ガレリア・イスカ通信

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2010年 11月 19日

ロイ・リキテンスタインの版画の出版案内「Castelli Graphics」(1982)

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1982年2月22日にロサンゼルスで録画され、3月21日に全米テレビで放映された『私は自由を愛する祝典(I Love Liberty celebration)』に合わせて制作された、ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein 1923-1997)のシルクスクリーン版画「I Love Liberty」の出版案内。ミニチュアサイズ(87x56mm)のイメージが表紙にシルクスクリーンで印刷されており、案内には作品の詳細が記載されている。出版価格は1200ドル、当時の平均的な為替レート($=235円)で邦貨に換算すると凡そ28万円であった。「I Love Liberty」は現在280万円以上という非常に高い価格評価を得ているが、これは美術作品としての評価に加え、その図像が新たなアイコンとしての意味を持つことになったことによるのかもしれない。

部分的に着色されているものの、光と影だけて表された自由の女神像は、日本の人気アニメに出てくる搭乗型ロボット兵器(1)を連想させはしないだろうか。リキテンスタインは1980年にドイツ表現主義のスタイルを引用した版画シリーズを制作しているが、その誇張された描線と強いコントラストを特徴とする表現主義のスタイルを若干引きずっているように見えなくもない自由の女神像が、期せずして日本のアニメのキャラクター表現に接近してしまったということかもしれない。しかしながら、自由の女神像が担っていたであろう本来の意味は、あまりに有名な観光名所のイメージとして消費されていく中で、その物質的な意味の背後に追いやられてしまっていたのだが、リキテンスタインによって、メイプルソープによる彫刻を撮った写真と同質の、それが担う意味内容が集約された部分を切り取り、二次元図像に再構成して見せた結果、人々はそこに新たな象徴性を見い出し、新たなアイコンとして認知するに至ったのではないだろうか。


1.おそらく「機動戦士ガンダム」が思い浮かぶのではないかと思う。個人的な好みを言えば、「機動戦士ガンダム」に先立って制作された「勇者ライディーン」である。が、結局、どちらも安彦良和ではないか。自爆!!!

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Annoucement
●サイズ:172x128mm(172x255mm)
●技法:Silkscreen
●発行:Castelli Graphics, New York
●制作年;1982

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by galleria-iska | 2010-11-19 23:14 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2010年 11月 12日

ホルスト・ヤンセンのポスター「Kestner-Gesellschaft Hannover」(1965)

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1965年、ホルスト・ヤンセン35才のときにハノヴァーにあるケストナー協会で開催された最初の回顧展を告知するために制作されたリトグラフポスター。展覧会には、ヤンセンが1951年から1965年にかけて制作した木版画、リトグラフ、銅版画、鉛筆、色鉛筆、ペンによる素描,水彩画、全178点が出展され、展覧会に際し、ハンブルク美術大学の教授カール・フォーゲル博士(Dr.Carl Vogel)によるヤンセンの1951年から1965年までの版画作品全410点のカタログレゾネを収録した図録が刊行された。レゾネには、木版画、リトグラフ、銅版画作品の他、ポスターや通常版画作品とは認められない展覧会の案内および招待状も収録されている。

ヤンセンが版画大賞を受賞した1968年のヴェネツィア・ビエンナーレは、大国のエゴや商業主義に対する反対運動が巻き起こる混乱した状態の中でようやく開催されたため、ヤンセンも受賞を素直には喜べなかったようだ。1960年代後半は、社会の矛盾に対して学生が声を上げ、改革を要求するために行動を起こすといったラディカルな機運な一気に高まった時代であり、大衆文化を取り込んだポップアートの全盛期とも重なっている。ちょうどこの時期に独自の図像表現を創り上げたヤンセンの、いわば隠れた作品群を紹介する展覧会が、ヤンセンの生誕80年にあたる2009年にドイツのハンブルク美術館(Hamburger Kunsthalle)で開催された。このリトポスターもそうした作品の中の一点である。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Poster(Vogel 410)
●サイズ:610x430mm
●技法:Lithograph
●限定:500
●出版:Kestner-Gesellschaft Hannover
●刷り:Lindau, Langenhorn
●制作年:1965

