ガレリア・イスカ通信

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2016年 02月 28日

リン・チャドウィックのリトグラフ「Moon in Alabama」(1963)

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第二次世界大戦後のイギリスを代表する彫刻家のひとり、リン・チャドウィック(Lynn Chadwick, 1914-2003)の日本で初めての本格的な展覧会は、1962年に神奈川県立近代美術館で開催されたケネス・アーミテージ(Kenneth Armitage, 1916-2002)との二人展であるが、それから30年を経た1991年4月から10月にかけて日本各地の美術館を巡回した「チャドウィックの彫刻」は、チャドウィックの36年に及ぶ制作を顧みる大規模な回顧展であった。その最初の開催地である富山県立近代美術館へ彫刻家の方と出掛ける予定であったが、都合が付かず、展覧会図録(註1)を郵送してもらった。と言うのも、展覧会が始まる少し(?)前にチャドウィックのリトグラフを一点手に入れたのだが、どういう作家なのか、詳しいことが分からず、一度実物を見てみたいと思ったからである。

そのリトグラフが今回取り上げる「アラバマの月(Moon in Alabama」という、1956年に制作した最初の作品「テディ・ボーイとガール(Teddy Boy and Girl」(註2)に続く、リン・チャドウィック二作目の版画である。この作品はフェリックス・H・マンの編集でシュトゥットガルトの画廊で版元のヴォルフガング・ケッテラー(Edition Galerie Wolfgang Ketterer, Stuttgart(1965年にミュンヘンに移転)から1963年に刊行された版画集『ヨーロッパの版画 第一集 ‐ イギリスの美術家(Europäische Grafik I - Englische Künstler)』にレッグ・バトラー(Reg Butler, 1913-1981)、ヘンリー・ムーア(Henry Moore, 1898-1986)、ウィリアム・スコット(William Scott, 1913-1989)、ジョン・パイパー(John Piper, 1903-1992)、グレアム・サザーランド(Graham Sutherland, 1903-1980)とともに所収されたもので、1957年に制作された彫刻作品「Moon of Arabama」(註3)を基にしているが、空に浮かぶ月を描いたリトグラフでは、彫刻作品にあった自立のための支柱が取り払われており、チャドウィックの彫刻の基本構造である紡錘状の骨組みがアクセントになっている。この作品におけるグレーイッシュな色彩は、どこかどんよりとしたイギリスの気候風土を反映したものになっているように思われる。この作品には色違いのバリアントが存在しているが、いずれも靄がかかったような淡いトーンである。

●作家:Lynn Chadwick(1914-2003)
●種類:Print
●題名:"Moon in Alabama" from the portfolio『Europäische Grafik I(Englische Künstler)』
●フォーマット:655x504mm
●技法:Lithograph in colors on Arches wove paper
●限定:65
●発行:Edition Galerie Wolfgang Ketterer(Verlag der Galerie Wolfgang Ketterer)
●印刷:Curwen Studio, London
●制作年:1963
●目録番号:Ketterer Editionsverzeichnis 42
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参考文献:

Dennis Farr and Eva Chadwick: Lynn Chadwick Sculpture. With a complete illustrated catalogue 1947-1988, reprinted with corrections, published by Oxford University Press, New York in 1992


註:

1.富山県立近代美術館で開催されたリン・チャドウィックの回顧展「チャドウィックの彫刻」の図録:
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2.リン・チャドウィックが1950年代のロックンロールの流行とともに現れたエドワード7世時代風の服装をする労働者階級の少年少女を題材に描いた最初の版画作品「テディ・ボーイとガール(Teddy Boy and Girl)」(1956年)。フォーマット:455x281mm、限定:60、発行:ボーデンゼー出版(Bodensee-Verlag, Amriswil, Switzerland)、紙質:リーヴ紙(BFK Rives)。この出版社から1958年にハーバード・リード(Herbert Read)著の「Lynn Chadwick」が刊行されている。
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3.リン・チャドウィックの彫刻作品「Moon of Alabama」(Bronze, 152cm, Edition 6:Eva Chadwick No.246)
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この彫刻は、"Moon of Alabama"や"Moon over Alabama", Whisky Bar"としても知られる"Alabama Song"を作詞-作曲はクルト・ヴァイル(Kurt Weill, 1900-1950)-した劇作家で詩人のベルトルト・ブレヒト(Bertolt Brecht, 1898-1956)が亡くなった翌年に、幾つかのマケットとともに制作されているのだが、チャドウィックはこの曲に何か思い入れがあったのであろうか。
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by galleria-iska | 2016-02-28 20:17 | その他 | Comments(0)
2016年 02月 19日

