ガレリア・イスカ通信

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2013年 01月 26日

キース・ヘリングの版画展図録「Keith Haring Editions on paper 1982-1990」(1993)

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没後20年以上経つキース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)の版画作品(ポスター等を含む)の正式な版画目録(Catalogue Raisonné)は未だ刊行されていないが、現在その代わりとして使われているのが、1993年にヘリングの遺産をもとに企画された全版画展の図録としてクラウス・リットマン(Klaus Littmann)が編纂した「Keith Haring Editions on paper 1982-1990:The Complete Printed Works」である。この図録には1982年から1990年までに制作された全版画作品がカラー図版で紹介されている。1997年に表紙を替え再版。アメリカの作家の版画目録が自国以外でが編纂されるのは、なにもヘリングに限ったことではなく、20世紀のアメリカの現代美術を語る上で欠かすことが出来ないジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)やアンディー・ウォーホル(Andy Warhol)、そして1960年代後半をロンドンで過ごしたジム・ダイン(Jim Dine)もまた然り(註1)。いずれの作家の版画目録も、まずドイツ語圏で編纂されている。アメリカでは一般的に版画やポスターはインテリアとして扱われているため、ルネサンスの頃から版画収集が行なわれてきたヨーロッパに比べ、博物誌的な知の集積とも言える版画目録の需要が少ないのかもしれない。

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Catalogue
●題名:Keith Haring Editions on paper 1982-1990
●技法:Offset
●サイズ:310x243mm
●発行:Edition Canz, Stuttgart
●制作年:1993
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註:
1.Carlo Huber「Jasper Johns Graphik」Verlag Kornfeld und Klipstein, Bern, 1971. 267x221mm
Hermann Wünsche「Andy Warhol Das Graphische Werk 1962-1980 / His Graphic Work 1962-1980」Bonner Universitäts-Buchdruckerei, Bonn, 1981. 235x210mm
Berlin Galerie Mikro「Jim Dine: Complete Graphics」Galerie Mikro / Kestner-Gesellschaft / Petersburg Press, Berlin / Hannover / London, 1970. 220x210mm
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by galleria-iska | 2013-01-26 19:42 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2013年 01月 24日

カリン・シェケシーの写真「Daniela auf dem Stuhl IV」(1971)

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ドイツの写真家カリン・シェケシー(Karin Székessy, 1938-)(註:1)さんから日本での写真展の際にいただいたコロタイプ印刷(Collotype/Lichtdruck )による写真作品「Daniela auf dem Stuhl IV」。シェケシーさんは1970年代初頭から、夫となる故パウル・ヴンダーリッヒ(Paul Wunderlich, 1927-2010)氏とのコラボレーションから生まれたアイデアかと思われるが、銀塩写真(シルバー・プリント)と並行してコロタイプ印刷による写真作品を制作しており、この作品もそのひとつ。シェケシーさんの話では、写真のモデルとなったダニエラ嬢は、お気に入りのモデルのひとりだったが、病気のため若くして亡くなってしまったのだとか。椅子に座る彼女を撮った写真は何点もあり、ヴンダーリッヒ氏もそれらの写真を使って絵画作品や版画作品を制作しており、その幾つかを、二人の対応作品を収録した作品集「Paul Wunderlich und Karin Székessy. Correspondenzen」で見ることができる。そのうちの「Daniela posing」を基にヴンダーリッヒ氏が1971年に制作したりトグラフ「Daniela weint 3 Tränen」のヴァリアントとも言える「Daniela mit den Handschun」(1973)を所有していたが、知り合いの彫刻家に所望され譲ってしまった。この写真はそのリトグラフの代わりにやって来たのかもしれない。

●作家:Karin Székessy(1938-)
●種類:Photograph
●技法:Collotype(Lichtdruck)
●題名:Daniela auf dem Stuhl IV
●限定:100
●サイズ:316x236mm(Format)
●サイズ:280x206mm(Image)
●発行:Karin Székessy, Hamburg
●制作年:1971
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Fritz J. Raddatz (Hrsg.) 「Paul Wunderlich und Karin Székessy, Correspondenzen」 Stuttgart, 1977
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註:

1.ウィキペディアによると、シェケシーさんは1938年ドイツのエッセン生まれ、1957年と1959年にミュンヘンで写真を学び、1959年に人形の撮影を始める。1963年から画家のパウル・ヴンダーリッヒと共同でヌード写真を撮影を行なう。1960年から1966年まで、雑誌『Kristall(水晶)』のルポルタージュ・カメラマンとして働き、1962年から1967年まで、グループ"Zeitgenossen(同時代人)"のメンバーとして活動を行なう。1967年から1969年にかけて、ハンブルクの美術学校でファッション写真についての講義をする。1971年にパウル・ヴンダーリヒと結婚し、彼女の撮影した写真をもとにヴンダーリヒが絵画や版画作品を制作するなど、コラボレーション作品を発表。1976年に東京のギャルリー・ワタリで個展を開催。

参考文献:
1.Fritz J. Raddatz (Hrsg.) 「Paul Wunderlich und Karin Székessy, Correspondenzen」 Stuttgart, 1977
2.Karin Székessy 「Mädchen im Atelier」 Dortmund, 1985
3.Karin Székessy 「Mädchen wie Stilleben」 Schaffhausen, 1988



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by galleria-iska | 2013-01-24 21:04 | その他 | Comments(0)
2013年 01月 19日

マン・レイのポスター「Man Ray 40 Rayographies」(1972)

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1972年、写真家マン・レイ(Man Ray, 1890-1976)の強い勧めで、フレッド・フィッシャー(Fred Fisher)、フィリップ・クライン(Philippe Klein)と共に、ダダ、シュルレアリスム、ポップ・アート、ハイパーリアリズムという四つの芸術運動を柱とする画廊「Galerie des 4 Mouvements」を開廊したマルセル・フレイス(Marcel Fleiss, 1934-)(註1)。彼が最初に企画したのは、マン・レイの個展「Man Ray 40 Rayographies」で、マン・レイが1921年から30年にかけて制作した40点のレイヨグラフを展示するものであった。このポスターはその告知用に作られたもので、同じイメージを表紙に用いた図録も作られている。詳しい事情は、先日、『マン・レイのパリ 1972年』展を企画・開催された、“マン・レイになってしまった人”こと石原輝雄氏のブログ「マン・レイと余白で」をご覧いただきたい。

●作家:Man Ray(1890-1976)
●種類:Poster
●サイズ:599x400mm
●技法:Offset + lithograph
●発行:Galerie des 4 Mouvements, Paris
●印刷:Steff Imp., Paris
●制作年:1972
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                         図録の表紙


註:
1.1972年から1976年まで「Galerie des 4 Mouvements」の共同経営者、1981年からは「Galerie 1900-2000」の経営者となったマルセル・フレイスは1934年、パリに生まれる。フレイス一家はナチスが政権を掌握した1933年にフランスに逃れてきた裕福なユダヤ系ドイツ人で、1940年のナチス・ドイツのフランス侵攻の際にはブラジルに逃れた。少年時代を平穏なブラジルで過ごしたフレイスは、戦後、家族と共にフランスに戻る。15才のときジャズに興味を持ち、すぐに最先端のアメリカのジャズに没頭する。毛皮商であった父親の仕事の関係で、18才のときにニューヨークに渡り、時を置かずして有名なジャズクラブ“バードランド”や“ブルーノート”、また“アポロ・シアター“などの常連となり、そこに出演していたビバップを代表するジャズ演奏家(チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、バド・パウエル等)たちの写真を撮影する機会を得る。彼らと友人となってからは、彼らがヨーロッパで演奏する機会を探すのを手伝い、また、1935年に創刊されたフランスのジャズ専門誌「Jazz Hot」にフランスで最初のチャールズ・ミンガス、ジジ・グライス、ジーン・アモンズらに関する記事を書き、彼らにヨーロッパのジャズファンを紹介した。しばしの自由を愉しんだ後、現実の生活に引き戻されるが、毛皮の競りの場所と近いことを幸いにドルオーに毎日のように通うことになる。彼は、セーヌ通りの画廊に寄託していたナイーフアートの絵画を買う質屋を画商と思い、簡単に出来そうな仕事だと思った、と冗談交じりに語っている。ドルオーで、彼にシュルレアリスムを紹介したフレッド・フィッシャー(Fred Fisher)に共感し、もうひとりの重要な人物との出会う。マン・レイ(Man Ray, 1890-1976)である。マン・レイは彼に画廊を開くよう強く勧める。



