ガレリア・イスカ通信

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2011年 08月 31日

マルク・シャガール「Derrière le Miroir No.198」(1972)

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1972年の5月にパリのマーグ画廊で行なわれたマルク・シャガール(Marc Chagall, 1887-1985)の個展の図録として刊行された《鏡の裏誌(Derrière le Miroir)》、第198号の特装版。個展には、シャガールが1968年から1971年にかけて制作した31点の絵画作品と4点の彫刻作品が出品された。カラー図版10点とモノクロ図版26点の他に、ルイ・アラゴンによる《驚嘆すべきシャガール》が収められている。表紙はシャガールがこの図録のために制作したオリジナルリトグラフで、本文中にも2点(うち1点はダブルページ)のオリジナルリトグラフが挿入されている。リトグラフの印刷はパリのムルロー工房(Mourlot)で行なわれている。マーグ画廊は自社の印刷所を持っているが、シャガールは専任の刷り師、シャルル・ソルリエのいるムルロー工房を使い続けた。奥附に限定番号とシャガールの直筆サイン。

●作家:Marc Chagall(1887-1985)
●種類:Art magazine(revue d'art)
●題名:Derrière le Miroir No.198」(Chagall)
●著者:Louis Aragon 《Chagall l'admirable》
●サイズ:380x280mm
●ケース:395x295mm
●限定:150
●紙質:B.F.K. de Rives
●出版:Maeght Éditeur, Paris
●印刷:Mourlot, Paris
●制作年:1972

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表紙:「Pantomime」(M.649)
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「Jour de Printemps」(M.650)
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「Après l’Hiver」(M.651)
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それなりの金額を支払った特装版購入者のためであろうか、特装版(150部)と通常版(5000部)とでは若干配色が異なっている。
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            特装版                          通常版
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by galleria-iska | 2011-08-31 17:37 | 図録類 | Comments(0)
2011年 08月 30日

キース・ヘリングの缶バッジ「Radiant Baby」(1988)

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キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)のアイコンのひとつである「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」の成立は1980年頃で、ヘリングが1982年のトニー・シャフラジ画廊での個展の際に配布したステッカーを取り上げた際に、その成立の背景について言及しているブログの要点を紹介した。今回のものはシャフラジ画廊の初個展から六年後の1988年にポップショップで販売されたミディアムサイズの缶バッジで、光輝くという言葉に相応しく、金地の画面に仕立ててある。初期の図像では、後光の数は17本、赤ん坊の身体に沿って描かれているが、1984年頃に赤ん坊の周囲に円状に配した図像に変更される。後光の数も2本増え、以後これが定番となる。1988年の年記を持つこのバッジも後光の数は19本で、側面には、“© K.HARING 1988”と記されている。
 
●作家:Keith Haring(1958-1990)
●題名:Radiant Baby
●サイズ:diameter 36mm
●種類:Button(Can badge)
●技法:Silkscreen
●制作年:1988年
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by galleria-iska | 2011-08-30 12:49 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2011年 08月 27日

マン・レイの表紙絵「XXe siècle n°35 Panorama 70」(1970)

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先にコメントをいただいたマン・レイストさんによると、今日8月27日はマン・レイ(Man Ray,1890-1976)の誕生日であるとか。その生誕121年を祝い、マン・レイが表紙絵を手掛けた美術誌「二十世紀」(第35号:Nouvelle série n°35 - : Les grandes expositions dans les Musées et dans les Galeries en France et l'Étranger. 1970年刊)を取り上げたい。この号は、マン・レイがパリの二十世紀画廊とニューヨークのレオン・アミエル出版から素描を元にした15点のエッチングによる銅版画集「時の外にいる婦人たちのバラード(La Ballade des Dames hors du temps)」(Anselmino 60A-P)を刊行した、1970年の12月に発行されたもので、マン・レイの描いた女性像に関する特集記事が組まれ、版画集所収の作品が一部紹介されている。

