Leaflet
●サイズ:204x153mm(204x456mm)
●技法:Offset
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1982(?)
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by galleria-iska | 2015-06-26 18:22 | 図録類 | Comments(0)
2015年 03月 20日

(第8回)シュルレアリスム国際展の図録「Eros」(1959)

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アンドレ・ブルトン(André Breton, 1896-1966)とマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887-1968)によって企画・構成され、1947年にパリのマーグ画廊(Galerie Maeght, Paris)で開催された『第6回シュルレアリスム国際展(Le Surréalisme en 1947: Exposition Internationale du Surréalisme) 』の図録(限定999部)の意表を付いた造りは記憶に残るものであった。表紙はマルセル・デュシャンのオブジェ(註1)で、シュルレアリスムの起源となったとされるギヨーム・アポリネールの演劇『ティレジアスの乳房(Les Mamelles de Tirésias)』(1917年)を想起させる、黒いベルヴェットの布の上に置かれた女性の乳房を模ったもの。裏表紙には、“触ってください(Prière de Toucher)”という冗談めいた言葉が記されたラベルが貼られており、図録の読者に直感的ならざる作品への触覚を誘っている。つまりデュシャンはこのオブジェで、シュルレアリスムの起源に言及しつつ、シュルレアリスムの反道徳的な姿勢を示す重要なテーマであるエロティシズムへの関心を表明しているのである。一方、普及版にはマン・レイが撮影したこのオブジェの写真が用いられている。この展覧会のポスター「Exposition Internationale du Surréalisme 1947」をデザインしたのは、マーグ画廊の契約作家で、図録の口絵を手掛けたジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893-1983)で、ミロがデザインした最初のリトポスターとして興味深い。

1959年12月15日から1960年2月20日にかけてパリのダニエル・コルディエ画廊(Galerie Daniel Cordier, Paris)で行なわれた『Exposition Internationale du Surréalisme』(第8回シュルレアリスム国際展)もアンドレ・ブルトンとマルセル・デュシャンによって企画・構成された。これはその図録である。この時のテーマは「E.R.O.S.」(Exposition inteRnatiOnale du Surréamisme)で、図録にはマルセル・デュシャンがこの年に制作した"With My Tongue In My Cheek"やハンス・ベルメール(Hans Bellmer, 1902-1975)の解説によるドイツの異色画家フリードリヒ・シュレーダー・ゾンネンシュターン(Friedrich Schröder-Sonnenstern、1892-1982)の幻想的でエロティックな作品やベルメールの人形、ピエール・モリニエ(Pierre Molinier, 1900-1976)の写真などが掲載されている。コルディエ画廊刊行のこの図録は、ベルクグリューン画廊のそれと同様、当時の流行を取り入れ、細長い縦長のフォーマットで作られている。

●種類:Exhibtion catalogue(註2)
●題名:Exposition internationale du Surrealisme: "EROS"1959-1960
●著者:André Breton, Hans Bellmer, Man Ray, Jean Arp, etc.
●サイズ:300x125mm
●技法:Offset
●発行:Galerie Daniel Cordier, Paris
●制作年:1959
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註:

1.デュシャンはイタリアからアメリカに移住したシュルレアリスムの画家で彫刻家のエンリコ・ドナチ(Enrico Donati, 1909-2008)と協力して、オブジェのデザインと制作を行なった。作品目録:Arturo Schwarz, The Complete Works of Marcel Duchamp, New York, 1997, no. 523, illustration of another example p. 788

2.図録と同時に限定200部のデラックス版が作られており、図録の表紙写真にあるように、緑色の郵便箱の形のオブジェ(Boite Alerte:286x181x64mm)の中には、展覧会の図録の他, 様々なオブジェ:
●エロティックな9通の信書(註3)
●絹のストッキング
●マルセル・デュシャンの電報「Je purules lachaises purules」《Marcel Duchamp/Rrose Selavy (Schwarz, literature 145)》
●イギリス出身の詩人ジョイス・マンスール(Joyce Mansour, 1928-1984)吹き込みの"L'ivresse religieuse des grandes villes(A)" とフランスの詩人ベンジャマン・ペレ(Benjamin Péret, 1899-1959)吹き込みの" La Brebis galante(B)"が収録された45回転のレコード
●ハンス・ベルメール(Hans Bellmer, 1902-1975), サルヴァドール・ダリ(Salvador Dalí, 1904-1989)アシール・ゴーキー(Arshile Gorky, 1904-1948 ), ジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893-1983)マックス・ワルター・スヴァンベルク(Svanberg, 1902-1994) クロヴィス・トルイユ(Camille Clovis Trouille, 1889-1975 )の作品を使った6点の絵葉書:
が異なる種類の封筒に収められている。

さらにフランスの画家アドリアン・ダックス(Adrien Dax, 1913-1979)、スペインの画家ジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893-1983)、スウエーデン出身の画家マックス・ワルター・スヴァンベルク(Max Walter Svanberg, 1902-1994)、チェコ出身の画家でイラストレーターのトワイヤン(Toyen, 本名マリー・チェルミーノヴァ:Marie Cerminova 1902-1980)のサイン・ナンバー入りのリトグラフ、詩人で画家のジャック・ル・マレシャル(Jacques Le Maréchal, 1928-)のサイン・ナンバー入りのエッチングが入っている。

3.1. Robert Benayoum, enveloppe rose “ à n'ouvrir sous aucun prétexte ” contenant Le Corridor, plaquette illustrée en quatre volets. - 2. Micheline Bounoure, enveloppe jaune “ Sois ardent en forêt ” contenant deux compositions originales en couleurs symétriques obtenues par pliage. - 3. Alain Joubert, enveloppe vert pâle contenant La Perle fine, texte imprimé sur quatre feuillets. - 4. Enveloppe rouge “ Avez-vous pensé à donner un peu de sang ” contenant une plaquette imprimée : La Pointe. - 5. (R. Benayoum), enveloppe blanche “ Strictement personnel ” contenant une autorisation de rééditer un texte caviardé. - 6. Octavio Paz, aérogramme “ Huis clos ” contenant Edemira B. imprimé sur deux feuilles et deux photographies. - 7. Enveloppe transparente “ avis de souffrance ” contenant une plaquette anonyme Lettres d'un sadique. - 8. André Pieyre de Mandiargues, enveloppe orange “ usage externe ” contenant une plaquette La Marée, texte érotique. - 9. Enveloppe blanche à fenêtre contenant un bas noir de femme marqué Haut par Mimi Parent.
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by galleria-iska | 2015-03-20 17:38 | 図録類 | Comments(0)
2015年 03月 16日

