2012年 11月 02日
1966年から1991年までドイツの西ベルリンに在住し、版画家として広くヨーロッパで知られる存在となった長岡国人(Nagaoka Kunito, 1940-)氏が1988年に西ベルリンのテンペルホーフ空港(2008年閉鎖)近くにある美術館、クンストアムト・テンペルホーフ(Kunstamt Berlin-Tempelhof)で行なった回顧展の図録。銅版画の他、素描、水彩、墨絵、紙のオブジェを収録。 長岡氏は、現代美術の様々な試みが行なわれる中、西側文化のショーウインドウとも言われた東西冷戦下の西ベルリンに移り住み、板と水溶性の顔料を用いる日本の伝統的な木版画ではなく、西洋版画の古典的な技法のひとつである銅版画に深く沈潜しつつ、自己のアイデンティティの根底をなす自然環境と深く対峙する中で、活火山として溶岩による造山運動や浸食を繰り返してきた浅間山と情緒や感情を排した無機的な造形物としての人間の営みを対比させた風景を銅板に固着せしめた。 昨年、帰国後20年勤めた京都精華大を退官し、今年8月、朝来市和田山町宮内に版画工房「ヴェルク・シュタットN組」をオープンした造形作家の長岡氏は1940年、長野県佐久市生まれ。1963年に多摩美術大学デザイン科を卒業し、デザイナーの仕事を経て、1966年にベルリンに移住。1967年から1971年にかけてベルリン市立アカデミーで、デザインと版画を学び、1971年から1976年にかけてベルリン国立芸術大学で絵画と版画を専攻。1976年マイスターを取得。1977年から1980年にかけてヨーロッパの数々の版画展で受賞し、国際的に高い評価を得る。一方、日本国内では版画家としての長岡氏を紹介する展覧会は一二度しか開催されておらず、作品に対する認知度は低い。長岡氏については、同じベルリンで銅版画を制作している友人のドイツ人版画家から名前を知らされた。ベルリンのマリナ・ディンクラー画廊(Galerie Marina Dinkler Berlin )が主な取り扱い画廊で、この画廊からは1982年に、1971年から1981年かけて制作された銅版画の作品目録(Nagaoka.Werkverzeichnis der Radierungen 1971-1981)が刊行されている。 ●作家:Nagaoka Kunito(1940-) ●種類:Catalogue ●サイズ:240x210mm ●技法:Offset ●発行:Kunstamt Berlin-Tempelhof, Berlin ●印刷:P.Decker, Berlin ●発行年:1998 ●作家:Nagaoka Kunito(1940-) ●題名:ISEKI/PY XXII, 1979 ●画寸:390x490mm ●技法:Etching+Aquatint ●限定:EA:XV ●制作年:1979
by galleria-iska
| 2012-11-02 18:19
| 図録類
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