ガレリア・イスカ通信

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2012年 03月 31日

フランチェスコ・クレメンテのポスター「The Museum of Modern Art, N.Y.」(1986)

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中生代に恐竜が温暖な気候と酸素濃度の上昇によって巨大化したように、手の内に納まる大きさでの表現手段であった版画が、1970年代末に急激に巨大化する。1960年から70年代にかけての版画ブームが下地となっており、さらなる版表現の可能性の拡大を目指した大型印刷機の開発が版画の巨大化を促し、それまでの私的な鑑賞の対象であった版画が、現代美術ギャラリーや美術館といった大きな空間の中での展示されることで、バプリックな様相を持ち始める。そしてそれは表現意識そのものに大きな変化をもたらすとともに、版の領域を拡大し、版画というある種の職人的なメチエに支えられた表現形式にも大きな変革をもたらした。加えて1980年代の現代美術ブームによる大量の資金投入が、さらにその動きに拍車を掛けることとなる。

1980年代初頭にイタリアで起こったアート・ムーヴメント「トランスアバンギャルディア」の中心的存在として、エンツォ・クッキ、サンドロ・キアと共にイタリアの3Cと呼ばれるフランチェスコ・クレメンテ(Francesco Clemente, 1952-)が制作した50点(カラー34点、モノクロ16点)のリトグラフからなる大型の挿絵本「The Departure of the Argonaut」(註1)が1986年にロンドンのピーターズバーグ・プレス社から出版された際に、それを公開・展示する展覧会が、1986年11月6日から1987年2月10日にかけて、ニューヨーク近代美術館の版画・挿絵本部門の部長、リヴァ・キャッスルマン(Riva Castleman)の企画で開催された。クレメンテはその展覧会の告知用ポスターをリトグラフで制作している。ポスターは三枚のパネルからなり、繋げると三メートルを超えるサイズ(707x3039mm)となる。同時にこのイメージを使った100部限定の版画作品も、「Untitled A」という題で、挿絵本を出版したピーターズバーグ・プレス社から出版されている。サイズは680x3030mmである。この版画作品と挿絵本の印刷には、阿波和紙のひとつ"OKAWARA PAPER”が使われている。

このポスターは当時国内の業者から18000円ぐらいで購入したものであるが、ニューヨーク近代美術館が出した広報によると、販売価格は75ドル(約12000円)であったようだ。ただ購入はしてみたものの、三メートルを超す大きさでは、飾る場所もなく、ずっとケースにしまいこんだままになっている。一時のブームも去り、冷めた目で作品を見るようになると、今度は逆にその大きさが仇となり敬遠されてしまう。また主な購入先である美術館の購入予算も減る一方の昨今、価格は下落、バブル時代には数百万の値を付けた「Untitled A」も、あるオークションでは額付きのものがたった千数百ドルで落札されている。いわんやポスターおや、といったところであろうか。

この作品の主題となっているのは、ナーガ ( Nāga) という、インド神話に起源を持つ、蛇の精霊もしくは蛇神である。ナーガ(第一図の右端に描かれているは)上半身は人間で、下半身は蛇(インドコブラ)という姿をしている。天候を司る力を持ち、怒ると旱魃(第二図)を起こし、なだめられると雨(第三図)を降らすとされる。クレメンテのインドの神への傾倒を示す作品。

●作家:Francesco Clemente(1952-)
●種類:Poster
●題名:Francesco Clemente: The Departure of the Argonaut
●サイズ:First Panel(707x1018mm), Second Panel(707x1003), Third Panel (707x1018mm)
●技法:Lithograph
●発行:The Museum of Modern Art(MoMA), New York
●制作年:1986

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第一図(First Panel)1018x707mm
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第二図(Second Panel)1003x707mm
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第三図(Third Panel)1018x707mm

註:
1.「The Departure of the Argonaut 」Published by Petersburg Press, London and New York, 1986, Ed.200. 660x508mm, Bound volume with fifty lithographs, and text by Alberto Savinio, presented in a beige linen box.
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by galleria-iska | 2012-03-31 18:42 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 29日

平和のワイン「Robert Rauschenberg」(1997)