このポスターには童話にでも出てきそうな何やら面妖な風体の大男と、その男にあやされるブリキの太鼓を叩く少年が描かれているのだが、黒い外套に帽子を被った眼鏡の大男はヤンセンその人らしい。軍楽隊のような制服を身に着けた少年は、頭をすっぽり隠してしまう、大人用の帽子?か何かを被っているため、顔の表情は分からないが、被り物に付いている円形のマークには-このポスターでは消されているが-早い刷りのものは《FUR MARIANNE(マリアンヌのために)》のという献辞が書き込まれており、ヤンセンと関係のあった女性の子供なのかもしれない。ヤンセンは画面の中に自分の住所や電話番号などは平気で書き入れおり、その他にもプライバシーに関わるようなことを書き入れ、刷りの前にあわてて塗り潰していることもある。

この子供が叩いているブリキの太鼓の胴周りの模様は、映画「ブリキの太鼓」の中で使われていた太鼓と同じ模様なのだが、ドイツでブリキの太鼓というと、戦前からずっと変わらない意匠だったのだろうか。と言うのは、ヤンセンと「ブリキの太鼓」の著者であるギュンター・グラスは親交があり、ヤンセンがこの小説を読み、何らかの意味をこめて、このポスターにブリキの太鼓を叩く子供を描き入れた可能性があるからである。一方、グラスは酒癖の悪いヤンセンに、かなり手を焼いていたようだが、何か揉め事が起きたということはなかったようだ。1969年には、グラスがテキスト、ヤンセンが挿絵を描いた一枚片面刷りの「豚の頭の肉ジェリー」という折本形式の《本》を、ハンブルクのメルリン出版から刊行されている。

『ブリキの太鼓』(Die Blechtrommel)とはドイツの彫刻家,版画家、小説家ギュンター・グラスが1959年に発表した長篇小説。ヤンセンは1953年、23才のときに居酒屋「ハントトゥーフ(手ぬぐい亭)」を開き、ジャズの演奏会のポスターを制作したりしていることから、この店がブリキの太鼓の太鼓の中にでてくる「たまねぎ亭」のモデルとなっている可能性がある。またヤンセンは「ブリキの太鼓」が発表される二年前の1957年の1月から2月にかけて、ハンブルクにあった自宅を開放して木版画の個展を開いているのだが、パウル・ヴンダーリッヒの協力で制作した告知用のリトグラフポスターにブリキの太鼓を叩く人物を描き、またその年の5月から6月にかけてブロックシュテット画廊の前身となる現代絵画画廊で開催した木版画展の告知用のリトグラフポスターにもブリキの太鼓を叩く人物を描いていることから、グラスが、ヤンセンの描いたブリキの太鼓を叩く人物像にヒントを得たのではないかという可能性も出てくる。

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1978年にオルデンブルク市立美術館で行なわれたヤンセンの1957年から1978年までのポスターを集めた展覧会の図録「Horst Janssen Plakate 1957-1978」に掲載されている図版。
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by galleria-iska | 2010-11-12 18:28 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)
2010年 11月 12日

ホルスト・ヤンセンの亜鉛版エッチング「Laatzen's Bilderbogen」(1966-1967)