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by galleria-iska | 2013-01-19 20:13 | ポスター/メイラー | Comments(2)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展案内状「Érik Desmazières Vues d'Amsterdam」(2004)

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フランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)のアムステルダムの眺めを描いたシリーズの、ニューヨーク・プリント・フェアーとフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)での個展の案内状。表紙には、おそらく創建350周年に因んだものかと思われるが、現在は国立海事博物館(Het Scheepvaartmuseum/ National Maritime Museum, Amsterdam)(註:1)として利用されている1655年に建てられた海軍補給庁('s Lands Zeemagazijn)の建物-前の桟橋には1990年の帆船祭に際し復元された18世紀の東インド会社所有の大型帆船「アムステルダム号」が係留されている-をヨット・ハーバーを挟んで描いた作品「's Lands Zeemagazijn, 2004. Etching」(右端部分)が使われている。裏表紙には幻想的な風景画で知られる17世紀の画家兼版画家ヘラクレス・セーヘルス(Hercules Pieterszoon Seghers or Segers, c. 1589 – c. 1638)のエッチング作品「積まれた本」を彷彿させる、17世紀に著されたアムステルダムに関する二冊の書物をモチーフとする作品「Description of Amsterdam in Two Volumes, 2004. Etching on antique paper」が使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Announcement
●技法:Offset
●サイズ:184x136mm(184x272mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:2004
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by galleria-iska | 2013-01-18 20:13 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Recent prints」(2001)

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2001年11月17日から12月22日にかけてニューヨーク市のフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)で三巻目の版画目録の出版に合わせて開催されたフランスの銅版画家(Erik Desmazières, 1948-)の近作展のレセプションへの招待状。この招待状には、パリ生まれの建築家アンリ・ラブルースト(Henri Labrouste, 1801-1875)設計で、新しい素材の鉄やガラスを使い、1862年に着工し1868年に完成したフランス国立図書館の旧館の天窓の付いたドーム型の天井を細い支柱で支える閲覧室を描いた作品「La Salle Labrouste de la Bibliothèque nationale, 2001. Etching and aquatint. Third state, reworked with india ink」が使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:128x176mm
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:2001
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by galleria-iska | 2013-01-18 20:09 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Borges' "La Biblioteca de Babel"」(1998)

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フランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)が南米アルゼンチン出身の作家ホルヘ・ルイス・ ボルヘス(Jorge Luis Borges, 1899-1986))の『伝奇集』に収録された短編小説「バベルの図書館」に登場する架空の図書館-その巨大な図書館は中央に巨大な換気孔を持ち、六角形の閲覧室が上下に際限なく積み重ねで成っており、主人公はそれを「宇宙」と呼んでいる-に想を得て制作した10点のエッチングとアクアチントによる連作銅版画集「バベルの図書館」-挿絵本と版画集という三つの体裁で出版された-のフィッチ=フェブレル画廊における出版記念展のレセプションへの招待状。この展覧会は、ニューヨーク・プリント・フェアー(1998年11月4日-8日)で開催された後、フィッチ=フェブレル画廊(1998年11月19日-12月19日)で行なわれたもので、フィッチ=フェブレル画廊以外にも、10月から12月にかけて、アメリカとカナダの4つの画廊を巡回している。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:140x191mm(140x568mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1998
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三つ折りの招待状の裏側に使われているのは「想像の街Ⅱ(Ville Imaginaire II, etching reworked with aquatint & gouache, 178x476mm)」で、風景作品の収集を行なっている静岡県立美術館が2008年に購入している。
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by galleria-iska | 2013-01-18 20:08 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Recent Works on Paper」(1994)