ジャン・ティンゲリーの図録「Hanover Gallery, London」(1968)

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人工的な動力源を持つ彫刻、キネティック・アートという新しい表現法を美術界にもたらしたスイスの彫刻家ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925-2002)の彫刻を実際に目にしたのは、ポンピドゥー・センターに近くのストラヴィンスキー広場の噴水(Fontaine Stravinsky)に設置された「自動人形の噴水(La Fontaine des automates) 」というニキ・ド・サンファルと共同制作したものが最初で最後である。混乱と破壊をテーマにしたような、黒一色に塗られ、不気味に反復する動きを見せるティンゲリーの彫刻は、ダダ的な精神を根に持つが、その絶え間なく反復する意味の無い運動は、現代という社会構造に組み込まれ、機械のように動くことを強要される人間と物質文明の有り様を映し出しているようにも見える。それとは対照的に、有機的なフォルムとにごりのない純粋な色彩に彩られたニキの彫刻は、まさに生の一瞬の輝きを垣間見せてくれる。

ティンゲリーとニキは同じ画廊で交互して個展を開いているが、これは、伝説の画廊主エリカ・ブラウゼン(Erica Brausen, 1908-1992)がロンドンに設立したハノーヴァー画廊(Hanover Gallery, London)で、ニキの個展(1968年10月2日-11月1日)の個展から一月余り経ったから一月余経った12月5日から翌年の1月5日にかけて開催されたジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925-1991)の個展の図録として制作された、18枚のパネルからなる折り本(Leporello)形式のアーティストブックである。ティンゲリーはこのタイプの図録を1964年末から翌年の1月にかけて行なわれたパリのイオラス画廊(Galerie Alexandre Iolas, Paris)での個展「Meta(機械) II」で既に試しているが、イオラス画廊でのそれがモノクロで印刷されているのに対し、ハノーヴァー画廊のものは、ニキのカラフルな造本に触発されたのか、彩色された雑誌などの切り抜きが無機的な画面のアクセントとなっている。それらが作品の展示風景を撮った写真やドローイングと組み合わされ、ラウシェンバーグを彷彿させるネオ・ダダ的な雰囲気を持った画面を構成している。印刷はニキのものと同様、ミラノのセルジオ・トシ(Sergio Tosi, Milano)が行なっている。そしてこの図録のコンセプトが、今度はニキが1971年にパリのイオラス画廊で行なった個展「Réalisations & projets d'architectures de Niki de Saint Phalle」の図録に継承されていくのである。

気付かれたと思うが、図録の前半と後半の二ヶ所にニキのモチーフが顔を覗かせている。ひとつはニキのトレードマークとも言える、ハノーヴァー画廊での招待状や図録にも登場するナナで、もう一つは、ナナとともにニキの作品には欠かせない蛇である。ニキの描く蛇は、忌むべき存在としてではなく、妊婦と同じように、豊穣や多産、永遠の生命力の象徴として描かれている。

●作家:Jean Tinguely(Jean Tinguely,1925-1991)
●種類:Catalogue
●サイズ:89x160mm(89x2864mm)
●技法:Silkscreen
●発行:Hanover Gallery, London
●印刷:Sergio Tosi, Milano
●制作年:1968
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by galleria-iska | 2015-03-16 20:42 | 図録類 | Comments(0)
2014年 05月 21日

挿絵本資料「Art reference books: illustrated books & artist's books」

19世紀末から今日に至る画家や彫刻家によるリーヴル・ダルティスト(livres d'artistes)としての挿絵本を版画の表現形式のひとつと見るか、あくまでも本として、挿絵専門画家のようにテキストを補う挿絵と捉えるかという議論はあまり意味がない。画家(もしくは彫刻家)と作家との刺激的な出遭いによって、画家の想像力が喚起され、新しいイマージュが生み出される点において成立するリーヴル・ダルティスト(livres d'artistes)としての挿絵本は、書物を“生きた空間”として捉え、「作家と画家によって作られる一冊の本におけるテキストとイマージュは、混ぜ合わされるのではなく、並行して働かなくてはならない」と考えるアンリ・マチス(Henri Matisse, 1869-1954)が、マルメラの詩集の挿絵を制作した際にいみじくも述べているように、「すぐれた詩人が別の種類の芸術家の想像力をかき立てて、その詩と等価のものがつくり出されるのを見るのは気持のいいものだが、造形芸術家が自らの才能をもっともよく引き出すには、あまりテキストに拘泥することなく、その詩人と触れ合うことで自分の感性を豊かにしながら自由に制作しなければならない。事実、マラルメ詩集の仕事を終えてみて、これは私が楽しんでマラルメを読んだあとで行った仕事だと言いたい」という言葉の中に見事に言い表されている。

それは画家が、例えば風景や静物、人物、古くは聖書や神話などの物語に主題を見つけ、自由で創作的な表現を行なう行為と全く無縁ではなく、同時代人による詩や物語がインスピレーションの源泉である点において全く同等であると言える。その点に着目し、絵画および版画の愛好家とと愛書家という二つの立場、その両者の興味を惹こうとする出版者の、文字通り、一石二鳥を狙う、思惑のようなものが背景にあったのは事実であるが、単なる利益追求だけで斯くの如き手の込んだものを造り上げることは不可能で、版画制作における新しい領域の可能性を見い出した出版者の挑戦であったと言えよう。しかし現実は甘くはなく、フランス19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した画商アンブロワーズ・ヴォラール(Ambroise Vollard, 1866-1939)が版元となって出版した挿絵本は、当初愛書家の興味を全く惹かず、その思惑と大きく外れるものになってしまった。

版画の入った挿絵本の魅力は、額に納められた作品とガラス越しに対峙し、ひたすら見るという行為を強いる関係性にあるのではなく、作品を直に手に取り、紙の手触りやインクの匂い、また質感などの情報を視覚に還元することで、より深く作品を理解することが出来るという点にあると思うが、その五感を通して愉しむという行為は、幾分フェティシズム的な側面を持っているかもしれない。