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ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg, 1925-2008)といえば、ジャスパー・ジョーンズとともにネオダダを代表する作家であるが、版画やポスターの制作にも積極的に取り組んだ作家のひとりである。2001年にはプレステル出版(Prestel Veralg, München / Berlin / London / New York)からポスター集「RAUSCHENBERG Posters」も刊行されている。ラウシェンバーグは、アメリカ政府の大きな肩入れによって、1964年にヴェネツィア・ビエンナーレで最優秀賞を受賞し、画家としての名声を確立するが、その前年に、版画工房のユニバーサル・リミテッド・アート・エディションズ(ULAE=Universal Limited Art Edtions)とのコラボレーションで制作したリトグラフ作品「アクシデント(Accident)」が、1955年から隔年開催されている版画専門の国際展としてはもっとも歴史が古く権威のあるリュブリャナ国際版画ビエンナーレでグランプリを受賞し、一足先に版画家としてその存在が認められている。それは1962年からコンバイン・ペインティングと並行して始まったシルクスクリーン・ペインティングによる創作活動のひとつの成果であり、それ以後、ラウシェンバーグによって選択された時事的な話題とそれとはおよそ関係ないように見える古典絵画などの写真のイメージをコラージュ風に組み合わせた作品制作において、絵画と版画、さらにはポスターの制作が、並行して進んでいくこととなる。

さてラウシェンバーグと「平和のワイン」の関係であるが、「平和のワイン」の生産が始まった1985年、ラウシェンバーグは、世界の平和と理解(world peace and understanding)を促進するために、世界の芸術家と共同制作して展覧会を行なう「ラウシェンバーグ海外文化交流(Rauschenberg Overseas Culture Interchange)」(ROCI=ロッキー)を設立し、「平和のワイン」の趣旨とも繋がる活動を行なっている。それが縁かどうかは判らないが、ラウシェンバーグは1997年のラベル(エティケット)のデザインを委嘱され、グラスの中で凍りつくワインとその細い足に絡みつく錠前という、サスペンス・ドラマを予感させるような構図で、現実世界で繰り返される暴力と脆く壊れやすい平和の関係を浮き彫りにしている。このデザインは我々の知るラウシェンバーグのスタイルとは異なる印象を受けるが、平和を希求するメッセージとして各国元首に贈られる「平和のワイン」の中では、辛口のものであるようだ。

●作家:Robert Rauschenberg(1925-2008)
●種類:label(英),etiquetta(伊),etiquette(仏)
●サイズ:130x190mm
●技法:Lithograph + embossing
●発行:Cantina Produttori Cormons
●制作年:1997
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by galleria-iska | 2012-03-29 20:30 | ヴィーノ・デッラ・パーチェ | Comments(0)
2012年 03月 19日

デイヴィッド・ホックニーのポスター「Arun Art Center」(1980)

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1980年にイングランド南部に位置するウエスト・サセックス州アランデルのアラン・アートセンターで開催されたデイヴィッド・ホックニー(David Hockney,1937-)の版画展「David Hockney:Modern Graphics 1969-1979」の告知用ポスター。このポスターのイメージとして使われたのは、ホックニーが「六つのグリム童話(Six Fairy Tales from the Brothers Grimm)」(註1)の挿絵として1969年に制作した39点のエッチングのうちの「家(Home)」という作品で、「こわがることをおぼえるために旅にでかけた少年の話(The Boy who left home to learn fear)」のための挿絵のひとつである。ホックニーは1976年にもこの作品を使ってポスターを作っている。デンマークのルイジアナ美術館で行なわれた個展の告知用ポスターで、白い用紙にモノクロで印刷されている。一方、このポスターでは、クリーム色の背景色が加えられ、雁皮刷りのようなトーンが作りだされている。

ホックニーのポスターは、1960年代に制作されたオリジナル・デザインのポスターを除けば、過去の作品を使ったポスターが殆んどであるが、このポスターのように、見せ方にアレンジを加えることで、単なる複製物としてではない、ポスターとしてのオリジナル性を高めようとしている。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Poster
●題名:David Hockney: Modern Graphics 1969-1979
●サイズ:813x509mm
●技法:Lithograph
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1980
●目録番号:Hockney Posters 21
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註:
1.ホックニー自身が語っているところによれば、彼がグリム童話の挿絵の制作に取り掛かったのは1969年の3月頃とあるが、実際の制作期間は、5月から11月にかけてのことであったようで、下絵の準備は行なわず、ロンドンで銅板に直接描画し、腐食を行なったとある。銅版画集は1970年にロンドンのピータースバーグ・プレス社から「Illustrations for Six Fairy Tales from the Brothers Grimm」として出版されている。また1970年の中頃には革装丁の小型の挿画本が、こちらもピーターズバーグ・プレス社から刊行されている。
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by galleria-iska | 2012-03-19 22:02 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 16日