ここで一言、マン・レイストさんに御礼申し上げたい。当ブログへの訪問者数は、マン・レイストさんからコメントをいただく前は、一日一人あるかないかの状態であったが、コメントをいただいた日から急に増え、三日間で五百人を超す訪問数者が記録され、斯くも多くのマン・レイスト・ファンがいるのかと驚いた次第。しかしながら、マン・レイストさんのコメントが無ければ、その数は推して知るべしで、我が身の浅学菲才を恥じ入るばかりである。

●作家:Man Ray(1890-1976)
●種類:Art Magazine(Revue Artistique)
●題名:XXe siècle( n°35 Panorama 70)
●サイズ:315x246mm
●技法:Offset
●発行:Société Internationale d'Art XXe siècle, Paris
●発行年:December 1970



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by galleria-iska | 2011-08-27 22:05 | 図録類 | Comments(0)
2011年 08月 22日

宮崎敬介・小口木版画展パンフレット「Keisuke Miyazaki:Woodengraving」(1997)

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1970年に某有名アニメ監督の次男として生まれた宮崎敬介氏は、武蔵野美術大学在学中に柄澤 齊に出会い、小口木版画を始める。1994年に大学を卒業し、95年に小口木版画家として出発する。1996年、大阪の阪急古書のまちに店舗を構える加藤京文堂で行なわれた「小口木版画五人展」に出品、翌97年には「宮崎敬介小口木版画展」を開催する。このパンフレットはその時のもので、宮崎氏の初期の小口木版画13点が出品され、そのうち11点が図版入りで掲載されている。会期中に雁皮刷りの作品を一点を購入。それから14年経ち、宮崎氏も齢40を数え、今は柄澤氏の作風の対極にあるような、一見小口木版画とは思えない柔らかな表情の作品へと変貌を遂げたようである。ただ現在の価格も当時とあまり変わりないようであり、版画作品の売り上げだけで生計を立てているとしたら、それこそ飛ぶように売れないことには暮らしていけないはずなのだが...。そんな他人の心配をしていても仕方がない。我が身の収入はずっと右肩さがりである。

●作家:Keisuke Miyazaki(1970-)
●種類:Pamphlet
●サイズ:220x115mm(220x342mm)
●技法:Offset
●発行:Kato Kyobundo, Osaka
●制作年:1997

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by galleria-iska | 2011-08-22 22:53 | 図録類 | Comments(0)
2011年 08月 20日

アンディ・ウォーホルのポスター「The Brooklyn Bridge 1883-1983」(1983)

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1883年に14年の歳月をかけて完成・開通したアメリカで最も古い吊り橋のひとつ、ニューヨークのブルックリン橋(Brooklyn Bridge)の100周年を記念する祝賀行事のためにアンディ・ウォーホル(Andy Warhol,1928-1987)に依頼された公式ポスター。このポスターには大小二つサイズとタイポグラフィの異なる三つのヴァージョンがある。ここに挙げたのは小さなサイズ(666x413mm)のもので、後の二つは大きなサイズ(919x617mm)で、片方のシート上部にはアート・エクスポ・ニューヨーク(Art Expo NY)のロゴと名称が入れられている。大きい方のポスターは、オフセット・リトグラフによる印刷と表記されることが多いが、こちらはシルクスクリーンによる印刷のようにも見える。ウォーホルの版画レゾネによると、ウォーホルはニューヨーク市博物館に収蔵されている100年前にブルックリン橋の写真をもとにデザインを行なっている、とあるが、知らずに見ると、題名に引っぱられ、100年前の画像と1983年現在のものが上下に並べられているのかと思ってしまう。しかし、よく見ると同じ画像を左右反転させたものであることに気付く。ウォーホルの同一画像を反復、並置する手法はお馴染みだが、正像と左右反転画像を同一平面上にコラージュする方法は1963年制作の版画集「Flash-November 22,1963」所収のケネディの画像を用いた作品以来である。

ウォーホルはここで視覚的な錯誤を意図としているのか、記憶の曖昧さを俎上に乗せようとしているのか定かではないが、それらを100年という時間を画面の構成要素として盛り込むための手段として用いているのではないかと思われる。