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1966年から67年にかけてハンブルクの書肆へルマン・ラーツェンから順次刊行されたホルスト・ヤンセンの「絵草子」シリーズ全6点。亜鉛版エッチング=亜鉛凸版(Zinkätzung)による作品だが、見た目の判断でリトグラフと表記されることが多く、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が所蔵する三点(3,4,5)もリトグラフと表記されている。亜鉛版エッチングは古くはヴィクトリア朝の世紀末イラストレーター、ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley 1872-1898)のモノクロの挿絵の印刷に用いられた印刷方法(イギリスではライン・ブロックと呼ばれている)で、凹版技法のひとつであるエッチングとは逆に、描線部もしくはベタ部分以外を腐食し、木版と同じように凸部にインクを乗せ印刷を行なう。この技法は黒と白からなるコントラストの強い画面を作り出せるが、中間調の表現が難しく、絵画的な表現よりは、イラストレーションやポスターなど、グラフィックな表現に向いている。このシリーズでヤンセンは、1,2,3は主に白と黒の対比によってコントラストの強い画面を構成し、3.4.5も同じ技法を使いながらも、一本一本の線を細くし、それを平行して引くことで線の集合体を作り、白と黒の中間のトーン感じさせる工夫をしている。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Laatzen's Bilderbogen 1-6
●技法:Zinkätzung
●限定:1000
●発行:Hermann Laatzen, Hamburg
●制作年:1966-7
●サイズ:(1)619x439mm
      (2)625x435mm
      (3)623x438mm
      (4)635x448mm
      (5)639x446mm
      (6)637x446mm

ヤンセンの亜鉛版エッチングによるポスターと「絵草子」シリーズは、白と薄茶色の二種類の用紙を使って印刷されることが多く、このシリーズも二種類の用紙に印刷されているのだが、薄茶色の紙のものが市場に現われるのは稀で、今のところ確認できたのは1と2だけである。
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by galleria-iska | 2010-11-12 17:12 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)
2010年 11月 09日

ウィリアム・エグルストン写真展招待状「Robert Miller Gallery」(1993)

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1993年にニューヨークのロバート・ミラー画廊で開催された「ウィリアム・エグルストン展」のオープニングへの招待状。使われているのは1975年に撮影、ダイ・トランスファー・プロセス(Dye-transfer process)でプリントされた「Untitled」。ダイ・トランスファー・プリントは、イエロー、マゼンタ、シアン、3色の染料を使用した転染法によるカラープリントで、1945年にコダック社が開発、フィルム製造を止めた1995年に原材料の製造を中止している。ダイ・トランスファーは光に対する耐性が強く、発色にも優れているが、時間と手間と費用が掛かるのが難点で、デトロイト出身の写真家ハリー・キャラハン(Harry Callahan 1912-1999)によると、年収4000ドルだった1950年代初頭、ダイ・トランスファー・プリントを一枚作るのに150ドルも要したとある。その後の価格の推移は分からないが、エグルストンがダイ・トランスファー・プリントによる作品を制作したのは、カラー写真を始めてから7年目の1972年なので、やはり費用面での困難さがあったのではないかと推察される。

エグルストンのロバート・ミラー画廊での展覧会歴は以下の通り:

1984: 「William Eggleston: Dye Transfer Photographs of Elvis Presley's Home」, Robert Miller Gallery, New York
1993: 「William Eggleston」, Robert Miller Gallery, New York
1997: 「10.D.70.V1 and 10.D.70.V2」, Robert Miller Gallery, New York

芸術作品としてのカラー写真の可能性を切り拓いたと言われるウィリアム・エグルストンは1939年、テネシー州メンフィスに生まれる。1957年、18才の時に最初のカメラ、キャノンのレンジファインダーを手に入れ、翌年1958年、ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)一年の時に友人からライカをもらい、次第に写真に接近していくことになる。エグルストンを写真家に向かわせる切っ掛けになったのは、ミシシッピ大学で美術を専攻していた1959年に見た二冊の写真集、カルティエ・ブレッソンの「決定的瞬間(The Decisive Moment)」とウォーカー・エヴァンスの「アメリカン・フォトグラフス(American Photographs)」で、殊にカルティエ・ブレッソンは神のような存在であったと後に述懐している。とは言え、初期の作品は、ロバート・フランク、リー・フリードランダー、ゲイリー・ウィノグランドに影響を受けたモノクロ作品で、カラーネガを使い始めるのは1965年になってから。1967年からポジフィルムも使用。その年にニューヨークに行き、ゲイリー・ウィノグランド、リー・フリードランダー、ダイアン・アーバスと会い、ニューヨーク近代美術館の写真部門の部長(1962年~91年)であったジョン・シャーカフスキー(John Szarkowski 1925-2007)に自作のポートフォリオを贈る。1972年に最初のダイ・トランスファー・プリントを制作。そして1967年の邂逅から9年後の1976年、「エグルストンによりカラーのシリアス写真は発明された」と言うシャーカフスキー企画による個展がニューヨーク近代美術館で開催され,1969年から1971年にかけてテネシー州メンフィスで撮影した写真、約75点を展示。図録「William Eggleston's Guide」(ジョン・シャーカフスキー著、112ページ、48点のカラー図版、モノクロ1点、価格 12.5ドル)が刊行される。2002年に復刻(価格 34.95ドル)。