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1913年に第1回アーモリー・ショー(Armory Show)が開催されたレンガ造りの歴史的建造物(第69連隊の兵器庫)を会場に毎年11月に開催される国際的な版画見本市であるニューヨーク・プリント・フェアーでの展示に続き、1994年11月19日から12月30日にかけてニューヨーク市のフィッチ=フェブレル画廊(Fitch-Febvrel Gallery)で開催されたフランスの銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières, 1948-)の近作展のレセプションへの招待状。この個展にはエッチングの大作が何点も出品され、ことに17世紀のフランスの版画家ジャック・カロ(Jacques Callot, c1592-1635)の生誕400年に因んでであろうか、カロが1630年に制作した「聖アントワーヌの誘惑(La Tentation de Saint-Antoine)」を忠実に再現した同名の作品「La Tentation de Saint-Antoine, 1993-94. Etching, aquatint and roulette in two colors」が話題を呼んだ。招待状の表紙には作家が何度も画題として取り上げている版画工房のルネ・タゼ(Atelier René Tazé, Paris)(註:1)の内部を描いた1メートルを超える大作「L'Atelier Rene Taze VI, 1993. Etching, aquatint and roulette)が、裏表紙には、「聖アントワーヌの誘惑」の試し刷り(Trial proof)に水彩とグアッシュで彩色を施したものが使われている。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:145x180mm(145x360mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1994
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註:
1.ルネ・タゼ工房を描いた作品は、1975年から2006年までに計七点制作されている。幾つかを図版で紹介する。

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L'Atelier René Tazé III, 1981
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L'Atelier René Tazé V, 1992-1993
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L'Atelier René Tazé VII, 2006
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by galleria-iska | 2013-01-18 20:07 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 18日

エリック・デマジエール個展招待状「Erik Desmazières Etchings 1982-1991」(1991)

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アメリカの版画商アンドリュー・フィッチ(Andrew Fitch)氏は、フィリップ・モーリッツ(Philippe Mohlitz, 1943-)と同様、現在のフランスを代表する銅版画家エリック・デマジエール(Érik Desmazières(1948-)(註;1)の才能を早くに見い出し、個展を開催すると共に、版画目録(Catalogues raisonnés)(註:2)の編纂を行なっている。これは彼の画廊(Fitch-Febvrel Gallery, New York)で二巻目の版画目録(Erik Desmazières:Etchings 1982–1991の出版に合わせて開催された個展のレセプションへの招待状である。表紙には、版画目録と同様、パッサージュ・シリーズのひとつで、1826年に建てられたガラス天井と美しい市松模様の床のある透り“ギャルリー・ヴェロ=ドダ”を、うねるような動きを見せる建築構造物として描いた作品「Galerie Vero-Dodat, 1989, Etching, aquatint and roulette)」が使われている。

日本でのデマジエールの認知度はそれほど高いとは言えないが、19世紀から現代までのフランス絵画を専門とする千葉市の下総屋画廊によって定期的に個展が開催され、2010年には 町田市立国際版画美術館で「常設展 デマジエールの迷宮世界」が開催されるなどして、序々にファンを獲得しているようである。

●作家:Érik Desmazières(1948-)
●種類:Invitation
●技法:Offset
●サイズ:127x176mm(127x352mm)
●発行:Fitch-Febvrel Gallery, New York
●制作年:1991
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註:
1:仏領インドシナのハノイに生まれた版画家で画家のジャン・デルプク(Jean Delpech, 1916-1988)の工房の門下生のひとりとして、フィリップ・モーリッツ(Philippe Mohlitz, 1941-)やイヴ・ドアレ(Yves Doaré, 1943-)、フランソワ・ウータン(François Houtin, 1950-)、アントニオ・セグイ(Antonio Segui, 1934-)らと同じようにデルペクの夜間教室で版画技法を学んだエリック・デマジエール(Érik Desmazières(1948-)は1948年、フランスの外交官の息子として、赴任先のモロッコ王国の首都ラバト(Rabat)に生まれる。幼い頃からデッサンの素養を見せたが、外交官になるべくフランス屈指のエリート校であるパリ政治学院(Insitut d'Etudes Politiques de Paris )入学。1971年に卒業し、パリ建築大学(École spéciale d'architecture Paris)に数ヶ月間通うが、建築家になるのを諦め、デルペクの夜間教室(クラスメートに銅版画家のウータンがいた)に通う。ただ多くのことを独学で学び、エッチングとアクアチントに恐ろしいほど精通する。そのことをデマジエールの代理人である版画商のアンドリュウ・フィッチは次ぎのように言っている:"Like so many great printmakers, he has learned by doing"。1972年、モーリッツに励まされ銅版画家になる決心をする。1978年に《Grand Prix des arts de la ville de Paris pour la gravure》を受賞し、フランス版画協会会員となる。