自分も、個々の版画作品に比べると比較的入手し易かった挿絵本に目が行き、それなりに集めてみたが、収入が減って懐が淋しくなり、ほぼ全て手放してしまった。その名残りというわけではないが、挿絵本収集のための参考書として使った図録類が何冊か手元に残った。今では2000年に開館した〈うらわ美術館〉を始めとして、国内でも挿絵本に関する展覧会が開催されるようになり、図録も刊行されているが、自分が挿絵本に興味を持ち始めた1980年代には実用向きの案内書が見つからず、海外から挿絵本に関する図録類を取り寄せるしかなかったのである。何かの参考になればと思い、幾つか紹介する。実用度は個人的な評価であり、三つ星が無いのは、言葉の不自由さを差し引いているからである。

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エコール・ド・パリの画家と彫刻家を主とする挿絵本、いわゆるリーヴル・ダルティストの基本文献として長く使われてきたガイドブック「Anthologie du Livre Illustré par les Peintres et Sculpteurs de l'Ecole de Paris」。1931年、ピカソが挿絵を描いたオヴィディウスの「転身譜(Les Métamorphoses d'Ovide )」の出版から出発し、現在は美術書の出版で知られるアルベール・スキラ出版(Édition Albert Skira, Genève) を設立したスイス ジュネーヴ生まれの出版人アルベール・スキラ(Albert Skira, 1904-1973)が、19世紀末のマネから第二次世界大戦が終結する1945年までのエコール・ド・パリの画家と彫刻家を主とする挿絵本のカタログを編纂、その書誌学的情報を巻末に添え、1946年に出版したもの。序文は作家、劇作家、美術史家でもあった、美術評論家のクロード・ロジェ=マルクス(Claude Roger-Marx, 1888-1977)。テキストはアンリ・マチス(Henri Matisse,1869-1954)が自身の挿絵本制作について述べた"Comment j'ai fait mes Livres(私は本造りをどのよう行なったか)"。図版として、Beaudin, Bonnard, Braque, Chagall, Chirico, Dali, Denis, Derain, Dufy, Ernst, Gaugin, Gris, La Fresnaye, Laprade, Laurencin, Laurens, Léger, Maillol, Manet, Marcoussis, Masson, Matisse, Miro, Pascin, Picasso, Redon, Rodin, Rouault, Roux, Roy, Segonzac, Toulouse-Lautrec, Vlaminck, Vuillardの挿絵92点を収録している。アルベール・スキラ出版(Édition Albert Skira, Genève)(1946年刊)、206x140mm、120ページ、仏語。実用度:★

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1969年の10月から11月にかけてフランクフルトのフランクフルト芸術協会(Frankfurter Kunstverein )で開催された、現代美術の最新の動向を俯瞰できる挿絵本と版画集の展覧会「illustrierte Bücher & Graphikmappen」の図録。1967年から1969年にかけて出版された挿絵本と版画集合わせて245点を書誌学的情報を添えモノクロ図版付きで紹介。フランクフルト芸術協会(Frankfurter Kunstverein, Frankfurt )(1968年刊)、211x292mm、244ページ。独語。実用度:★

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1946年に出版されたスキラの「Anthologie du Livre Illustré par les Peintres et Sculpteurs de l'Ecole de Paris」と同様、挿絵本(リーヴル・ダルティスト)の基本文献として利用されている「The Artist and the Book in France : the 20th Century Livre d'Artiste」は、ナビ派の画家ビエール・ボナール(Pierre Bonnard, 1867-1947)が、19世紀フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine, 1844-1896)の詩に108点のリトグラフと9点の木版画による挿絵を寄せ、二十世紀挿絵本の扉を開いたとされる挿絵本「Parallèlement(並行して)」から、二十世紀フランスを代表するピカソ、マチス、シャガールといった巨匠はもちろん、ビュッフェやミノーといった若手作家に至るまで、フランスの画家、彫刻家による200点余の挿絵本を取り上げている。著者はフランスの挿絵本に対する比類のない知識の持ち主でコレクターでもあるW.J.ストラッチャン(W.J. Strachan)。巻末に挿絵本の書誌学的情報とフランスの製本術に関する専門用語を掲載。ピーター・オーウェン社(Peter Owen, London)(1969年刊)、293x225mm, 368ページ、173点のモノクロ図版と8点のカラー図版。英語。実用度:★★

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1985年にロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館で開催された、同館の中にある国立美術図書館所蔵(The National Art Library of London's Victoria & Albert Museum)の、1870年代のマネから1980年代のフランチェスコ・クレメンテやリチャード・ロングに至る、約100年間に制作された挿絵本(リーヴル・ダルティスト)の歴史を美術の動向に即して俯瞰する展覧会「From Manet to Hockney: Modern Artists' Illustrated Books」の図録。こちらも挿絵本に関する基本文献として利用されている。館長のキャロル・ホグベン(Carol Hogben)が前書きを担当。11点の参考図版、挿絵36点のカラー図版、167点の挿絵本が、書誌学的な情報を添えて、一頁ないし二頁一点の、挿絵図版付きで紹介されている。ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(Victoria & Albert Museum, London)(1985年刊)、270x225mm、380ページ。英語。実用度:★★

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1987年にフランスの大手出版社フラマリオン(Flammarion, Paris)から出版された「Le peintre et le livre: L'age d'or du livre illustre en France, 1870-1970」は、挿絵本(リーヴル・ダルティスト)の黄金時代と言われる1870年から1970年の100年間に刊行された挿絵本の歴史を、画家と詩人(Manet et Mallarmé, Bonnard et Verlaine, Picasso et Reverdy, Derain et Apollinaire, Léger et Malraux, Mirò et Tzara, Sonia Delaunay et Cendrars等々)、そしてそれらの版元との関係において捉えたもの。著者は当事パリ大学付属ジャック・ドゥーセ文学図書館の司書であったフランソワ・シャポン(François Chapon)。フラマリオン社(Flammarion, Paris)(1987年刊)、317x247mm、320ページ、200点のモノクロ図版、60点のカラー図版。仏語。実用度:★

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1988年にパリにあるフランスの国立図書館で、戦後間もない1947年から1985年にかけて出版された54点の挿絵本(リーヴル・ダルティスト)を集めてで開催された展覧会「50 livres illustrés depuis 1947」の図録。パリの国立図書館(Bibliothèque Nationale、Paris)の書籍部で、稀覯本の保存管理を行なっているアントワーヌ・コロン(Antoine Coron)が企画と図録の編集を行ない、前書き執筆している。カラー図版入りで紹介されている54点の挿絵本には、詳細な書誌学的情報が添えられ、本文中にPierre Alechinsky, Piere-Andre Benoit, Michel Butor, Dominique Fourcade, Gilbert Lascault, Bruno Roy, Jean Royのテキストが挿入されている。国立図書館(Bibliothèque Nationale、Paris)(1988年刊)、210x300mm、150ページ、54点のカラー図版。仏語。実用度:★