●作家:William Eggleston(1939-)
●種類:Invitation
●サイズ:203x146mm
●技法:Offset
●発行:Robert Miller Gallery, New York
●制作年:1993年
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話は逸れるが、エグルストンがライカを手にした頃、日本国内のライカの価格は二十万円前後と目が飛び出るほど高かったのだから、19才でライカを手にしたエルグストンはやはり写真家になる運命にあったのだろう。かく言う自分は、15の春に、小学校低学年の頃から使わずに貯めてきたお年玉(一人100円だったので500円も貰えればいい方だった)に親の援助を足し念願の一眼レフカメラを購入。ニコンFにしようか、ペンタックスにしようか悩み、どちらかと言えば機械音痴の身故にTTL露出計内臓のペンタックスSPに決めたのが、その後の写真人生を何か靄のかかったものにしてしまった、と後々思うことになる。30もとうに過ぎてから、知人からニコンFの中古を譲り受け、試しに撮った写真を見て驚愕、更に数年後、ライカで撮った写真を真近で見て、二次元の写真が三次元的に見えることに唖然とする。ペンタックスの呪いは、今このブログ用の画像を撮っているオリンパスの200万画素のコンパクトカメラに乗り移り、物撮りに手を焼く結果を招いている。
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by galleria-iska | 2010-11-09 00:01 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2010年 11月 08日

リー・フリードランダー写真展招待状「Robert Miller Gallery」(1994)

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1994年の5月から6月にかけてニューヨークのロバート・ミラー画廊で行なわれたリー・フリードランダーの写真展「Lee Friedlander: The Olmsted Landscapes」のオープニングへの招待状。

アメリカ人ジャーナリスト、造園家、景観設計家のフレデリック・ロウ・オルムステッド(Frederick Law Olmsted 1822-1903) は、1858年に代表作とも言えるセントラルパークの設計が高く評価され、その後全米各地の都市公園、州立・国立公園などの設計を行なった、アメリカにおける景観設計家の父と呼ばれる人物。 セントラルパークは2008年に150周年を迎え、1月から5月にかけてメトロポリタン美術館でリー・フリードランダーが撮影したオルムステッドの“景観”写真展が開催された。フリードランダーはオルムステッドが設計した公園、庭園などを約20年に渡って撮影しており、ロバート・ミラー画廊での写真展は、それよりも14年早く、建物、草、葉、枝などが複雑に重なり合いながら景観として調和する公園を、様々なフィルムサイズとフレーム比率のカメラ(定番のライカを始め、パノラマカメラのノブフレックスや6x6cmのハッセルブラッドなど)を用いて撮影した写真を展観する最初の写真展であった。

●作家:Lee Friedlander(1934-)
●種類:Invitation
●サイズ:213x93mm
●技法:Offset
●発行:Robert Miller Gallery, New York



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by galleria-iska | 2010-11-08 00:27 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2010年 11月 07日

ロイ・リキテンスタイン展のポスター「Leo Castelli Gallery」(1965)