ジェームズ・アンソールの版画目録「Loÿs Delteil:Le Peintre graveur illustré. Tome 19」(1925)

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フランスの画家で版画家、そしてフランスの版画史にも精通していたアンリ・ロイ・デルテイユ(Henri Loÿs Delteil, 1869-1927)が1906年から26年にかけて編纂し出版した19世紀から20世紀の画家兼版画家の版画総目録(Loÿs Delteil:Le peintre-graveur illustré,31 vols., 1906–1926 Paris) 全31巻は、今でも画廊や蒐集家、研究者の基本文献として利用されているが、観賞用ではないため、オフセット印刷の図版が鮮明でないのが難点であろうか。バブル期にはデラックス版の全セットが数百万円(普及版でも百万円)もしたような話を聞いたことがあるが、稼ぎの少ない身としては資料にそんな大金をつぎ込むことが出来るわけもなく、大画廊の書庫に並んでいるのを想像するしかなかった。それも今は遠い昔の話になってしまったが。

高嶺の華であったデルテイユの版画目録であるが、運よく手に入れることが出来たものもある。1922年に二分冊(14、15巻)で出版されたフランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco José de Goya y Lucientes, 1746-1828)と今回取り上げるジェームズ・アンソール(James Ensor, 1860-1949)の版画目録である。ゴヤの方は合本されたもので、ゴヤの初期のエッチング「座って歌う盲人(Aveugle assis, chantant)」(Delteil No.30)の後刷りが挿入されており、高い時には20万円ぐらいしていたが、資金調達のため、海外の業者に売り渡してしまった。今資料として使っているのは、銅版画が抜かれたもので、価格は10分の1である。一方、第19巻として出版されたアンソールの版画目録は、楮(こうぞ)を原料とする極上局紙(Japon Impérial)に刷られた限定50部のデラックス版で、アンソールの他、ベルギーのアントワープ(アントウェルペン)出身の二人の画家、歴史絵画家のアンリ・ルイス(Henri Leys,1815-1869) と17世紀のオランダ絵画を彷彿させる、室内画、静物画、風景画を描いたアンリ・ド・ブラーケレール(Henri de Braekeleer, 1840-1888)の版画作品を収録しており、ブラーケレールが1872年に制作したエッチング「アントワープの大聖堂の塔、窓からの眺め(La Tour de la Cathédrale d'Anvers, vue d'une fenêtre)」(Delteil No.66)の和紙刷りと、アンソールが1895年に制作したエッチング「金拍車の戦い(La Bataille des Éperons d'or)」(Delteil No.95)(註1)の模造和紙(simili Japon)刷りのものが挿入されている。1925年頃のアンソールは名声を博するものの、既にインスピレーションは枯渇し、制作意欲も失われていたが、生涯の愛人で友人であったオーギュスタ・ボーガルツ(Augusta Boogaerts,1870-1951)に励まされて絵筆を握っていた。ベルギーの美術史家ポール・ハザルツ(Paul Haesaerts, 1901-1974)が1957年に著した大著「James Ensor」によれば、ボーガルツはまた、アンソールの作品を監督し、それについての目録を作成し、売りたてを押し進め、銅版画の版数に関しても決定を下した、とあることから、この版画目録に挿入された銅版画に関しても、彼女が刷りに関わっていたと思われる。