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かつてはチェコスロバキア共和国(1992年にチェコ共和国とスロバキア共和国に分離)、今はチェコ共和国(Czech Republic)の都市ズノイモ出身で、コンセプチュアル・アーティスト、写真家、美術史家、学芸員、教育者と幾つも顔を持つ、ヤロスラフ・アンデル(Jaroslav Anděl, 1949-)の企画により1989年2月から6月にかけてニューヨーク市のフランクリン・ファーナス社(Franklin Furnace, Inc.)(註1)のギャラリーで開催された表現主義、キュビスム、未来派、ダダイスム、構成主義、シュルレアリスムといった20世紀初頭のアヴァンギャルドと呼ばれる前衛的な芸術運動の中から生まれた挿絵本(リーヴル・ダルティスト)に焦点を当てた展覧会「The Avant-Garde Book 1900-1945」の図録。この展覧会では、装丁や文字組み、タイポグラフィや写真の利用など、斬新な感覚を盛り込んだ挿絵本が数多く取り上げられており、挿絵本制作において画家兼作家としての画家が果たした役割に注目する一方、画家と作家との共同作業についてもスポットを当てている。図録には書誌学的な情報を交えながら、160点の挿絵本が、多くのモノクロ図版を使って、紹介されている。フランクリン・ファーナス社(Franklin Furnace, Inc.)(1989年刊)、280x215mm、68ページ、110点以上のモノクロ図版。英語。実用度:★

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ニューヨーク近代美術館の版画および挿絵本部長(Chief curator of the Department of Prints and Illustrated books at the Museum of Modern Art, New Yorok)リヴァ・キャッスルマン(Riva Castleman)によって、挿絵本(リーヴル・ダルティスト)の成立背景とその歴史的流れを、画家と出版者、作家、そして印刷所との関係にまで言及しつつ考察することで挿絵本の実像を浮かび上がらせるべく企画され、1994年10月から翌95年1月にかけて開催された挿絵本の一世紀を辿る展覧会「A Century of Artists Books」。これはその展覧会に際し刊行されたもの。キャッスルマンが選んだ140点の挿絵本が、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館で開催された展覧会「From Manet to Hockney: Modern Artists' Illustrated Books」に倣い、195点(内76点はカラー)の図版を添えた書誌学的な情報を盛り込み、紹介されている。ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New Yorok)(1994年刊)、287x251mm、263ページ、図版195点(内76点はカラー)、28点の参考図版。英語。実用度:★★

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「The Century of Artists' Books」は1995年にニューヨーク市のグラナリー・ブックス社(Granary Books)から刊行されたアーティスツ・ブック(Artists' Book)に関する包括的な研究書。著者は版画家、作家、学者で、1972年から自らもアーティスツ・ブックの制作を行なっているイェール大学の美術史学部で現代美術と理論の准教授を務めるジョハンナ・ドラッカー(Johanna Drucker)。いわゆる豪華本と呼ばれる小部数限定の版画を用いた挿絵本が下火を迎える1970年代以降に制作された、今日的な新しい表現形式としてのアーティスツ・ブックは、キュビスム、未来派、ロシア・アヴァンギャルド、ダダ、シュルレアリスムなど、二十世紀初頭に次々と起こったアヴァンギャルドと呼ばれる前衛的な芸術運動の流れを引き継ぐ芸術行為として捉えられる。本書はそのアヴァンギャルドの歴史的流れを踏まえつつ、18世紀イギリスの画家、詩人、銅版画家、挿絵画家人ウィリアム・ブレイク(William Blake, 1757-1827)のレリーフ・エッチング用いた彩飾印刷(Illuminated Printing)による彩飾本のひとつ「The Book of Urizen(ユリゼンの書)」(1794年)からマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887-1968)の「La boîte-en-valise (トランクの中の箱)」(1936~1941年)までの200点以上のアーティスツ・ブックの構成や表現形式、コンセプトを、制作者としての経験を活かして詳細に分析、芸術表現としての可能性を探る。グラナリー・ブックス社(Granary Books, New York)(1995年刊)、236x160mm、377ページ。200点以上のアーティスツ・ブックのモノクロ図版。英語。実用度:★

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1909年に設立され、美術館活動を様々な形で支援する非営利組織として、アメリカ合衆国や国外の300近い美術館がそのメンバーとして名を連ねるアメリカ芸術連盟(AFA=The American Federation of Arts)が企画を行ない、1980年代以降に制作されたアーティスツ・ブックに焦点を当て、1998年2月から1999年12月にかけて全米6箇所の美術館を巡回した芸術表現としての本に関する展覧会「ARTIST / AUTHOR CONTEMPORARY ARTISTS' BOOKS」の図録。著者は、インディペンデント・キュレーターで美術史家、ベルギーはヘント(Ghent)にあるアーティスツt・ブックの版元《Imschoot, uitgevers》編集者でもある,コルレリア・ラウフ(Cornelia Lauf)と、ニューヨーク近代美術館の前図書館長であったクライヴ・フィルポット(Clive Phillpot)。巻末に展覧会に出品された1980年以降に出版されたアーティスツ・ブック130点のリストとその出版社(者)の住所が載っている。アメリカ芸術連盟&ディストリビューテッド・アート・パブリッシャーズ社《The American Federation of Arts & D.A.P(Distributed Art Publishers), New York》(1998年刊)、261x240mm、170ページ、80点のカラー図版と25点のモノクロ図版。英語。実用度:★★




1.Franklin Furnace was founded in 1976 by artist Martha Wilson to champion ephemeral forms neglected by mainstream arts institutions. The organization has developed a place in art history for artists' books, temporary installation art, and performance art, and researched the history of the contemporary artists' book through such exhibitions as:「Cubist Prints/Cubist Books」,「The Avant-Garde Book: 1900-1945」,「Fluxus: A Conceptual Country」, as well as thematic shows such as 「Artists' Books: Japan(日本のアーティストが創った本の展覧会)」,「Multiples by Latin American Artists」,「Contemporary Russian Samizdat」and「Eastern European Artists' Books」.(フランクリン・ファーナス社の紹介記事より抜粋)
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by galleria-iska | 2014-05-21 21:10 | 図録類 | Comments(0)
2014年 05月 13日

