ガレリア・イスカ通信

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2013年 06月 29日

パウル・ヴンダーリッヒの挿絵本「The Song of Songs Which is Solomon's」(1970)

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町田市立国際版画美術館(Machida City Museum of Graphic Arts)でヴンダーリッヒの版画展が始まり、同美術館のウェブサイトの案内に展覧会のリーフレット(出品作品リスト付)がアップされた。今回の展覧会には、初期の版画集のひとつ「レダ(Leda)」(1962)や案内に使われている挿絵本「ソロモンの雅歌(Das Hohe Lied des Salomo)」(1969)、また、コンプリートではないが、版画集「黄昏(Twilight)」(1971)を中心に、39点が出品されている。好みとする作品が少ないのは残念だが、何か新しい発見もあるかも知れない。ただ、ここ十年あまり上京する機会を得ておらず、天からの思し召しを待つしかない。

手元に「ソロモンの雅歌」があるので、画像をアップする。

●作家:Paul Wunderlich(1927-2010)
●種類:Portfolio
●題名:The Song of Songs Which is Solomon's(Das Hohe Lied des Solomo)
●サイズ:652x509mm
●技法:Lithograph
●限定:480
●紙質:B.F.K. Rives
●発行:Aquarius Press, Baltimore
●印刷:Atelier Désjobert, Paris
●制作年:1970
●目録番号:C.R.359-368
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by galleria-iska | 2013-06-29 20:28 | その他 | Comments(2)
2013年 06月 17日

ヴィクトル・ブローネル展の招待状「Le Point Cardinal」(1963)

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1963年の4月から5月にかけてパリのル・ポワン・カルディナール画廊(Le Point Cardinal)で開催されたルーマニア出身の画家ヴィクトル・ブローネル(Victor Brauner, 1903-1966)の新旧作品展《Œuvres anciennes Œuvres récentes.》の招待状。表紙にはシルクスクリーンによる版画「Double Head(Les deux visages)」と告知用のポスターのイメージが使われているが、この構図はブローネルが1942年に自画像として制作した彫刻(Signe ou Le Vent)に基づいている。そこには喧嘩の巻き添えにより片目を失った画家の姿が投影されているのだが、自らが負う事になった二つの側面、光と闇、現実と想像(夢)という、アンビバレント(ambivalent)な状態が惹き起こす不安心理が、画家の想像力を喚起し、世界が持つ二つの側面と結びつくことによって多様な形態を創造する原動力となった。招待状の本文にも、ブローネルの名前を囲むように、幻視者(Visionnaire)ブローネルによって生み出された、秘教的な儀式を思わせる、二面性を孕んだ不思議な生き物(Creature)が描きこまれている。

●作家:Victor Brauner(1903-1966)
●種類:Invitation
●サイズ:150x120mm(150x359mm)
●技法:Silkscreen
●発行:Le Point Cardinal, Paris
●印刷:Imp. Union, Paris
●制作年:1963
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図版:彫刻「Signe ou Le Vent」(1942)。ブローネルと同じルーマニア出身の彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuşi, 1876-1957)の彫刻《眠れるミューズ》の影響を窺わせる。

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図版:同展のポスター:665x500mm、Silkscreen poster printed by Imp. Union, Paris


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by galleria-iska | 2013-06-17 21:21 | 案内状/招待状関係 | Comments(2)
2013年 06月 10日

キース・へリングのタンクトップ「Tank top for Club DV8」(1987)

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キース・へリング(Keith Haring, 1958-1990)とクラブとの関わりには、ゲイ・カルチャーが深く結びついており、ダンスやセックスといったヘリングの主要な作品テーマのイメージの源泉となっていることは周知のとおりである。へリングは1980年代の前半、ニューヨーク市ソーホーのゲイ・クラブ「パラダイス・ガラージ」に足繁く出入り、そこで知り合ったDJのラリー・レヴァンと親交を深め、その繋がりの中で幾つものLPや12インチ・シングル・レコードのカバー・アートを手掛けることとなる。またクラブを会場にして行なわれるパーティや演奏会、また自身の展覧会のポスターや招待状のデザインも行なっているが、美術愛好家の手元にあるものは少なく、その多くが失われてしまった可能性が強い。そのため、ヘリングのファンが持っていたものがネット・オークションなどに出品されると、日本では考えられない金額で落札されることがある。