ホルスト・ヤンセンの招待状「Einladung zur Ausstellung 24.Nov.1964」(1964)

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1964年の11月25日から翌年の1月25日までハンブルクのヴァールブルク通りのヤンセンの自宅を会場にして開かれた銅版画とデッサンの展覧会の招待状として制作されたオリジナルのリトグラフ。刷りはヤンセン自身が行なっているが、試し刷りが5部程あるだけなので、まず実物にお目にかかるのは難しいと思われる。ここで取り上げるのは、後に原版を使って刷られた50部限定の後刷りである。ヤンセンが1950年代末から1960年代中頃にかけて制作した招待状は、亜鉛版エッチングによる告知用ポスターとは異なる技法とジャン・デュビュッフェの影響を色濃く反映したスタイルで制作されており、ヤンセンの初期の作品群のひとつに加えて差し支えないと思われる。ただ摺刷数が50部にも満たないため、ドイツ国内の画廊でも扱っているところは少ない。前に一度、ヤンセンの初期の版画作品の目録を編纂したカルル・フォーゲル博士(Dr. Carl Vogel)所有のコレクションがドイツ国内で競売に掛けられた際に、シリーズで制作された招待状が幾つか登場したことがあるが、一点当たりの価格は版画には及ばなかったものの、ロットの落札価格は版画のそれを大きく上回った。

●作家:Horst Janssen(1929-1995)
●種類:Invitation(Einladung)
●題名:Einladung mit Hymchen
●イメージサイズ:515x380mm
●シートサイズ:697x532mm
●技法:Original lithograph
●紙質:Hahnemuhle
●限定:Later edition of 50 copies
●制作年:1964
●目録番号:Carl Vogel #404

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by galleria-iska | 2012-03-16 12:18 | ホルスト・ヤンセン関係 | Comments(0)
2012年 03月 14日

キース・ヘリングのステッカー「Keith Haring Skateboard Stickers」

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スケートボードの製造販売を行なうニューヨーク・シティ・スケートボード社(New York City Skateboards, Inc.) が1980年代後半、キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1991)にスケートボード・デッキのデザインを依頼した際に作られたステッカー。ヘリングがスケートボード・デッキの裏側用にデザインしたイメージを使い、透明なフィルムとシルバーフォイルにシルクスクリーンでプリントされた二種類のヴァージョンが作られた。スケートボード自体は200台限定で、ヘリングのオリジナルデザインがシルクスクリーンでプリントされ、ニューヨーク・シティ・スケートボード社とポップショップでそれぞれ販売された。ステッカーに使われたスケートボーダーのイメージはストリート・カルチャーを象徴するイメージとして繰り返し複製されている。

●作家:Keith Haring(1958-1991)
●種類:Sticker
●題名:Keith Haring Skateboard Stickers
●サイズ:90mm Diameter
●技法:Silkscreen (4 color on clear & black on silver)
●発行:New York City Skateboards, Inc.
●制作年:ca.1988
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by galleria-iska | 2012-03-14 18:10 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2012年 03月 10日

ジム・ダインのポスター「Dim Dine Petersburg Press」(1971)

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ポップ・アートを代表する作家のひとり、ジム・ダイン(Jim Dine, 1935-)がイギリス在住時代(1967年~71年)に制作したリトグラフによる版画作品「Bathrobe」(1970-76)のイメージ(版?)をそのまま利用して作ったポスター。版画の出版(1976年)に先立ち、1971年に、ジム・ダインの1960年代末から1970年代中葉までの版元であったロンドンのピーターズバーグ・プレス社から出版された。「Green Robe」と題されたこのポスターには二つのヴァージョンがあり、ひとつは版画用のアルシュ紙に刷られたデラックス版で、ダインのサインが入れられており、もうひとつは、通常のポスター用紙に刷られたものである。このポスター、当初は「Bathrobe」を含む版画集の広告宣伝を意図したものになる筈だったものが、版画集の制作が延期あるいは中断を余儀なくされたために、ポスターのみの単独出版となったのではないかと思われる。