ジョルジオ・モランディの銅版画展図録「Morandi 50 gravures」(1979)

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1979年の早い時期にパリのベルクグリュン画廊(Galerie Berggruen, Paris)で開催されたイタリアの画家ジョルジオ・モランディ(Giorgio Morandi, 1890-1964)(註1)の銅版画展「Morandi 50 gravures」の図録。この画廊で3月から4月にかけて水彩画展「Folon aquarelles」を開いたベルギーの画家で彫刻家のジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)(註2)が序文を書いている。

この展覧会は、モランディの友人で生涯の契約画廊であったミラノの画廊ガレリア・デル・ミリオーネ(Galleria del Milione, Milan)を設立したジーノ・ギリンゲッリ(Gino Ghiringhèlli, 1898-1964)の娘パオラ・ギリンゲッリ(Paola Ghiringhèlli, 1950-2012)の協力で実現したもので、パリにあってもモランディの銅版画作品を経年的に纏まった形で見ることができた最初の機会であったと思われる。ジーノ・ギリンゲッリは1930年代に、友人であるモランディや彼が影響を受けたデ・キリコ(Giorgio de Chirico, 1888-1978)や・カルロ・カッラ(Carlo Carrà, 1881-1966)、マリオ・シローニ(Mario Sironi, 1885-1961)といった形而上学絵画の作家達を紹介するとともに、ドイツ生まれのフランスの画商カーンワイラーの紹介でレジェやグリスといったキュビスムの画家の作品も取り扱い、またスイスのクレーやカンディンスキーとも交流を持つが、1964年6月19日に最も親しかったモランディが亡くなると、心の隙間を埋めることができず、二ヵ月後の8月19日に後を追うように亡くなる。そのジーノが遺した画廊とモランディのコレクションを受け継いだのが娘のパオラで、彼女は1970年にイタリアで最初のフォロンの個展を開催したことからフォロンのマネージメントを行なうようになり、後に彼の二人目の妻となる。

●作家:Giorgio Morandi(1890-1964)
●種類:Catalogue
●題名:Morandi 50 gravures
●序文:Jean-Michel Folon(1934-2005)
●技法:Offset
●サイズ:220x115mm
●発行:Berggruen & Cie, Paris
●印刷:Imprimerie Union, Paris
●制作年:1979

モランディは、国内的な評価よりも国際的な評価が先行した棟方志功(Shikō Munakata, 1903-1975)と同じく、美術界の潮流から距離を置くことで独自のスタイルと作品世界を切り拓いた作家であるが、第二次世界大戦後に生まれた現代美術の新しい視点によって国際的な評価を得るようになった点においても、その時期が棟方とほぼ重なっている。棟方は1952年の第二回ルガノ国際版画ビエンナーレで優秀賞(Prize of Excellence)を受賞,1955年の第三回サンパウロ・ビエンナーレの版画部門で最高賞(First Prize )、翌1956年の第二十八回ヴェネツィア・ビエンナーレでは版画部門の大賞(Grand Prize )を受賞している。一方のモランディも戦後初の開催となった1948年の第二十四回ヴェネツィア・ビエンナーレの絵画部門にカッラとデ・キリコとともに出品して受賞(City of Venice Prize)、1953年の第二回サンパウロ・ビエンナーレの版画部門で大賞(Grand Prize)、1957年には第四回サンパウロ・ビエンナーレの絵画部門で大賞(Grand Prize )を受賞している。これらの国際的評価は作品価格にも反映されていくこととなり、今では纏まったコレクションを形成することは、たとえ潤沢な資金を用意することが出来たとしても、不可能に近いと言える。良質なコレクションは作家と二人三脚で作り上げていくことが一番の早道であるが、同時代的でなかったとしても、その時代から見逃された作家を見つけ出す嗅覚があれば、まだ可能性は残っている。ただ、モランディについて言えば、その時機はとっくに逸してしまっているのだが。
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モランディが友人のジーノ・ギリンゲッリに宛てて書いた手紙(1959年11月26日の日付)
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ジョルジオ・モランディの版画カタログ・レゾネ(1964年刊)の改訂新版、1989年刊、215x157x33mm「L'Opera Grafica di Giorgio Morandi」by Lamberto Vitali, published by Giulio Einaudi editore s.p.a., Torino.
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註:

1.「近代絵画の父」と呼ばれるポール・セザンヌは最初印象派のグループの一員としてモネやルノワール等と共に活動していたが、1880年代からグループを離れ、伝統的な絵画の約束事にとらわれない独自の絵画様式を探求した結果、静物画と風景画において多くの傑作を残し、二十世紀美術に多大な影響を与えた。そのセザンヌ的なるものを背後に感じさせるモランディも初期には形而上学絵画の影響を受けるも、次第に特定の流派や運動から遠ざかり、ボローニャのアトリエに篭り、“卓上静物画”を中心に独自の画風を確立し、二十世紀イタリアを代表する画家のひとりとなった。その作品価格は国際的な評価が高まるにつれに上昇、油彩画については、サザビーやクリスティーといった有名オークション・ハウスでの落札価格はとっくに億を超えており、銅版画についても、1997年にモランディの版画とデッサン50点による売りたての図録が手元にあるが、安いもので100万円、良品なら300万円以上、傑作となると800万円以上の評価が付けられており、画廊に並んだ場合はそれ以上の価格になることは間違いない。

2.モランディの絵画に傾倒し、モランディの銅版画の描法に影響を受けた作品を幾つか残しているフォロンはこの年の4月から5月にかけてロンドンの老舗版画画廊ラムリー・カザレット(Lumley Cazalet Ltd., London)で開催されたモランディの銅版画展「Giorgio Morandi, Etchings 1915-1961」の序文も書いており、自身も11月から12月にかけて同画廊で水彩画と銅版画による個展「Folon Watercolors and Etchings」を開いている。フォロンはこの展覧会の数年前にパオラの案内でモランディのアトリエを訪れ、室内の様子を写真に収めており、彼女の父とモランディとの交流を一冊の本にまとめ、1985年にアリス出版(Alice Editions, Biti Edizioni. Milano)からイタリア語版の『モランディの花(Fiori di Giorgi Morandi)』、パリの出版社エルシェ(Herscher)からフランス語版の「Fleurs de Giorgio Morandi」をそれぞれ出版している。
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パリのベルクグリュン画廊で行なわれたフォロンの水彩画展「Folon aquarelles」の図録
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フォロンの表紙絵(裏+表)
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by galleria-iska | 2014-05-13 11:42 | 図録類 | Comments(0)
2014年 04月 03日