アンソールの版画作品は高価で取引されるため、50部限定で目録に挿入されたものは、大抵は取り外され、版画単独(オークションでも$900ぐらいの値が付く)で売られていることが多い。そのため完全な形として残っているものは僅かであると思われる。その裏付けとなるかもしれない証拠をひとつ紹介する。ベルギーの画家ポール・デルヴォー(Paul Delvaux, 1897-1994)の版元であったパリの画廊バトー・ラボワールの設立者であった故ミラ・ヤコブ(Mira Jacob)女史のコレクションが2004年にパリでサザビーズによって売り立て("Collection Mira Jacob - Galerie Le Bateau Lavoir" Sotheby's, Paris (4022) / 23 Sep 2004)に掛けられた際に、この版画目録が出品され、見積もり価格800~1200ユーロのところ、1800ユーロ(手数料込みだと2160ユーロ。日本円に換算すると約29万円となる)で落札されているのである。この落札値は、故ミラ・ヤコブ女史のコレクションであるから、割り引いて考えなくてはならないが、話半分としても14,5万円である。手持ちのものもそれくらいで売れるなら手放してもよいが、日本国内にはアンソールの版画の蒐集家は少なく、まともな値は付かないであろうから、海外のオークションへの出品を考えた方が得策かもしれない。

●作家:James Ensor(1860-1949)
●種類:Catalogue raisonné
●著者:Henri Loÿs Delteil(1869-1927)
●題名:Henri Leys, Henri de Braekeleer, James Ensor: Le Peintre graveur illustré(XIXe et XXe siècle).Tome dix-neuviéne
●サイズ:331x262mm
●限定:50 exemplaires de Luxe sur papier Imperial Japon
●発行:Loÿs Delteil, Paris
●制作年:1925
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                         タイトルページ
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                         アンソールの肖像写真
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目録に挿入されたアンソールのオリジナル・エッチング「金拍車の戦い(La Bataille des Éperons d'or)」(1895年)
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                         目録の該当ページ
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          該当作品のテキスト部分
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ジェームズ・アンソールのオリジナル・エッチング:"La Bataille des Éperons d'or(Battle of the Golden Spurs)" Medium: Original etching. Executed in 1895; this impression was published in 1925 for the deluxe edition of the Delteil catalogue raisonne on the work of Belgian artist James Ensor. Printed on simili Japon, 175 x 237 mm, signed by Ensor in the plate(Deltail No.95)



註:

1.「端麗王」と称されるフランス王フィリップ4世(Philipe IV、1268年-1314)が毛織物業で栄えていたフランドルを併合しようと起こした戦争(1297年~1314年)の中で起きた戦いで、1302年7月11日、コルトレイク(Kortrijk)においてフランドルの市民や農民からなるフランドルの都市連合軍が騎士団を中心とするフランス王軍を破った戦い。戦場に残された騎士の象徴ともいえる金拍車に因んで、この名が付いた。地名を取ってコルトレイクの戦いとも言われる。ベルギーのフラマン語圏ではこの日を祝日としている。
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by galleria-iska | 2016-02-19 20:57 | その他 | Comments(0)
2016年 02月 04日

横尾忠則の装丁「The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo」(1968)