ジム・ダインのバスローブとの出会いは、ポップ・アートの作家らしいと言えばその通りで、年譜によると、1963年に、ニューヨーク・タイムズ誌の中で本物のバスローブの写真を発見し、それが切っ掛けとなって、バスローブを主題とする最初の絵画作品「Selfportrait」(1964年制作)を描くことになったとある。ただ、他の主題への関心やロンドンへの移住によって、1965年以降は描いてはおらず、僅かに版画作品の制作を通じてモチーフへの探求が続けられている。ようやくダインの主要なモチーフとして絵画作品の中で大きく取り上げられるのは、「Bathrobe」が出版される1976年になってからのことである。ジム・ダインの描くバスローブは、絵画を成立させるための主題として偶然取り上げられた物に他ならないとしても、写真の中にあった商品として形ではなく、それを着ている人間の気配を強く意識させ、そして個人の人権や生存権といった人間性の復権が叫ばれた1960年代において、人格よりもその制度や体制、あるいは見かけによって成立している人間不在の時代を象徴しているかのようにも見れる。

●作家:Jim Dine(1935-)
●種類:Poster
●題名:Jim Dine Petersburg Press: Green Robe
●サイズ:781x559mm
●技法:Lithograph
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1971
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              画面左下部分

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           ポスター                       版画作品

ジム・ダインはこの年、絵画、水彩、オブジェ、版画からなる個展をドイツ各地とスイスで開催しており、その際、それぞれの美術館のために告知用のポスターをリトグラフで制作している。ポスターのサイズはピーターズバーグ・プレス社のものと同じフォーマット(780x560mm)に統一され、それぞれに通常版とアルシュ紙に刷られたサイン入りのデラックス版が存在する。美術館名は以下のとおりである。

1.Kunsthalle Düsseldorf
2.Kunsthalle Baden-Baden
3.Nationalgalerie Berlin
4.Kunsthalle Bern




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by galleria-iska | 2012-03-10 19:33 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 07日

ロイ・リキテンスタインのポスター「Apple」(1981)

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1881年に始まるミズーリ州セントルイスにあるセントルイス美術館(The Saint Louis Art Museum)は美術史全般を俯瞰することができるコレクションを持つ美術館であるが、そのセントルイス美術館が1981年に開催したロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)の1970年から1980年までの作品による個展の告知用に制作されたオリジナルのシルクスクリーンポスター。リキテンスタインは1980年に再び、その後の絵画制作において大きな役割を果たすことになるブラッシュストロークを用いた静物画を描き始めるが、モチーフとして最初に選んだのがリンゴである。それはかつてセザンヌが画家に共鳴していた批評家ギュスターヴ・ジェフロワに対して『リンゴでパリを驚かせたい』と語ったといわれていることへのリキテンスタインの共鳴であり、セザンヌ絵画の本質をリキテンスタイン流に解釈したものであると言えなくもない。そしてまたリンゴの持つ歴史的な意味合い(註1)というものにリキテンスタインが着目したのではないか、という推測は当たっていないにしても、リンゴを選んだという行為自体が様々な意味を帯びてくこととなる。このポスターにもかつては主題そのもであったブラッシュストロークを組み合わせたリンゴの形が示されており、二年後の1983年に、リキテンスタインは木版画集「Seven Apple Woodcut Series」を制作することとなる。リキテンスタインはここでは(セザンヌの描いた)リンゴを色彩(色の三原色として示されている)と筆触という絵画を成立させるための根本的な要素にまで解体し再構成することで、彼自身の言葉「私の絵はどれも、とてもばらばらの要素が組み合わさっています。そういうものが何もかも一緒になって、一枚の絵を作っているというのが、私は好きなんです」(註2)にあるように、さまざま絵画的な要素が彼が関心を寄せる絵画的な概念によって統合され、リキテンスタインの絵画として見事に変容を遂げるのである。

このポスターには、リキテンスタインにしては珍しく、版画ヴァージョンがないが、印刷には厚手のマット紙を使い、題名まで入れていることから、リキテンスタインはこのポスターを版画作品のひとつと考えていたと思われる。このポスター、ポスター全盛期ともいえるバブル時代の日本はもとより、アメリカの大手ポスター販社のカタログでも見かけなかったが、理由はどうも出版元であるセントルイス美術館が販社に対して配給を行なっていなかったからのようである。ようやくその存在を知ったのは、版画のカタログレゾネが出版された1994年のことである。出版から既に13年も経っていたが、もしやと思い、セントルイス美術館に問い合わせの手紙を送ってみたところ、数ヶ月後に返事が届き、ショップに未だ10枚程残っているとのことだった。ただ送料がやたら高く、一枚の注文では割りに合わないため、購入希望者を募って10枚全て購入することにした。ところが、それから一向に話しが進まず、結局、ポスターが届くまでに一年半も掛かってしまった。ようやく手にしたポスターは期待以上のもので、苦労(?)して手に入れた甲斐があった。このポスターにはホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)で行なわれた巡回展のものもあるのだが、そちらは運良くネットオークションで購入することができた。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Poster
●題名:Apple
●技法:Silkscreen
●サイズ:890x650mm
●限定:approximately 3800
●発行:The Saint Louis Art Museum, St. Louis
●印刷:Silkscreen Product, St. Louis
●目録番号:Corlett. III.28
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シート右下には題名と版権が表記されている。
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ホイットニー美術館のもの。美術館名と会期を示すタイポグラフィが置き換えられている。

