ガレリア・イスカ通信

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カテゴリ:