●作家:Andy Warhol(1928-1987)
●種類:Poster
●サイズ:666x413mm
●技法:Silkscreen
●発行:Impress Graphics, New York
●制作年:1983


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by galleria-iska | 2011-08-20 18:29 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2011年 08月 18日

アンリ・マチスの展覧会図録表紙「Peintres témoins de leur temps II:Le Dimanche」

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前にフランスを代表するサロンのひとつである「時代の証人・画家展」の招待状を取り上げたときに、第二回展のためにアンリ・マチス(Henri Matisse, 1869-1954)がデザインしたポスターを紹介したことがあるが、今回はその図録。マチスは必ずしもデザインに関心があった訳ではないが、その絵画における線の単純化と純粋な色面を強調した絵画を追及する中で、デザインを成立させるための要件や思考を会得していくこととなり、絵筆を握って描けなくなる中で選択した切り絵という手法において、ある意味皮肉にもデザイナーとしての資質を開花させることとなったと言える。

マチスは最晩年にあたる1952年に、翌年開催予定の第二回時代の証人・画家展の告知用ポスターと図録の表紙のためのデザインを依頼される。マチスは第二回展のテーマである“日曜日(dimanche)”を図像ではなくレタリングの形で盛り込んだデザインを行なっているが、“純粋な式面の強調”を旨としてきたマチスに相応しく、フランスの国旗や南仏の陽光を思わせる明るい色彩を使った単純な色面を組み合わせで画面を構成している。対角線上に引かれた朱色のストライプによって画面は左右に二分され、人為的な形象である《dimanche》という文字を造形的な形体へと変容させ、それと植物の有機的な形体を対比させるように配置しており、左右の色価のバランスを保っている。ポスターでは、対角線上に置かれた朱色のストライプの上に二種類の書体で構成されたレタリングを小分けに配置することで、リズム感を生み出しているのだが、このようなレタリングの配置の仕方はこの時代の感覚には非常に斬新に思えたであろう。図録の方は、告知に必要なレタリングは省かれ、展覧会の題名だけになっている。関係者向けに作られた特装版では通常、別刷りのものが口絵として綴じ込まれることになっているのだが、第二回展の図録では、当初から装丁を意識したデザインを行なったマチスの意向であろうか、通常版と同じように表紙として使われている。ただし、用紙は厚手のものに変えられ、通常版のような裁ち落としではなく、表紙の四方が内側に折り込まれるフランス表紙になっている。

●作家:Henri Matisse(1869-1954)
●種類:Catalogue
●題名;:Peintres témoins de leur temps II:Le Dimanche
●サイズ:208x134mm
●技法:Lithograph
●限定:200(H.C.)
●発行:Musée d'Art Moderne de la Ville de Paris
●制作年:1953

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告知用ポスター。
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出品作家の一人であるアントニ・クラーヴェの紹介:右ページに自画像と出品作品、左ページには図録用に描いたデッサンが掲載されている。





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by galleria-iska | 2011-08-18 16:20 | 図録類 | Comments(0)
2011年 08月 16日

キース・ヘリングの缶バッジ「Pop Shop Buttons, Part II」(1986)

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キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)がデザインしたポップショップのロゴマークを缶バッジに仕立てたもので、10種類ほどのカラーヴァリエーションが作られている。全てがヘリングの生存中に作られたものかどうかは分からないが、赤地に白抜きのものは、ロゴマークの右下にトレードマーク(TM)が入れられ、バッジの側面(巻きしろ部分)に、「© K.Haring 1986」と記されていることから、オリジナルヴァージョンか、それに近いものであると思われる。その他のものについては、ロゴマークの右下にトレードマークがあるものと無いものがあり、側面は「Keith Haring TM」となっているので、ライセンス生産かもしれない。

●作家:Kieth Haring(1958-1990)
●種類:Can badge
●サイズ:Diameter 24mm
●発行:Pop Shop, New York
●制作年:1986