デイヴィッド・ホックニーの写真展図録「Photographs by David Hockney」(1986-1988)

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          図版:デイヴィッド・ホックニー“英国大使館での昼食”1983年2月16日、東京(117.3x211.6cm)                          
             (David Hockney: Luncheon at the British Embassy Tokyo, 16 February 1983)

3月16日の日曜日、家庭の日(毎月第3日曜日)最後の無料観覧を利用し、食にまつわる作品を国内各地の美術館から集めて開催中の展覧会『ア・ターブル!―ごはんだよ! 食をめぐる美の饗宴―』を観るために、三重県立美術館に出掛けた。そこで偶然にもデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)の大きなフォトコラージュ『英国大使館での昼食 1983年2月16日、東京(Luncheon at the British Embassy Tokyo, 16 February 1983)を観ることができた。縦117.3cm、横211.6cmと、ホックニーのフォトコラージュの中でも最大クラスの作品で、キュビスムの複数の視点から捉えられた対象を再構成する手法に倣って考案されたホックニー独自の写真術(註1)によって、カメラのレンズを通して捉えられたホックニーの視点の移動を追体験できるように画面が構成されており、同時にそれは、単一の静止画面である一枚の写真からは得られない、重層的な時間体験を可能にするものである。個々の写真は、落ち着いた色調の壁面や床と呼応するダークブラウンのボードに重なり合うようにコラージュされ、和やかに進む食事会のインティメイトな雰囲気を映し出しており、フェルメールを想起させるようなガラス窓から差し込む柔らかな外光が、人物やテーブルの上に置かれた食器やグラスに印影と立体感を与え、ホックニーの絵画における自然主義的な端正で正確な画面を見るような美しさを放っていた。

この図録は1986年から88年にかけてワシントンD.C.の《International Exhibitions Foundation》によって企画され巡回したホックニーの写真展に合わせて刊行された図録で、ホックニーが1983年にロンドンのビクトリア・アルバート美術館で行なった写真についての講演から書き起こしたエッセイを収録している。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Exhibition catalogue
●サイズ:255x203mm
●技法:Offset
●発行:International Exhibitions Foundation, Wahington, D.C.
●印刷:Schneidereith & Sons, Inc.,
●制作年:1986
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註:
1.ホックニーは自身の写真術について次のように語っている:
“僕は新しい写真をキュビスムの思想に従って並べてみた。キュビストの静物画の一種の模倣をやってみようと、ギターを借りて伝統的静物画のモティーフらしくしつらえると、おもしろいことにピカソやブラックの作品に見えてきた。1枚きりの写真よりは、この方がずっと本当らしく見える。この方法はたちまち多くのモチィーフに及んだ。手間のかかるのは肖像画だった。全体の部分を1枚1枚カメラで撮る時は、一つの目でみていることにしかならないが、完成した全体を見渡すなら、二つの目を使って見たというリアリティが強調されてくる。全体を見ようとすれば目は動き続けるけれど、それが、生の体験とちょうど同じなのは言うまでもない。”("David Hockney Photographs",Petersburg Press, London,1982)より

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by galleria-iska | 2014-04-03 12:32 | 図録類 | Comments(0)
2013年 02月 06日

リキテンスタイン版画の世界展図録「Roy Lichtenstein」(2004)

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●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Exhibition Catalogue
●題名:Roy Lichtenstein
●サイズ:303x226mm
●技法:Offset
●発行:The Committee for "Roy Lichtenstein" exhibition
●制作年:2004
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現代美術に関して、昨今、ポスターや案内状、冊子などのエフェメラの持つ意義が見直されてきているが、発行元である画廊では、販促のためのものとして省みられることは少なく、欧米では古書店で取り扱われることが多いようである。告知や作品に関する簡単な情報源として用が済めば棄てられてしまうことも多いエフェメラであるが、それに作家との接点を求めたり、展覧会に思いを馳せ、追体験する装置として働いたり、時代の空気を孕んだものとして愛着を感じたりすることもある。国内では商品として流通していないこともあるのだろうが、一部の紙物コレクター以外は関心を持つ者は少なく、それらを体系的に分類したり、作家の作品制作の背景や変遷を探るための手掛かりとして調査・研究する研究者や画廊も少ないのではなかろうか。前回取り上げたロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)のカバーアートの紹介の中で引用した、アメリカの美術史家で評論家のバーバラ・ローズの展評の中に次ぎのような言葉がある。
“それまで「芸術か非芸術か」といった論争の絶えなかったポップ・アートが、権威ある美術館に展示されることによって芸術になった”
これを美術作品として発表されたわけではないエフェメラにそのまま当て嵌めることはできないが、作家のオリジナル・デザインによる案内状やポスターなどについては、作品成立との関連性やその背景を窺い知ることができ、尚且つ作品としての自立性を兼ね備えているものもあることから、もっと議論や評価がなされるべきかと思われる。そういう意味で、2004年に名古屋市美術館で開催された「リキテンスタイン 版画の世界展(Roy Lichtenstein )」(註1)は注目に値する企画であったと思う。この展覧会は、いわゆる海外の美術館の収蔵品を紹介するものではなく、名古屋市在住のコレクター所蔵の作品を中心に、初期の木版画から晩年までの作品約100点を展示する企画展であったが、そのうち四分の一ほどを、通常の展覧会では展示されず図録の資料として扱われる、案内状(1点)、ポスター(12点)、雑誌等のカバー(7点)、挿絵(5点)、絵皿とワインボトルの包み紙(各1点)が占めており、版画作品と並置するという展示方法が採られた。それは単なる数合わせのためという性質のものではなく、消費社会の姿を反映したポップ・アートを代表する作家の一人であるリキテンスタインの作品成立と深く関わり、社会との接点でもあるエフェメラを作品と同時に見せることで、ポップ・アートがどういう風に受容されていったのかを知る上でも重要な意味を持つものであり、“権威ある美術館に展示されることによって”卑近なものと高尚なものとの壁を取り払う試みとして捉えられなくてはならない。この展覧会のアイデアを提案したのは、美術館の学芸員と親しい人から聞いた話によると、楠本さんという、名古屋市で現代美術を専門に扱うギャルリー・エチュード(Galerie Étude)のオーナーで、この地域におけるエフェメラ研究の先駆的存在であるとのことであった。エフェメラに関心ある方は、一度訪ねてみる価値はあるかもしれない。

