ガレリア・イスカ通信

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2016年 10月 26日

ニキ・ド・サンファルのポスター「Museum Jean Tinguely Basel」(2001)

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今回取り上げるのは、スイス バーゼルにあるジャン・ティンゲリー美術館(Museum Jean Tinguely Basel)(註1)が、2001年9月26日から翌年の2月17日という、長期開催を行なった、フランスの戦後を代表する現代美術家ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)の初期から晩年に至る芸術活動を俯瞰する展覧会「Niki de Saint Phalle: Werke aus den Jahren 1952-2001」の告知用のポスター、もしくはチラシである。ニキがポスターのデザインに加わったかどうかは不明である。この展覧会は、ニキから400点に及ぶ作品の寄贈を受けて、2001年の初めにドイツ ハノーファーのシュプレンゲル美術館(Sprengel Museum Hannover)に寄贈(註2)で開催されたニキの大規模な展覧会「La Fête - Die Schenkung Niki de Saint Phalle, Werke aus den Jahren 1952–2001」(註3)の巡回展である。裏面にはニキの略歴を初め、展覧会の案内、付随する行事や出版の案内等が記されている。

ポスターに使われているのは、ニキの夫で1991年に亡くなったスイス出身の画家、彫刻家ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925-1991)へ捧げるために1992年に制作したニキが《Tableaux éclatés》と呼ぶ、動くレリーフ作品「Méta-Tinguely」(註3)である。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Poster
●サイズ:420x297mm
●技法:Offset
●発行:Museum Jean Tinguely Basel
●制作年:2001
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                        ポスターの裏面


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ジャン・ティンゲリー美術館版の画集「Niki de Saint Phalle: Werke aus den Jahren 1952-2001」。ニキの彫刻作品の写真を用いたシュプレンゲル美術館とドイツの大手美術出版社ハッチェ・カンツ社(Hatje Cantz Verlag, Ostfildern-Ruit)発行の画集とは異なり、表紙はニキのオリジナル・デザイン。

註:

1.1996年、スイスのメンドリソ-ティチノ-出身の建築家マリオ・ボッタ(Mario Botta, 1943-)の設計でスイスのバーゼルに開館した「ティンゲリー美術館」は、ティンゲリーのキネティック・アート(動く美術作品)が多数展示されている。

2.この寄贈に関して、ニキは次のような言葉を残している
:《I am honored and happy that the Sprengel Museum Hannover has accepted my donation. I have a great admiration for the museum and a very special feeling for Hannover.》

展覧会に際して、シュプレンゲル美術館(図版左:ソフトカバー)とハッチェ・カンツ社(図版右:ハードカバー)から大部の画集「La Fete: Die Schenkung Niki De Saint Phalle Werke Aus Den Jahren 1952-2001」が発行されている。240x300mm、371ページ
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3:シュプレンゲル美術館での展覧会「La Fête - Die Schenkung Niki de Saint Phalle, Werke aus den Jahren 1952–2001」図録。表紙はニキのオリジナル・デザイン。
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4.この作品はニキがフランス ニースにあるニース近代・現代美術館(Musée d'art moderne et d'art contemporain de Nice)に寄贈したもの。Jean III (Méta-Tinguely), peinture, bois, éléments métalliques et moteurs électriques sur bois:185 × 123 × 21 cm.
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# by galleria-iska | 2016-10-26 14:05 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2016年 10月 25日

ニキ・ド・サンファルの版画カタログ「Neue Graphik der Jahre 1997 bis 2000」(2001)

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フランスの戦後を代表する画家で彫刻家のニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)の晩年の版画作品の版元となったのは、オールドマスターの版画や素描、近・現代美術の様々なタイプの作品のオークション・ハウスとして、またパウル・クレーやピカソといった画家のカタログ・レゾネの編纂と出版や現代美術家の版元としても知られるスイス ベルンのコーンフェルト画廊(Galerie Kornfeld und Cie., Bern)で、コーンフェルト画廊は1993年から2000年までに、8点組のシルクスクリーン版画集、20点のリトグラフ、2点の銅版画を出版している。

今回取り上げるのは、2001年9月28日から12月21日かけて行なわれたニキの個展「Niki de Saint Phalle: Skulpturen Objekte Lithographien Serigraphien」に際して作られたカタログ『Niki de Saint phalle: Neue Graphik der Jahre 1997 bis 2000』(註1)で、ニキが1997年から2000年にかけて制作した9点のリトグラフを収録しているのだが、将来ニキの版画作品のカタログ・レゾネの雛形となることを見越した編集法を採っている。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Leaflet catalogue
●題名:Niki de Saint phalle: Neue Graphik der Jahre 1997 bis 2000
●サイズ:276x195mm
●技法:Offset
●発行:Galerie Kornfeld und Cie., Bern
●印刷:Bolliger Druck, Köniz
●制作年:2001
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註:

1.このカタログに先行して、ニキの1995年から1997年までの版画作品(11点のリトグラフと2点の銅版画)を収録したカタログ『Niki de Saint Phalle: Neue Graphik der Jahre 1995 bis 1997』が作られている。
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# by galleria-iska | 2016-10-25 17:49 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2016年 10月 24日

ニキ・ド・サンファルの招待状「Galerie Kornfeld und Cie.」(2001)

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2001年9月28日から12月21日かけてスイス ベルンにあるコーンフェルト画廊(Galerie Kornfeld und Cie., Bern)で行なわれたニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930-2002)の個展「Niki de Saint Phalle: Skulpturen Objekte Lithographien Serigraphien」の招待状。表紙はニキのオリジナルデザインで、1997年の個展「Niki de Saint Phalle」の際に使用されたものを再度使っている。画中に装飾文字による招待文《Chers Amis, je vous invite a mon exposition personel chez Ebi Kornfeld Niki de Saint Phalle》が記されており、1997年の個展の際の年記《Nov.1997》が《Spt.2002》に入れ替えられている。この個展に際し、ニキが1997年から2000年にかけて制作した9点のリトグラフを収録したカタログ『Niki de Saint Phalle: Neue Graphik der Jahre 1997 bis 2000』が作られているが、こちらは次回取り上げる。

●作家:Niki de Saint Phalle(1930-2002)
●種類:Invitation
●サイズ:195x172mm(195x342mm)
●技法:Offset
●発行:Galerie Kornfeld und Cie., Bern
●制作年:2001
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# by galleria-iska | 2016-10-24 22:15 | 案内状/招待状関係 | Comments(0)
2016年 10月 14日

マルクス・レーツのポスター「Der Hang zum Gesamtkunstwerk」(1983)

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前回取り上げたチューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich, Heimplatz 1, CH-8001 Zürich )で1985年に開催されたマリオ・メルツ(Mario Merz, 1925-2003)の展覧会の告知用ポスターと同じフォーマット(1280x900mm)のポスターがもう一点あったので、今回はそれを取り上げてみたい。こちらは同じくチューリッヒにある現代美術の展覧会に特化したアート・センター、クンストハレ・チュー リッヒ(Kunsthalle Zürich, Limmatstrasse 270, 8005 Zürich)で開催された展覧会「総合芸術へ向かって(Der Hang zum Gesamtkunstwerk)」(註1)の告知用ポスター。この展覧会は、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813-1883)の没後100年にあたり、ワーグナーが提唱した総合芸術(Gesamtkunstwerk)を再考するために、同館で1981年より1991年までインデペンデント・キュレーターとして活動していたハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann, 1933-2005)によって企画されたもの。ポスターのデザインは、ベルン近郊の町、ビューレン・アン・デア・アーレ(Büren an der Aare)出身の画家で彫刻家、イラストレーターのマルクス・レーツ(Markus Raetz, 1941-)が行なっており、印刷はキース・ヘリングやアンディ・ウォーホルなどのポスターも手掛けたヒンターカッペレンのシルクスクリーン工房、アルビン・ウルドリー(Serigraphie Uldry AG, Hinterkappelen)によるもの。このポスターにはデュッセルドルフ美術館およびラインラント及びヴェストファーレン地方芸術協会での展覧会向けに作られたヴァージョンも存在している。

マルクス・レーツはその“だまし絵”的な表現方法で知られる現代美術作家であるが、新表現主義(ニューペインティング)がもてはやされた時期に制作されたこのポスターの構図は、どこか宗教画を思わせるが、展覧会の副題「Europäische Utopien seit 1800」にあるように、ユートピアに対する作者のストレートな感情や想いがそのまま表出されている。一方で、その虹にも似た《色環》に、ドイツ・ロマン主義を代表する画家で、総合芸術の先駆者とも言われるフィリップ・オットー・ルンゲ(Philipp Otto Runge, 1777-1810)がその色彩論の中から生み出した《色球体》との関連性を求めるのは、いささか性急であろうか。

●作家:Markus Raetz(1941-)
●種類:Poster(Plakat)
●サイズ:1280x902mm
●技法:Offset
●発行:Kunsthalle Zürich
●印刷:Serigraphie Uldry AG, Hinterkappelen
●制作年:1983
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註:

1.
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「Der Hang zum Gesamtkunstwerk:Europäische Utopien seit 1800」展の図録、511ページ、300x210mm、Verlag Sauerländer, Aarau, 1983(Ausstellungskataloge Kunsthaus Zürich, Städtische Kunsthalle Düsseldorf und Museum moderner Kunst in Wien 1983)。ポスターと構図は同じだが、細部が異なるので、図録に描き直した(?)のかもしれない。同展はその後、ドイツのデュッセルドルフ美術館およびラインラント及びヴェストファーレン地方芸術協会、オーストリアのウィーン現代美術館及び20世紀美術館に巡回(Der Hang zum Gesamtkunstwerk. Kunsthaus Zürich, 11. Februar bis 30. April 1983, Städtische Kunsthalle und Kunstverein für die Rheinlande und Westfalen, Düsseldorf, 19. Mai bis 10. Juli 1983, Museum Moderner Kunst, Museum des 20. Jahrhunderts, Wien, 10. September bis 13. November 1983)

《1800年以降のヨーロッパのユートピア(Europäische Utopien seit 1800)》との副題が付いたこの展覧会は、新たな社会への社会的な現実の変革を指し示すために、審美的な効果に展示物を制限せず、《Johann Georg Sulzer - Etienne-Louis Boullee - Charles Fourier - Philipp Otto Runge - Karl Friedrich Schinkel - Richard Wagner - Ludwig II. - Henry David Thoreau - Gottfried Keller - Henry Dunant - Ferdinand Cheval - Antoni Gaudi i Cornet - Rudolf Steiner - Adolphe Appia - Gabriele D'Annunzio - Adolf Wölfli - Fidus - Peter Behrens - Der italienische Futurismus - Wassily Kandinsky - Alexander N. Skrjabin - Arnold Schönberg - Piet Mondrian - Kasimir Malewitsch - Marcel Duchamp - Francis Picabia - Erik Satie - Dada Zürich und Berlin - Kurt Schwitters - Wladimir Ewgrafowitsch Tatlin - El Lissitzky - Rudolf von Laban - "Die Gläserne Kette" - Staatliches Bauhaus - Walter Gropius - Johannes Itten - Oskar Schlemmer - Laszlo Moholy-Nagy - Dominik Keller, "Gesamtkunstwerke" in der amerikanischen Kinolandschaft der zwanziger Jahre - Antonin Artaud - Armand Schultheis - Robert Garcet - John Cage - Alexandre Spengler - Joseph Beuys - Marcel Broodthaers - Hans Jürgen Syberberg - Hermann Nitsch - Anselm Kiefer》等による“総合芸術"として、1790年から1983年に至るまでの約300点におよぶオブジェ、建築モデル、スコア、図面、絵画によって、ヨーロッパにおけるユートピアを描き出そうとするものであった。
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# by galleria-iska | 2016-10-14 21:55 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2016年 10月 12日

マリオ・メルツのポスター「Kunsthaus Zürich」(1985)

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イタリアのアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)を代表する作家のひとり、マリオ・メルツ(Mario Merz, 1925-2003)の作品を始めて見たのは、イギリスのロンドンにあるアートセンターICA(The Institute of Contemporary Arts)を参考にしたのだろうか、1986年に私の出生地である名古屋市北区の繊維工場跡に設立されたICA.Nagoyaでの個展であった。1988年頃のことだったと思う。ガラスと金属を組み合わせて作ったイグルーと呼ばれるエスキモーの半円球の氷の家をもとにした作品などであったが、ガラスの鋭角的な形状が生理的に受け付けない体質のようで、息苦しくなってしまい、早々に退散したのを覚えている。このポスターはそれより三年前の、1985年の4月3日から5月27日にかけて、スイス最大の都市チューリッヒにあるチューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich, Zürich)で行なわれたメルツの個展に際し、メルツ自身がデザインを行なったオリジナル・ポスターである。半円球をしたイグルーを三つ重ねたような図形は、直接的な関連性はないが、エッシャーが1945年に制作した木版画「三つの球体I」想起させる。スイスの美術館が出すポスターはサイズの大きなものが多く、このポスターも縦が一メートルを優に超すサイズで、写真撮影が非常に厄介なのだが、評価の方は今ひとつ(?)、といったところ。

●作家:Mario Merz(1925-2003)
●種類:Poster
●サイズ:1280x906mm
●技法:Offset+Silkscreen
●発行:Kunsthaus Zürich, Zürich
●制作年:1985
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メルツはポスターの原画を筆とエアーブラシを使って即興的に描いており、画面上部には作家名《Mario Merz》が入れられている。
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画面下部には展覧会会場《Kunsthaus Zürich》 が記されているのが、なんとか読み取れる。
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# by galleria-iska | 2016-10-12 20:45 | ポスター/メイラー | Comments(0)