註:
1.エデンの園の中央にあった知恵の樹(善悪の知識の木ともいう)の実とされるリンゴ、ニュートンが万有引力の法則を知る切っ掛けとなったされるリンゴ、ビートルズが設立した企業(Apple Corps)のレコードレーベルであるアップルレコードに使われた、ポール・マッカートニーが所有するベルギーの画家、ルネ・マグリットの青いリンゴの絵がヒントになっているリンゴ、コンピューターメーカー、アップル社の名称でありロゴとして使われたリンゴ。それらは全て人間の知と深く関わっており、世界知というものを形成する上で重要な役割を果たしている。

2.ジャン=クロード・レーベンスタンとのインタビュー、岩原明子訳「八つのステートメント=マチスについて」『美術手帖』1980年8月号 P.128
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by galleria-iska | 2012-03-07 18:07 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 06日

デイヴィッド・ホックニーのポスター「The Nineteenth New York Film Festival」(1981)

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1980年代初頭に起こった日本のアートポスター・ブーム。その最大の立役者は、ポップアートを経験しつつも、アメリカ西海岸の明るい陽光に魅せられ、イギリスから移住したデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)である。ホックニーが制作した数々のポスターは、それまで多くの日本人が抱いていた芸術の事大主義的な重々しさや難苦しさ、あるいは現代美術の難解さから、見る側の視点を解放し、都市に住む若い世代の時代感覚とマッチしたその卓越したデッサン力と明るい色彩による画風は、軽薄・単調と揶揄されながらも、アートを気取らずに飾るという喜びを創出したのである。1960年代からホックニーの版画作品の版元であったロンドンのピータースバーグ・プレス社が制作・発行した大振りサイズのポスターが、まずは東京でのアートポスター・ブームに火を付けた。それらの多くは、ホックニーが制作した絵画作品を原画として用いた複製ポスターであったが、ホックニー自身がイメージの選択を始め、レイアウトやタイポグラフィーといったデザインにも積極的に関わり、通常の複製ポスターとは一味違うポスターに作り上げたのである。第19回ニューヨーク・フィルム・フェスティバルの開催を記念して作られたこのポスターも、ロンドンのピーターズバーグ・プレス社から発行されたものであるが、原画はホックニーが1970年に制作した「Window, Grand Hotel Vittel」という題のクレヨン画で、サイズは約43x35cmとそれ程大きくない。ホックニーはそれを大きく拡大することで、もとあったイメージとは異なる視覚体験をもたらす効果を、ピーターズバーグ・プレス社での一連のポスター作りに取り入れている。

このポスターは、1983、4年頃にピーターズバーグ・プレス社から取り寄せたポスターのうちの一枚であるが、ケースに入れて保管していたので、退色はないが、紙が幾分変色してしまった。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Poster
●サイズ:990x690mm
●題名:Window, Grand Hotel Vittel, 1970
●技法:Offset
●発行:Petersburg Press, London
●制作年:1981
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画面右下の部分。題名、モノグラムサイン、年記が記されている。
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シート下部。
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by galleria-iska | 2012-03-06 16:02 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 06日

デイヴィッド・ホックニーのポスター「Tate Gallery」(1980)

