2011年 08月 01日
昨年、名古屋市美術館で企画・開催された展覧会「静けさのなかから」は、前期《桑山忠明、2010年4月24日~5月30》と後期《村上友晴、6月1日~7月4日》の二部構成で、両作家の回顧展として開催された。名古屋市美術館によれば、村上氏は1938年 福島県三春町生まれ。1961年に東京藝術大学日本画科卒業。大学卒業後、徐々に日本画の顔料から油絵具へ移行し、1964年に「グッゲンハイム国際賞展」に招待出品されるが、その際に目にした、マーク・ロスコやアド・ラインハートなど、アメリカ抽象表現主義の作品の巨大で堅牢、その奥深さにショックを受け、1974年に養清堂画廊で現代美術作家として個展を開催するまで、10年間新作を発表できなかった、とある。その後は日本国内はもとより、ドイツ、アメリカの画廊などで数多くの個展を開催している。生憎、名古屋市美術館に出かけることはできなかったが、記憶の片隅に残っていたのだろうか、過去にいただいた案内状や招待状を整理していたところ、Tomoharu Murakamiの文字が目に飛び込んできた。 これは1994年に、「日本の彫刻と絵画:N.N.+村上友晴」と題し、リューベックのオーヴァーべック美術協会で開催された展覧会のオープニングへの招待状。招待状の表紙は、白地に赤丸の、日の本の国、日本の国旗と、その三分の一ほどの黒地の部分に、招待の文字とオーヴァーべック美術協会のロゴマークを白抜きで配置したもの。通常、招待状や案内といえば、その表紙には概ね作家の作品が何らかの形でデザインに組み入れられるのが普通であるのだが、日本の...という題が付けられると、かくのごときステレオタイプ的なデザインになってしまうのは致し方ないことなのかもしれない。しかし裏を返せば、それ程国旗の持つ意味が大きいということであるのだが、我が身を含めて日本人はあまりそのことを実感できていないようである。村上氏の作品は主に黒一色、あるいは赤と黒という、最小限の色から成る質素で禁欲的な画面とそれを支えている物質性というものが、作家の生の証のようでもあり、また信仰に辿り着くための道程のようにも感じられる。 村上氏の絵画については、この展覧会の二年前にブレーメンのカトリン・ラブス画廊(Galerie Katrin Rabus, Bremen)で「村上友晴絵画展」が開催され、図録も刊行されている。国内では、名古屋市美術館の図録が刊行されるまでは、村上氏の作品をまとまって見ることができる画集や図録の刊行は無かったようである。 ●作家:N.N.+Tomoharu Murakami(1938-) ●種類:Invitation ●題名:Skulptur und Malerei aus Japan/N.N. + Tomoharu Murakami ●サイズ:100x211mm(100x421mm) ●技法:Offset ●発行:Overbeck-Gesselschalt, Lübeck ●制作年:1994
by galleria-iska
| 2011-08-01 22:46
| 案内状/招待状関係
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