追記:2014年2月26日

行方不明になっていた背景が白地のものが見つかったので画像を追加する
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by galleria-iska | 2011-08-16 17:33 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2011年 08月 11日

デイヴィッド・ホックニーのメトロポリタン・オペラ・ポスターの案内「Igor Stravinsky」(1981)

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イギリスの現代美術作家、デイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)と舞台との関わりは早く、1966年、ホックニー29才の時にロンドン王立劇場から「ユビュ王」の舞台装置を依頼される。1974年には、イギリスのグラインドボーン・フェスティヴァル・オペラからストラヴィンスキー作曲のオペラ「放蕩者のなりゆき」の舞台美術の依頼を受け、1975年6月に初演される。このオペラでは、ホックニーの、18世紀のイギリスを代表する国民的画家、ウィリアム・ホガース(William Hogarth, 1697-1764)の銅版画に基づいた斬新な舞台美術が反響を呼ぶ。続いてグラインドボーン・フェスティヴァル・オペラからオペラ「魔笛」(モーツァルト作曲)の舞台美術の依頼を受け、準備に取り掛かる。1977年から78年にかけてインドやエジプトを旅行、その印象が舞台美術に反映されることとなる。1978年5月に「魔笛」初演。1979年、今度はニューヨークのメトロポリタン・オペラ・ハウスから、かつてピカソがバレエ・リュスの公演のために舞台美術と衣装を担当したことがある「パラード」(サティ作曲)の舞台美術を依頼される。1980年、横尾忠則氏が画家に転向するきっかけとなったニューヨーク近代美術館での「ピカソ展」を見て大きな感銘を受ける。1981年2月、メトロポリタン・オペラ・ハウスでホックニーが舞台美術を担当したフランス作曲家三部作「パラード」(サティ作曲)、「ティレジアスの乳房」(プーランク作曲)、「子供と魔法」(ラヴェル作曲)が演じられる。その年に中国に旅行。その印象は「ロシニョール」(ストラヴィンスキー作曲)や後の「トゥーランドット」(プッティーニ作曲)の舞台美術に反映される。12月、舞台美術を担当したストラヴィンスキー作曲の「春の祭典」、「ロシニョール」、「オイディプス王」がメトロポリタン・オペラ・ハウスで上演される。

ホックニーは舞台美術の他に、メトロポリタン・オペラ・ハウスのために、ミュシャ(Mucha)などに代表されるヨーロッパの劇場ポスターの伝統に倣い、二メートルを超す三点の大きなポスター「パラード」(1981年)、「ストラヴィンスキー」(1981、82年)、「フランス三部作」(1982年)をシルクスクリーンで制作をしている。これはそのうちのひとつ、イゴール・ストラヴィンスキーの「春の祭典」、「ロシニョール」、「オイデイプス王」のためのポスター(206x89cm)の出版案内で、ホックニーはそれぞれの曲のテーマ、「原始」、「東洋」、「悲劇」を象徴する仮面によって表現している。このポスターにはオフセット印刷の通常版もある。

出版は当時、ロンドン(本部)とニューヨークにオフィスを構え、現代美術の版元として数多くの版画やポスター、画集の出版を手掛けたピータースバーグ・プレス社で、価格は£150ぐらいであったように記憶しているが、定かではない。購入申し込み書もあったように思うが、紛失してしまったようである。その大きさ故に、ずっと売れ残っていたが、美術品と名が付けば何でも売れたバブル時代になってようやく現物を目にすることができた。しかし如何せん日本の家屋には向かない。筒に入れて保存していればともかく、額装品を購入した愛好家はどうしたのであろうか。自分にはこれらのポスターは手が届かなかったが、通常のオフセットポスターは£20~30程度で購入できたので、イギリスのピータースバーグ・プレス社から何枚か取り寄せたことがある。が、額代がポスターの何倍も掛かると聞き、そのまま30年近く仕舞いっぱなしである。その当時、アーティストポスターと言えば、ピカソやミロ、シャガールといった作家のリト刷りのものが主流で、オフセット印刷のものなどには目もくれなかった時代であったが、“アルミの細縁のフレームに入れられたホックニーのポスター”は、都会風のお洒落なインテリアとして支持され、何の抵抗もなく売れていった。明るい色彩と現代人の生活の一面を私的な目線で捉えたホックニーの作品は、いわゆる絵画を見るというストレスを感じさせず、西洋に常に憧れを抱く日本人一般の感覚にマッチしたしたのであろう。一方、ポスターを版画に準ずる商品(作品)として捉えていた画廊は若干抵抗あったように思われる。が、一度認知されてしまえば、技法や希少性は二の次になってしまった。しかし逆にそれを利用し、アーティストポスターを単なる額絵にまで引き下げてしまった罪は大きい。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Annoucement
●サイズ:230x100mm
●技法:Offset
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1981