ギャルリー・エチュード:〒460-0002 名古屋市中区丸の内3丁目6-11 レインボー丸の内202号 電話(052)954-4500

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註:
1.名古屋市美術館での版画展に先立つこと6年前の1998年、この版画展の下敷きになったと思われる展覧会「リキテンスタイン 版画の宇宙展(The Prints of Roy Lichtenstein:Cosmos of his Art)」が開催され、全国6ヶ所の美術館を巡回している。この展覧会はリキテンスタインが亡くなる直前に企画されたもので、1994年のワシントン・ナショナル・ギャラリーでの版画展を参考に、初期の木版画から最後の作品まで約90点を展示、ブックカバーなども数点ではあるが出品された。
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「リキテンスタイン 版画の宇宙展(The Prints of Roy Lichtenstein:Cosmos of his Art)」の図録(プラスティックケースを取り外して撮影)

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Exhibition Catalogue
●題名:The Prints of Roy Lichtenstein:Cosmos of his Art
●サイズ:300x210mm
●技法:Offset
●発行:The Committee for "The prints of Roy Lichtenstein" exhibition
●制作年:1998
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展覧会のチラシと入場券の画像を追加
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by galleria-iska | 2013-02-06 12:51 | 図録類 | Comments(0)
2013年 01月 05日

棟方志功の図録「Shiko Munakata」(1960)

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棟方志功(Shikou Munakata, 1903-1975)と言うと、日本人には、仏師ではなかったが、魂に触れる仏像を彫った“円空”にも似た存在であったのかもしれないし、欧米人には表現主義にも通じる人間の強い情念を感じさせる作家に見えたかもしれない。自分にとっては、戦前から戦後の復興期にかけて活躍した版画家として、同時代の作家ではなかったようについ思ってしまうのだが、実際はコンセプショナル・アート全盛の1970年代の中頃まで制作を続けていた作家であり、“民藝”という堅固な括りのなかでその存在を輝かせいるが故に、いわゆる美術界からははみ出た存在であったように思う。従ってその磁力が弱まる関東より以西に住む者には作品に接する機会はあまりなく、伝説の作家というような捉え方になってしまい、棟方の版画作品に直に対峙する前に既にその魅力というものを掴みきれない状態が出来上がってしまっていたように思う。そうした棟方の版画家として立ち位置を測りかねていた時、時間つぶしに立ち寄った書店で、没後4年経って刊行された長谷日出雄の「鬼が来た」(上下二巻)の文庫版(1984年刊)を偶然見つけ、少しはもやもやした気持ちが解消されるのではと思って購入、一気に読み終えたのだが、独創的な作品を数多く生み出した才気溢れる人間像が語られているのかと思いきや、棟方の生の人間像に迫る描写に、自惚れと嫉妬という強烈な毒を内に持った人間であるとの印象を強く持ってしまった。柳宗悦という一流の“蛇使い”に出会わなければ、ただの独りよがりの作家に終わってしまったかもしれないが、時代を超える作家というものは、いつもアカデミズムを超越したところから生まれてくることは確かのようである。

ここで取り上げるのは、フランスの古書店から入手した棟方志功の一枚刷りの展覧会図録である。内容は、1960年から二年にわたりヨーロッパの主要都市(註1)を巡回した棟方志功の版画展に先立ち、「ヨーロッパ巡回棟方志功展国内展示」(主催:国立近代美術館/国際文化振興会/日本民芸館/後援:外務省/毎日新聞社)と銘打ち、1959年10月24日から11月8日までの二週間、京橋にある東京国立近代美術館(Musée National d'Art Moderne de Tokyo )で開催された展覧会の内容をフランス語に翻訳したもので、フランスでの展覧会(会場は不明)の際に使われたものかと思われる。凸版印刷による図版は棟方の墨摺りの大作「華狩頒板壁画」(1954年)で、ドイツ語、フランス語、イタリア語で題名が記されている。棟方は、朝鮮半島北部にある高句麗古墳内部に描かれた狩猟図壁画と四方に花矢を放つアイヌ祭りに触発されて制作したこの作品について、「弓を持たせない、鉄砲を持たせない、心で花を狩る」という言葉を残している。テキストは当時日本民藝館の館長であった柳宗悦による「棟方の藝術」。

国際文化振興会(KBS)主催による「欧州巡回棟方志功展」は、1960年度開催分は定かではないが、1961年1月から12月にかけてオランダ、ポーランド、イギリス、西ドイツ(1949-1990)、チェコスロバキア(1918-1992)、ユーゴスラビア(1929-2003)を巡回している。

●作家:Shiko Munakata(1903-1975)
●種類:Catalogue
●サイズ:365x525mm
●技法:Letterpress
●発行:Musée National d'Art Moderne de Tokyo
●印刷:Bijutsu Shuppann-sha, Tokyo
●制作年:1959
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註:
1.1960年に開催された展覧会のうち、判明しているのは以下のもの:
イタリア:"Shiko Munakata: Incisioni" Galleria Civica d'Arte Moderna, Torino, 1960
西ドイツ:"Shiko Munakata: Holzschintte" Städtischen Museum Braunschweig, Braunschweig, 1960
オーストリア:"Shiko Munakata: Holzschnitte" Österreichisches Museum für Angewandte Kunst, Wien, 1960
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by galleria-iska | 2013-01-05 18:53 | 図録類 | Comments(0)
2012年 12月 24日

ニキ・ド・サンファルのアーティスト・ブック「Niki de Saint Phalle」(1968)

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時節がらクリスマス、あるいは来年の干支に因んだ(?)ものでもないかと思っていたところ、こんなものがあった。ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)が1968年にロンドンのハノーヴァー画廊(Hanover Gallery, 1947-1973)で開催した個展に合わせて刊行した、自身三作目となるアーティスト・ブックである。