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1965年11月から12月にかけてニューヨークのレオ・キャステリ画廊で行なわれたロイ・リキテンスタインの個展を告知するために作られたポスター。出版は1963年の「Crak!」の成功によってレオ・キャステリ画廊からポスターの制作と出版の権利を獲得していたポスター・オリジナル社(Poster Originals, Ltd.)。レオ・キャステリ画廊の案内状として上下左右を切り詰めたメイラー(Mailer=ポスターサイズの案内状:570x731mm)も同時に作られている。ポスターの構成、画面とタイポグラフィーの配置およびタイポグラフィーの書体に関しては、「Crak!」を踏襲している。一方、単価の低いポスターの出版をポスター・オリジナル社に委譲したレオ・キャステリ画廊は、同じイメージによるシルクスクリーン版画作品を制作・出版している。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Poster
●サイズ:638x758mm
●技法:Offset lithograph
●印刷:Total Color, New York
●題名:Brushstroke(C.II.5)
●出版:Poster Originals, Ltd., New York
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by galleria-iska | 2010-11-07 18:57 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2010年 11月 06日

マン・レイ写真展「Robert Miller」(1983)

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マン・レイ(Man Ray)の没後7年目にニューヨークのロバート・ミラー画廊で行なわれた写真展「Man Ray Mathematical Objects」。そのオープニングへの招待状。出品作品の出自は知らされてはいないが、1936年から撮られた静物写真の中の“数理学的物体”を集めた写真展となっている。招待状に使われた写真は、非常に合理的で感情の入る余地のないような形体の中に潜むある種の人間美-スペインのバロック期の画家スルバランの描く頭巾を目深に被り頭を垂れ祈りを捧げる修道士を想い起こさせる-と共通する構造を捉えているようにも見える。尤もそのような感覚は、写真画像がセピアトーンの表面にテクスチュアーのある用紙に印刷されているところから来るのかもしれないが。

●作家:マン・レイ(Man Ray 1890-1976)
●種類:Invitation
●サイズ:214x152mm
●技法:Offset
●発行:Robert Miller Gallery, New York
●制作年:1983

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ロバート・ミラー画廊では、1991年に今度はマン・レイが1958年から1965年にかけて制作したロールシャッハ・テストのような効果が得られる“Natural Paintings”と名付けられた絵画作品の展覧会を開催している。これはその展覧会のオープニングへの招待状。マン・レイが考案した筆もパレットナイフも使わないこの手法は、二枚のボードあるいはパネルを用意し、その片方に絵の具を厚く盛り付け、もう片方をその上に置き圧迫することで互いに鏡像となる二枚の図像(自動絵画)を創り出す方法である。

●作家:Man Ray(1890-1976)
●種類;:Invitation
●サイズ:225x177mm
●技法:Offset
●発行:Rober Miller Gallery, New York
●制作年:1991
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by galleria-iska | 2010-11-06 18:36 | 案内状/招待状関係 | Comments(2)
2010年 11月 05日

ウォーホル/バスキア絵画展ポスター「Tony Schafrazi Gallery」(1985)

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1985年の9月から10月にかけてトニー・シャフラジ画廊(Tony Shafrazi Gallery)で開催されたアンディ・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキア合作による絵画展(出品作品は16点)を告知するポスター。オフセット・リトグラフによる印刷で、サイズは割と小さく、掲示が目的では無かったようだ。このポスターには1999年に出版された複製があり、シートサイズは686x483mmで、オリジナルにはない余白(マージン)が付けられている。そのことから、そちらをオリジナルと取り違える向きがあるが、《PAINTINGS》の文字の下に複製であることが明記されている。

ポスターに使われた写真は、ニューヨークを拠点に活動する写真家マイケル・ハルスバンド(Michael Halsband)が撮影したもので、新旧の雄、拳を交える!といった感で、ボクシンググローブをはめて構えるウォーホルとバスキア。このポスターには、9月14日にパラディウム(Palladium)で行なわれたオープニングパーティへの招待状として作られた姉妹版(同じサイズ)があって、そちらではウォーホルがバスキアにノックアウトパンチを喰らわしている。が、肝心の展覧会は、招待状通りとは行かず、軒を貸して母屋を取られるではないが、バスキアに喰われてしまったようだ。