2:フィッチ=フェブレル画廊が出版したデマジエールの版画目録は以下のとおり:
Tome I:Etchings 1972–1981, Fitch-Febvrel Gallery, 1982. 72 pages, with 68 b/w illustrations.(234 x 255mm).
Tome II:Etchings 1982–1991, Fitch-Febvrel Gallery, 1992. 64 pages, with 73 b/w illustrations(234 x 255mm).
Tome III:Etchings 1991–2001, Fitch-Febvrel Gallery, 2002.72 pages, with 68 b/w & 4 color illustrations(234 x 255mm).
Tome IV:Prints 2001–2011, Fitch-Febvrel Gallery, 2011. 72 pages, with 46 b/w & 14 color illustrations(234 x 255mm).
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by galleria-iska | 2013-01-18 19:56 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2013年 01月 12日

ヒプノシスの作品集「The Work of Hipgnosis-Walk Away René」(1978)

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昨年の秋と暮に家人の身内が相次いで亡くなり、正月飾りやおせち料理の準備もなく正月を迎えることとなった。元旦の午前中に墓参りを済ませると、することもないので、録画してあった家人の好きな松任谷由美の特集番組を観ていたところ、プログレッシヴ・ロックファンならお馴染みのイギリスのデザイングループ、ヒプノシス(Hipgnosis) のメンバーの一人で、グラフィック・デザイナーのストーム・ソーガソン(Storm Thorgerson, 1944-)が画面に登場し驚いた。松任谷由美のLPアルバム「昨晩お会いしましょう」(1981年)のジャケットやミュージックビデオ「コンパートメント」(1984年)を手掛けたとのことであった。もう70近いが未だ現役で活動しているらしい。ヒプノシス は激動の1968年に結成されたイギリスのデザイン・グループであるが、そのデザイン・スタイルは既に70年代を予見していた。ヒプノシスとは、Hip(流行)とGnosis(知識・認識)を足して作られた造語。設立メンバーはストーム・ソーガソンとオーブリー・パウエル(Aubrey Powell, 1946-)で、1978年に、画像処理のコンピュータ化に対応するためピーター・クリストファーソンを加え3人体制になった。1983年に解散している。最初書籍の装丁からスタートしたが、1968年にピンク・フロイド(Pink Flloyd)の二作目のLPアルバム「神秘(A Saucerful of Secrets )」のジャケット・デザインを手掛けたことがきっかけとなり、ジェネシス(Genesis)、レッド・ツェッペリン(Led Zepplin)、ウィングス(Wings)と言った数々のアーティストのアルバム・ジャケットを手掛けることになる。そのヒプノシスの10年に及ぶ仕事を紹介する作品集。表紙にはピンク・フロイド(Pink Floyd, 1965-1996)の「炎〜あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here )」のポスターのイメージ(部分)が使われている。

今手元にあるものは、名古屋の現代美術画廊の草分け的存在のひとつ“ギャラリーたかぎ”所有の資料の一部で、画廊閉鎖後、名古屋の古書店でポスター関係の資料と共に購入したものである。“ギャラリーたかぎ”は企画展の開催の他、欧米の現代美術の紹介も行なっており、ポップアートの作家のポスターなども扱っていたため、一二度訪れたことがある。

●作家:Hipgnosis
●種類:Book
●サイズ:305x240mm
●技法:Offset
●発行:Paper Tiger-Dragon's World Book, Limpsfield/ A & W Visual Library, New York
●印刷:Printer Industria Gráfica S.A., Sant Vicenç dels Horts
●制作年:1978
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by galleria-iska | 2013-01-12 18:56 | その他 | Comments(0)
2013年 01月 05日