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「版画の国際的認識と普及向上」を目的に1957年に創設され、東京国立近代美術館と京都国立近代美術館を会場に隔年開催された国際版画展のひとつ東京国際版画ビエンナーレ展は、世界的に版画への関心が薄れた1979年の第11回を持って中止となった。展覧会の主催は、第一回(1957年から第4回(1964年)は東京国立近代美術館と読売新聞、第5回(1966年)と第6回(1968年)は国際文化振興会と東京国立近代美術館、第8回(1968年)から第10回(1977年)は国際交流基金、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、1979年の第11回は、国際交流基金、東京国立近代美術館、国立国際美術館、北海道立近代美術館の主催となっている。1966年にポスター作品がニュヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されたグラフィックデザイナーの横尾忠則(Tadanori Yokoo, 1936-)氏が告知用ポスター(随分前に手放してしまったので画像をお見せ出来ないのが残念である)、入場券、図録のデザインを手掛けた第6回東京国際版画ビエンナーレ展(The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo)は、家族の肖像写真を写真製版を用いたシルクスクリーンで印刷するという作品を出品した野田哲也(Tetsuya Noda, 1940-)氏が国際大賞を受賞したが、審査員たちの関心はむしろ、同じく家族の肖像写真やアレン・ジョーンズ(Allen Jones)とアントニオ・セギ(Antonio Segui)の作品図版を引用し、浮世絵やポップ・アート、サイケデリック・アートをも想起させる、西洋と日本の文化が混交するごった煮的画面を彩る蛍光色による鮮烈な色の対比が見る者の目に強烈に焼き付く、横尾ワール全開のポスターに向かい、「このポスターこそ国際大賞に値する」といった論評を呼び起こした。このポスターを特徴付けるのが、画面の外に意図的に残した色見本とトンボ(印刷工程で利用される目印)であるが、このような印刷工程をあえて示すことで、版画の本質である“版”というものの本質を提示、あるいは問う姿勢を示すという、グラフィック・デザイナー側からの挑戦であり、それは図録のデザインにも及んでいる。

出品者のリストの中には、アメリカの現代美術を代表するネオ・ダダの作家ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)とジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)、ポップ・アートのR.B.キタイ(R.B. Kitaj、ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)、ジェームズ・ローゼンクイスト(James Rosenquist)、エルネスト・トローヴァ(Ernest Trova)、そして彫刻家のルイーズ・ニーベルソン(Louise Nevelson)の名を見つけることができるが、アメリカ勢は振るわず(?)、受賞したのはローゼンクイストただひとりである。

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                         裏表紙

●作家:Tadanori Yokoo(1936-)
●種類:Book work
●題名:The 6th International Biennial Exhibition of Prints in Tokyo
●サイズ:235x187mm
●技法:Offset
●発行:The National Museum of Modern Art, Tokyo
●印刷:Toppan Printing Co., Ltd.,Tokyo
●制作年:1968
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                     扉絵
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by galleria-iska | 2016-02-04 12:35 | 図録類 | Comments(0)
2016年 02月 02日

デイヴィッド・ホックニーのポスター競売カタログ「Christie's:Hockney posters」(1999)

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イギリス現代美術の作家デイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937-)のポスターは、これまで何点か取り上げてきたが、これはというもの-画像だけでも残して置けたらよかったと思うが-は人様に譲ってしまったため、なんだこんなものしか持っていないのかと思われる人も多いであろう。しかしながら、自分はコレクターではないので、ポスターでも版画でも暫くの間手元に置いて楽しめれば良しとしており、棺桶まで持って行こうなどとは思わないし、仮に残して置いても遺族から厄介物扱いされ、二束三文で業者に引き取られ、否、むしり取られていくのが見えている。それに版画ならまだしも、ポスターについては、日本の公立美術館に寄贈を願い出ても断られるのが関の山である。愛着と執着は別物であるが故、自分で美術館を造ることが出来る人間はさて置き、高値が付く時に希望する方に譲ってしまうのが得策であると考える。何か記録として残したいと思うならば、コレクション・カタログの自費出版も可能であるが、今はブログという便利な記憶装置があるので、画像や作品データも残して置けるし、万が一、誰かの作品購入の参考にでもなれば、人助けにもなる。何の劣化も心配ない電脳空間の片隅に、それを必要とする人が現れるまで、図書館の書庫がごとくしまわれていくのである。さすれば自分のコレクションの行く末を案ずる必要もない。

日本でもホックニーのポスターが人気を集めた1980年代後半、絵画や版画を持つ余裕のないひとりのイギリス人が世界中から集めたホックニーのポスター・コレクションが注目を浴びることとなった。イギリス航空(British Airway)の社員であったブライアン・バゴット(Brian Baggott)なる人物は、1960年代の終わり頃にホックニーと出会い、1970年代初頭からホックニーのポスターを集め始めた。その方法について彼自身は次のように書いている:

I wrote to every gallery ever mentioned in the back of a Hockney catalogue to see if they'd done a poster.