2010年3月23日に行なわれたクリスティーズ社のオークションにこのポスターが出品され(Lot 249/ Sale 5571)、エスティメイト£500~£700のところ、£1300(25%の手数料込みで£1625=$2439=JPY222656)で落札されている。

●作家:Andy Warhol(1928-1987)/ Jean-Michel Basquiat(1960-1988)
●種類:Poster
●サイズ:485x306mm
●技法:Offset lithograph
●出版:Tony Shafrazi, New York and Bruno Bischofberger, Zurich
●制作年:1985
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                             《photo:Michael Halsband》とある



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by galleria-iska | 2010-11-05 18:37 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2010年 11月 02日

ロイ・リキテンスタインのポスター「Leo Castelli Gallery」(1963)

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1963年のレオ・キャステリ画廊でのロイ・リキテンスタインの展覧展を告知するために制作されたポスター。これはそのポスター・オリジナルス社(Poster Originals,Ldt.)ヴァージョン。レオ・キャステリ画廊が出版したオリジナルヴァージョンは、ポスター・オリジナルス社のものより薄い紙に印刷られており、画面の右枠下に小さく、「Leo Castelli Gallery・Lithographed by Total Color, New York」と記されている。また《CRAK!》のCの文字の下方部分に掛かる煙に色欠けがある。他にオリジナルヴァージョンからタイポグラフィーを省き、サインとナンバーを入れたものが300部ある。リキテンスタインの版画のカタログレゾネによると、ポスター・オリジナル社のものは背景のドットの色が黒となっているが、このポスターのようにオリジナルと同じ赤を使ったものも有り、限定部数は付されていないが、サインを入れたものも存在している。

2004年に名古屋市美術館で開催された「リキテンスタイン 版画の世界展」の図録によると、リキテンスタインはこのポスターのイメージを、1962年に刊行された漫画「星の戦争物語」(『その町は死にたくない!』より)の中の一場面から引用しているとある。漫画からのイメージの引用はその後多くの追随者を呼ぶことになり、リキテンスタインの漫画からのイメージの引用は1965年頃までに終わるが、漫画という大衆イメージを取り上げることになったには、印象派が浮世絵の平面的で奇抜な構図と色彩に影響を受けたのに近い動機が潜んでいたように思える。レオ・キャステリ画廊と契約する直前までのリキテンスタインは、抽象表現主義にぞっこんで、それを何とか物にしようと格闘していたが、何の下絵も用意せず、作家の内面から溢れ出てくる情念のようなものをキャンバスに叩き付けるように描く抽象表現主義のスタイルの表面的なものは取り込むことはできても、それを自己の血や肉と同じように一体化し体現することに活路をみいだすことは出来なかった。それは対象を分析、解体し、新たに構成することによってひとつの統一性を導き出すという、リキテンスタインが本来持っている気質には適しておらず、抽象表現的なスタイルで制作していた頃に素材として取り込んでいたこともある漫画という現代社会では見慣れたイメージを、ある種の社会的風景として使い絵画を創り出す決断を迫られことになったのは、1960年のキャステリ画廊訪問が失敗に終わったの後である。リキテンスタインは漫画を純粋絵画へのアンチテーゼとして掲げようとしたのではなく、実際は、まず自身が捕らわれていた絵画そのものから離脱しようとしたのであり、後にそれを解体・再構成し、自己の絵画として統合しようと試みた、と言った方が、リキテンスタインの立場に即しているのではないだろうか。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Poster
●サイズ:534x724mm
●技法:Offset lithograph
●題名:CRAK!
●出版:Poster Originals, Ltd., New York
●制作年:1964
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by galleria-iska | 2010-11-02 16:52 | ポスター/メイラー | Comments(0)