北ドイツの都市の名前を連想させるるハノーヴァー画廊は、1947年にドイツ出身のエリカ・ブラウゼン(Erica Brausen, 1908-1992)(註:1)によってロンドンに設立された現代美術を専門とする画廊で、20世紀のアイルランドを代表する画家フランシス・ベーコン(Francis Bacon, 1909-1992)の最初の契約画廊として、1949年に最初の個展を開催、1950年代末まではパトロン的存在でもあった。ハノーヴァー画廊は特に彫刻の紹介に力を注ぎ、イギリスの彫刻家レッグ・バトラー( Reg Butler.)やエドゥアルド・パオロッツィ(Eduardo Paolozzi, 1924-2005)を始め、アルベルト・ジャコメッティ(,Alberto Giacometti, 1901-1966)、マリノ・マリーニ(Marino Marini, 1901-1980)などの個展を開催する一方、デュシャン、エルンスト、マン・レイ、マグリットといったシュルレアリストの個展や作品展も開催している。そのハノーヴァー画廊が、1965年から1968年にかけてパリとニューヨークでニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)の個展を開催していたイオラス画廊の協力を得て、1968年10月2日から11月1日までの日程で、ロンドンでの初めての個展を開催する。それに合わせて刊行されたのがこのアーティスト・ブックで、テキストは一切無く、黒地を背景に、ニキの代表的なモチーフがシルクスクリーンによる鮮やかな色彩で印刷されている。印刷を行なったのは、ミラノに工房を持ち、1960年代後半から70年代初頭にかけて、イオラス画廊やハノーヴァー画廊の図録の印刷を手掛けたセルジオ・トシ(Sergio Tosi)(註:2)である。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Artist's book
●題名:Nki de Saint Phalle
●サイズ:208x165mm
●技法:Silkscreen
●発行:Hanover Gallery, London
●印刷:Sergio Tosi, Milan
●制作年:1968
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註:
1.年譜などによると、エリカ・ブラウゼンは1908年、ドイツの中西部の都市デュッセルドルフ(Düsseldorf)に生まれる。1930年代にナチが勃興すると、パリに向うためにドイツを去る。パリの書店で働きながら現代美術の展示を行なう。そのとき友人となったミロに連れられ、地中海西部のバレアレス諸島中の最大の島、マヨルカ島(Mallorca)に行き、そこで作家や芸術家で賑うバルを経営する。スペイン市民戦争中は、友人のユダヤ人や社会主義者たちの脱出を助けるためにアメリカ海軍と連絡を取り合い、自らも漁船に乗って逃れる。そして第二次世界大戦が始まったとき、一文無しでロンドンに辿り着く。ロンドンで旧友たちと再会、小規模や展覧会を企画するが、ドイツ人として働くことは困難で、同性愛者との結婚によって身分の保証を得、ロンドンで名声を得ていたリドファン画廊(Redfern Gallery)で画商としての一歩を踏み出す。1946年にアメリカの富豪の銀行家で画廊のオーナーであるアーサー・ジェフレス(Arthur Jeffress)出会い、彼から資金援助を受け、1948年、自らの画廊を開く。

2:同じ年の6月から8月にかけて開催されたマグリットの彫刻展の図録として刊行された折り本形式の「The Eight Sculptures of Magritte」の印刷もセルジオ・トシが行なっている。
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by galleria-iska | 2012-12-24 18:13 | 図録類 | Comments(0)
2012年 12月 20日

デイヴィッド・ホックニー回顧展図録「David Hockney A Retrospective」(1988)

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これは1988年から1989年にかけてロサンゼルス郡立美術館(Los Angeles County Museum of Art)、テイト・ギャラリー(Tate Gallery)、メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)を巡回したデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1938-)の回顧展の図録(註1)であるが、ここで注目したいのは、図録の内容ではなく、巻末に付けられた目次にも記載されていないホックニーのオリジナル・プリントである。この図録のカバーのそで(Front flap)に載せられた紹介文に目をやった人はいるだろうか。以下引用:
「A particular feature of this book is the 24-page section of original prints, specially made by Hockney himself as an integral part of the book - a bonus for the reader and a collector's item for the future 」
このオリジナル・プリントは、ホックニーがこの図録のために、1986年にカラー・コピー機(Canon P.C.25, Canon N.P.3525, Kodak Ektaprint 225F)を用いて制作した“ホーム・メイドプリント(Home made print)”(註2)の手法で特別に制作したもので、タイトルページと自身の解説を含む、24ページからなる歴としたオリジナル作品で、リトグラフで印刷されている。その出来栄えは、単なる図録のおまけというものではなく、一連の“ホーム・メイド・プリント”と比べても全く遜色ない。この部分だけ取り外し、好みの装丁を施して製本すれば、ホックニーのオリジナル版画集、あるいはアーティスト・ブックとして愉しむことも可能である。

しかしながら、このホックニーの善意の目論見は、“ホーム・メイド・プリント”がかなりの高額で流通しているのにも拘らず、また発行部数が大量(59000部)であるという点を差し引いたとしても、現時点では正当な評価を得ているとは言えない。古書店では他の一般的なホックニーの図録や画集と同じ扱いを受けており、オリジナル・プリントの評価が全く加えられていないように思われるし、ネット・オークションでも数千円も出せば購入することができる。果たせるかな、それらの案内でオリジナル・プリントに言及しているもは皆無であり、どうみても図版の一部としか見ていないようである。そしてこのことは日本国内だけの話ではなく、アメリカやイギリスでも全く同じである。やはりそこには“時間の壁”が大きく立ちはだかっているのかもしれない。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Catalogue with a section of the 24 pages of original prints
●題名:Commercial printing is an artist's medium
●図録:286x270mm
●サイズ:280x260mm(280x520mm)
●技法:Lithograph
●限定:59000
●発行:Los Angeles County Museum of Art & Thames & Hudson, Los Angeles & London
●印刷:Gardner Lithographics, Los Angeles
●制作年:1988
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註:
1.
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この図録の日本語版が同年、リブロポートから「ホックニー画集―ひとつの回顧」(ロナルド・B. キタイ著、西野 嘉章訳、定価12000円 )として刊行されている。

2.
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ホックニーのホーム・メイド・プリントのカタログ・レゾネ「David Hockney:Home Made Prints」Self-published in conjunction with a 1986 exhibition at New York's Andre Emmerich Gallery. Ptinted in Switzerland by Waser Druck, Zurich, 280x219mm
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by galleria-iska | 2012-12-20 20:48 | 図録類 | Comments(0)