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1978年に、ワシントンを始めとして全米9ヶ所とカナダのトロントを巡回したデイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)の北米における最初の大規模な回顧展展として企画された「ペン、鉛筆、インクを手にした旅行(Travels with Pen, Pencil and Ink)」展。その最終地に選ばれたロンドンのテイト・ギャラリー(Tate Gallery)での展覧会の告知用にホックニーがデザインしたオリジナル・ポスター。ポスターのイメージとして使われたのは、ホックニーが1972年にクレヨンで描いた肖像画「白い花のある黒いドレスを着たセリア(Celia in a Black Dress with White Flowers)」(430x355mm)である。ホックニーは先ず「白い花のある黒いドレスを着たセリア」の図像とタイポグラフィの配置という基本的なデザインを行なった後、その周囲に、光のきらめきのような明るく華やかな色彩による装飾を施しているが、それにはホックニーが1978年にケネス・タイラーの版画工房で制作した「ペーパー・プール(Paper Pools)」シリーズや、同じく1978年から1980年に掛けて制作された一連のリトグラフ作品「水のリトグラフ(Lithograph of Water Made of (Thick and Thin) Lines)」の中で、明るい陽光の下できらきらと揺らめくプールの水の表情を捉えるために用いた描法が取り入れられている。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Poster
●サイズ:762x509mm
●題名:Tate Gallery: David Hockney. Travels with Pen, Pencil and Ink
●限定:1000
●技法:Lithograph+Offset
●発行:Tate Gallery, London
●制作年:1980
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展覧会の題名の右横には、ホックニーの遊び心だろうか、"but no paintings"という言葉がペンで書き加えられている。

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テイト・ギャラリーの展覧会のポスターと同じイメージを表紙に用いた1978年の北米における巡回展の図録:「David Hockney; Travels with Pen, Pencil and Ink」London, Petersburg Press, 1978. 207x207mm, 150 plates. A catalogue of Hockney's prints and drawings from 1962 to 1977, for his first major exhibition to tour North America.
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by galleria-iska | 2012-03-06 16:01 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2012年 03月 03日

ロイ・リキテンスタインのポスター「Stedelijk Museum」(1967)

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1967年にアムステルダム市立美術館がヨーロッパでは最初のロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)の回顧展を開催した際に作られた告知用のポスター。同じイメージを使った図録は前に取り上げている。このポスターは、リキテンスタインが1966年から始めた、アール・デコの建築やデザインを特徴付ける幾何学的文様を画面構成に盛り込んだスタイルでデザインされているが、オランダ人デザイナーのウィム・クロウェル(Wim Crouwel,1928-)が選んだタイポグラフィの書体は、リキテンスタインの意図に対して少し地味ではないかと思われる。ポスターは5000枚印刷され、うち1000枚はタイポグラフィが省かれている。オランダで印刷された後、版元であるニューヨークのポスター・オリジナルズ社に送られ、シートの裏側に「PRINTED IN HOLLAND」のスタンプが捺された。

このポスター、出版元のポスター・オリジナルズ社では「Arrow and Column」という題で販売していたが、リキテンスタインのポスターの中では静的なイメージであるため、セールス的には鈍かったようで、同社の価格表(出版時の価格は5ドルぐらいでないかと思われる。1980年代の中頃は15ドル、その後25ドルになり、最後は50ドルだったように思う)には最後まで残っていた。ポスター・オリジナルズ社から購入したもののうち、最後までケースに入れて保管していたものは、リキテンスタインのコレクターに譲ってしまったが、その後しばらくして、運良く稀少性の高い(?)文字無しのものを二枚入手することができた。一枚は保存用、もう一枚は真赤なフレームに入れて飾っていたが、結局二枚とも手放してしまった。今手元にあるものは、少々曰く付きもので、前の所有者は、1980年代初頭にソニープラザと提携し、版画やアートポスターの販売を始めた人物であるが、人のことを“香港あたりから贋物を買っているイカサマ野郎”とあちこち言い触れて回ったため、知人からも白い目でみられ、随分迷惑した。その店は、ままよくあるように、バブロ崩壊後に閉店、残った在庫は倉庫に眠らせていたようなのであるが、二十年近く経って突然リサイクルショップから売りに出されたのである。しかも千円足らずという、何とも悲しすぎる価格で。それでやむを得ず救済することにしたのである。告知や宣伝のために使われる一方、商品として売り買いされるポスターであるが、それ固有の価値や意味を認めなくては、紙切れ同然になってしまうことを知っておかなくてはならない。

●作家:Roy Lichtenstein(1923-1997)
●種類:Poster
●技法:Offset lithograph
●サイズ:950x640mm
●限定:5000, 1000 impressions without the exhibition typography
●発行:Stedelijk Museum, Amsterdam, and Poster Originals, ltd., New York
●印刷:Amsterdam Stadsdrukkerij
●目録番号:Corlett. III.23
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ポスター・オリジナルズ社の版権表記と出版番号。
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シートの裏側に押された「PRINTED IN HOLLAND」のスタンプ
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同展の図録


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by galleria-iska | 2012-03-03 18:32 | ポスター/メイラー | Comments(0)