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by galleria-iska | 2011-08-11 17:53 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2011年 08月 05日

ロイ・リキテンスタイン展図録「Stedelijk Museum Amsterdam」(1967)

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ロンドンのテートギャラリーがロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)の二枚続きの戦争画の大作「Whaam!(1963)」を購入したのは1967年1月であるが、オランダのアムステルダム市立美術館はそれより二年早い1965年1月にそれと双璧を成す三枚続きの大作「As I opened fire(1964)」を既に購入しており、1967年11月、この二点の大作を含むヨーロッパで最初のリキテンスタインの回顧展を開催する。展覧会はその後、ロンドンのテートギャラリー、ベルンのクンストハレ、ハノーファーのケストナー協会に巡回。

アムステルダム市立美術館が「As I opened fire」を購入した1965年は、東京都現代美術館が大金を投じて購入したことで矮小な議論を引き起こした「Girl with Hair Ribbon」が制作された年であるが、この回顧展には出品されておらず、東京都が購入を決める直前の1993年~94年にグッゲンハイム美術館他で催されたリキテンスタイン大規模な回顧展に出品されている。何かの気配を感じて振り返った金髪の少女の不安げな表情を描いたこの作品、リキテンスタインの漫画を下敷きにした作品の中では、幾分ドラマティックな要素に欠けるように思われるが、綺麗好きな日本人好みと言えなくもない。が、テレビや新聞は、“漫画”≠芸術、あるいは“漫画”≠高額という、国民に植えつけられた価値観を扇情的に煽ることに終始した。その“漫画”も今は日本の《芸術》文化のひとつとなり、国を挙げて振興に取り組まねばならない、と言う議員も少なからずいるようだが、東京都現代美術館がリキテンスタインのこの作品を購入したときには、「こんな漫画みたいな作品に高い税金をつぎ込むのはけしからん」と言ったのは彼らではなかったのだろうか。

これは、日本ではあまり紹介されることがないように思われるのだが、アムステルダム市立美術館での展覧会の際に刊行された図録(巡回展ではあるが、図録は共通ではない)で、表紙にはリキテンスタインがアールデコの建築やデザインを組み合わせて構成した告知用のポスターと同じイメージが使われている。アムステルダム市立美術館の図録とポスターのトータルデザインを手掛けているのは、オランダのグラフィック・デザイナー、書体デザイナー、ウィム・クロウェル(Wim Crouwel,1928-)が1963年に、工業デザイナーのフリゾ・クラマー(Friso Kramer,1922-)、グラフィック、空間デザイナーのベンノ・ヴィッシング(Benno Wissing,1923-2008)、経営・財務担当のポールとディック・シュヴァルツ(Paul and Dick Schwarz)とともに開いたデザイン事務所「Total Design」で、冷めた感覚を漂わす書体の選定や空間の処理の仕方に特徴がある。今はそのウィム・クロウェルがデザインを行なった図録というところに関心が集まっているが、上記二点の作品を始め、カラー図版はオフセット・リトグラフで印刷されているため、発色が非常に鮮やかで、リキテンスタインに興味のある方にもお勧めしたい。