この方法は自分もやっており、今では考えられないことだが、まさかと思うような昔に出版された版画やポスター、美術書が売れ残ったまま画廊の倉庫に眠っていたとが何度もあって、しかも出た当時の値段で購入できたのである。それらは日本の物価と比べあまりに安かったので、今のうちに購入しておけば、招来高くなるに違いないから、それらで食い扶持を稼げるのではないかと甘い期待を抱いたのだが、長びく不況で、夢と消えてしまった。

話を戻そう。航空会社に勤務していたことが幸いし、バゴットは安い料金で世界各地にポスターを見に出掛けて行くことが出来た。そうして集めたポスターは、1963年から1986年までに制作されたポスター、全128点で、その多くが無料(!)であった。その展覧会が1987年、ロサンゼルス郡立美術館(Los Angeles County Museum of Art, Los Angeles)から始まり、最終地のロンドンのテイト・ギャラリー(Tate Gallery, London)へと巡回、図録兼目録(カタログ・レゾネ)として「Hockney Posters」がロンドンのパビリヨン・ブックス(Pavilion Books Ltd.)から刊行された。1994年にはその続編として、1962年以降に制作された200点余りのポスターの図版目録とともに、1987年から1994年までのポスター38点を収録した「Off the Wall, A collection of David Hockney's posters」が同社から刊行された。純粋のオリジナル・デザインのポスターが少ないホックニーのポスター制作について、「Hockney Posters」の序文を執筆したエリック・シャーンズ(Erik Shanes)は次のように書いている:

Hockney’s output as an original poster maker has been a comparatively small one...his willingness to contri-
bute, either directly (in the case of added lettering) or indirectly (as with the allowing of the use of his images
by others) to the creation of posters of his works, has meant that a by-no-means insignificant body of designs has come into being. And these designs, by making the reproduction of works of art a controlled process, have often elevated such reproduction onto a new plane, making us more, rather than less, conscious of the inherent visual qualities of the original pictures they reproduce


そのバゴットのポスター・コレクション全206点が1999年3月25日、ロンドンの競売会社クリスティーズ・サウス・ケンシントン(Christie's South Kensington, London)で競売(Sale no.8332)に掛けられた。これはその競売カタログである。表紙は、ホックニーが40ページに渡るアート・ワークを手掛けた1985年のフランス版ヴォーグの12月号『Vogue Paris par David Hockney』(Décembre 1985/Janvier 1986)の表紙デザインを模したものとなっている。この競売カタログを受け取った時、ようやく現代美術のポスターも美術品のひとつとして認知されるようななったのか、と感慨深かった。

●作家:David Hockney(1937-)
●種類:Auction catalogue
●題名:Christie's South Kensington:Hockney posters
●サイズ:267x210mm
●技法:Offset
●発行:Christie's, London
●制作年:1990
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As Eric Shanes writes in his foreword to the 1987 ‘Hockney Posters’ book, although ‘Hockney’s output as an original poster maker has been a comparatively small one...his willingness to contribute, either directly (in the case of added lettering) or indirectly (as with the allowing of the use of his images by others) to the creation of posters of his works, has meant that a by-no-means insignificant body of designs has come into being. And these designs, by making the reproduction of works of art a controlled process, have often elevated such reproduction onto a new plane, making us more, rather than less, conscious of the inherent visual qualities of the original pictures they reproduce’.

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フランス版ヴォーグの1985年の12月号『Vogue Paris par David Hockney』(Décembre 1985/Janvier 1986) の表紙。キャンバスの側面には"for Brian David Hockney"の献辞が見える
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by galleria-iska | 2016-02-02 13:51 | 図録類 | Comments(0)