ヘリングがポップ・ショップを開店する1986年、サン・フランシスコのハワード通りにあった名立たるナイトクラブ「Club DV8」の風変わりな興行主、“ドクター・ウィンキー(Dr. Winkie)”ことLawrence Lin-彼は1990年に誘拐未遂と強盗の罪で逮捕され、後に有罪となる-が、ヘリングを、ゲストとして、彼に敬意を表するための部屋に招待している。へリングがウィンキーのエイズ啓発運動への献金に対する感謝として即興的な壁画を制作すると約束したことによるものだが、ヘリングがクラブを訪れると、ウィンキーがクラブの部屋の壁を横断する長さに広げたキャンバスを用意していたことから、それを見たヘリングは“設置”をすることをためらってしまう。熟考と交渉を重ねたのち、ヘリングは“設置”を進めることに納得し、大量のドラッグを渡すことになった、と言われているが、シャンパンの『クリスタル(Cristal )』とその他の『贈り物(Party-favors)』によってその障害は取り除かれ、へリングは最終的にその品物と壁面を飾る4枚の巨大な壁画を送り届けた。そしてその公開のイべント「Club DV8 Unveils the Kieth Haring Room」が、スペシャル・ゲストに歌手のシルヴェスター・ジェームス(Sylvester James、1947-1988)を迎え、1986年6月5日午後9時から午前2時にかけて行なわれた。ヘリングはこのイべントの告知用ポスターのデザインも行なっている。クラブは2000年に閉鎖され、4枚の壁画のうち1枚はオークションに掛けられ、かなりの高値で落札され、現在はイタリアのコレクターの元にあるとのことである。

その翌年の1987年に、このクラブで開催された献金のための“出席不可欠”のクラブ・イベントのために制作されたのが、1986年から1987年にかけての絵画作品のモチーフとして登場する“アステカ仮面(Aztek mask)”と称されるモチーフを描いた色違いの二種類のポスターとティーシャツ(T–shirts )およびこのタンクトップ(Tank top)である。タンクトップは線描のみで、着色はされていない。
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ポスターとティーシャツのイメージ

●作家:Keith Haring(1958-1990)
●種類:Tank top
●サイズ:740x380mm
●技法:Silkscreen
●製作:Club DV8, San Francisco
●制作年:1987
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by galleria-iska | 2013-06-10 12:31 | キース・へリング関係 | Comments(0)
2013年 06月 08日

パウル・ヴンダーリッヒのリトグラフ「Der geflügelte Nike」(1977)

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東京町田市にある国際版画美術館のサイトを見ていたら、ミニ企画ではあるが、6月19日から9月23日までの長期に渡り、パウル・ヴンダーリッヒ(Paul Wunderlich, 1927-2010)の1960年代から70年代の版画作品約40点による展覧会が開催されるとの告知が出ていた。ヴンダーリッヒはエロスを主題に多くの作品を制作した作家であるが、急激な価格の変化もあってか、近年作品を扱う画廊が減ったように思われる。そのため、まとまった量を目にする機会が無く、寂しい気がしていたのだが、そんな中での企画で、ヴンダーリッヒの作品のファンのひとりとして嬉しく思えた。確かこの美術館はヴンダーリッヒの数少ない挿絵本のひとつ「ソロモンの雅歌」を所蔵していたと思うが、出品作品のひとつに加えられるのは間違いないであろう。出品作品リストの公開が待たれる。

今回取り上げるのは、1977年にドイツのフォルカー・フーヴァー出版(Edition Volker Huber)から刊行された三枚組みの版画集「女達(Les Femmes)」所収の、ギリシャ神話に登場する勝利の女神ニーケーを主題にした「翼のあるニケ(Der geflügelte Nike )」という作品で、二十年ほど前に、ヴンダーリッヒ氏から氏の版画展を企画したことへの謝礼として頂いたもの。この作品は、1975年に制作された彫刻「Keine Nike(小さなニケ)」とリトグラフ「Der goldene Engel(金色の天使)」の延長線上にあり、両者を足して二で割ったような作品と言ってもよい。この作品が欲しくて、フォルカー・フーヴァー出版から版画集を購入したのだが、肝心の「翼のあるニケ」を人に譲ってしまい、ずっと歯抜けになっていた。そんなことは知る由もないヴンダーリッヒ氏が、この作品を選び、作家手持分(e.a.)の中の一枚に献辞を入れ贈って下さったのである。何という僥倖。感激も一入であったのは云うまでもない。

●作家:Paul Wunderlich(1927-2010)
●種類:Lithograph + rainbow printing(Irisdruck)
●題名:「Der geflügelte Nike」 from the portfolio《Les Femmes》
●サイズ:400x310mm
●限定:3000+15 e.a.
●発行:Edition Volker Huber, Offenbach am Main
●印刷:Matthieu Dielsdorf, Zürich
●制作年:1977
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版画集「Les Femmes」のポートフォリオ
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「Torso(トルソ)」from the portfolio《Les Femmes》
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「Mit dem Gesicht zur Wand(壁に顔を向けて)」from the portfolio《Les Femmes》
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by galleria-iska | 2013-06-08 16:42 | その他 | Comments(0)