裏表紙には、図版の代わりにということなのであろうか、目立たぬように黄色一色で印刷されているが、1966年に800セット限定生産され展覧会にも出品されているリキテンスタインのマルティプル「Dishes(ディナープレート、スープボウル、サラダプレート、ブレッド&バタープレート、カップ&ソーサー)」(Published by Durable Dish Co.,Villanova, Pennsylvania)の販売広告(エフェメラ)が印刷されている。それによると、当時の販売価格(送料別)はUS$50(=¥18000)で、早期申し込み分についてはUS$40(=¥14400)とある。以前購入したことがあるが、今のものと比べると、かなり厚手に作られている印象を受ける。現在の評価はUS$4000~$5000といったところであろうか。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Catalogue(Amsterdam Cat. no.424)
●サイズ:275x185mm
●技法:Offset lithograph
●発行:Stedelijk Museum Amsterdam
●印刷:Statsdrukkerij van Amsterdam
●制作年:1967

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リキテンスタインの「Dishes」の販売広告
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「Whaam!」(1963)
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「As I opened fire」(1964)
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1967年当時のリキテンスタイン(43,4才)  





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by galleria-iska | 2011-08-05 19:34 | 図録類 | Comments(0)
2011年 08月 04日

金子國義のカレンダー2001年「不思議の国のアリス」

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日本では女性用の美容・飲料水として利用されるフランスのミネラルウォーター「コントレックス(Contrex)」を前に一度だけ飲んだことがあるが、超硬水と言われるだけあって僅か数十分で大変なことになってしまった。便秘になりやすい女性が飲むのもうなずける。連れ合いは毎日飲んでいるが、胃が丈夫に出来ているのか普通の水を飲んだときとあまり変わらない。カルシウムとマグネシウムを補給するのだそうが、こちらは栄養の補給が必要である。ここ二ヶ月ぐらい、朝はパン一枚に紅茶、ヨーグルト、昼と夜は概ね、ご飯一膳、味噌汁、納豆(昼か夜)、漬物だけという食事が結構あった。もともとおかずが沢山あるのが嫌いなので、それはそれで美味しくいただくのだが、やたらお腹が鳴って仕方がない。

これはコントレックス(正規品)が愛飲者向けに作った2001年のカレンダーで、2000年4月にメディアファクトリーから刊行された金子國義氏の「不思議の国のアリス」から挿絵6点を選んでカレンダーに仕立てたもの。確かシールを貼って応募したように思う。カレンダーとしての実用性はどうかと思うが、ダダのものこそ消えてなくなってしまうのが道理なので、ここは連れ合いより有難く拝領し、歴史の試練に耐えた時にほくそ笑むのは、などと、あらぬ妄想を抱きながら一先ず茶封筒に入れて封印することに。この妄想で大事なことは、高価でないからと人にあげてしまったり、途中で飽きてしまって不用品として処分してしまわぬよう、自らの記憶を曖昧にすることである。案の定、10年も経つと、記憶も定かでなくなり、仕舞った場所がすっかり分からなくなってしまった。あちこち探してみても見つからない。しかしここでまたひとつ試される。本当に無くなってしまっていいのか、どうしても探し出したいという気持ちがあるか、である。しかし出てくるのは関係ない茶封筒(別の封印物が入っていたりする)ばかりで閉口する。そんな中、突如新しいテレビ受像機の設置場所を確保するという作戦が実行され、アパートの一角にある一畳ばかりの我が陣地が予期せぬ奇襲攻撃に遭い、ほぼ壊滅状態になってしまった。ところが、不幸中の幸いとはよく言ったもので、攻撃で開いた穴の中から無事茶封筒を発見することができた。多くの犠牲を払って(までとは言えないが)取り戻したカレンダーであるが、どうやら価値の方は思ったほどではないらしい。自分の白髪が増えただけである。毎日なんの生産性もない生活を繰り返しているような気がしてならない。妄想では空腹は満たされない。

●作家:金子國義(Kaneko Kuniyoshi, 1936-2015)
●種類:Calendar
●サイズ:281x199mm
●技法:Offset
●発行:Contrex


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by galleria-iska | 2011-08-04 18:59 | その他 | Comments(0)