棟方志功の図録「Shiko Munakata」(1960)

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棟方志功(Shikou Munakata, 1903-1975)と言うと、日本人には、仏師ではなかったが、魂に触れる仏像を彫った“円空”にも似た存在であったのかもしれないし、欧米人には表現主義にも通じる人間の強い情念を感じさせる作家に見えたかもしれない。自分にとっては、戦前から戦後の復興期にかけて活躍した版画家として、同時代の作家ではなかったようについ思ってしまうのだが、実際はコンセプショナル・アート全盛の1970年代の中頃まで制作を続けていた作家であり、“民藝”という堅固な括りのなかでその存在を輝かせいるが故に、いわゆる美術界からははみ出た存在であったように思う。従ってその磁力が弱まる関東より以西に住む者には作品に接する機会はあまりなく、伝説の作家というような捉え方になってしまい、棟方の版画作品に直に対峙する前に既にその魅力というものを掴みきれない状態が出来上がってしまっていたように思う。そうした棟方の版画家として立ち位置を測りかねていた時、時間つぶしに立ち寄った書店で、没後4年経って刊行された長谷日出雄の「鬼が来た」(上下二巻)の文庫版(1984年刊)を偶然見つけ、少しはもやもやした気持ちが解消されるのではと思って購入、一気に読み終えたのだが、独創的な作品を数多く生み出した才気溢れる人間像が語られているのかと思いきや、棟方の生の人間像に迫る描写に、自惚れと嫉妬という強烈な毒を内に持った人間であるとの印象を強く持ってしまった。柳宗悦という一流の“蛇使い”に出会わなければ、ただの独りよがりの作家に終わってしまったかもしれないが、時代を超える作家というものは、いつもアカデミズムを超越したところから生まれてくることは確かのようである。

ここで取り上げるのは、フランスの古書店から入手した棟方志功の一枚刷りの展覧会図録である。内容は、1960年から二年にわたりヨーロッパの主要都市(註1)を巡回した棟方志功の版画展に先立ち、「ヨーロッパ巡回棟方志功展国内展示」(主催:国立近代美術館/国際文化振興会/日本民芸館/後援:外務省/毎日新聞社)と銘打ち、1959年10月24日から11月8日までの二週間、京橋にある東京国立近代美術館(Musée National d'Art Moderne de Tokyo )で開催された展覧会の内容をフランス語に翻訳したもので、フランスでの展覧会(会場は不明)の際に使われたものかと思われる。凸版印刷による図版は棟方の墨摺りの大作「華狩頒板壁画」(1954年)で、ドイツ語、フランス語、イタリア語で題名が記されている。棟方は、朝鮮半島北部にある高句麗古墳内部に描かれた狩猟図壁画と四方に花矢を放つアイヌ祭りに触発されて制作したこの作品について、「弓を持たせない、鉄砲を持たせない、心で花を狩る」という言葉を残している。テキストは当時日本民藝館の館長であった柳宗悦による「棟方の藝術」。

国際文化振興会(KBS)主催による「欧州巡回棟方志功展」は、1960年度開催分は定かではないが、1961年1月から12月にかけてオランダ、ポーランド、イギリス、西ドイツ(1949-1990)、チェコスロバキア(1918-1992)、ユーゴスラビア(1929-2003)を巡回している。

●作家:Shiko Munakata(1903-1975)
●種類:Catalogue
●サイズ:365x525mm
●技法:Letterpress
●発行:Musée National d'Art Moderne de Tokyo
●印刷:Bijutsu Shuppann-sha, Tokyo
●制作年:1959
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註:
1.1960年に開催された展覧会のうち、判明しているのは以下のもの:
イタリア:"Shiko Munakata: Incisioni" Galleria Civica d'Arte Moderna, Torino, 1960
西ドイツ:"Shiko Munakata: Holzschintte" Städtischen Museum Braunschweig, Braunschweig, 1960
オーストリア:"Shiko Munakata: Holzschnitte" Österreichisches Museum für Angewandte Kunst, Wien, 1960
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by galleria-iska | 2013-01-05 18:53 | 図録類 | Comments(0)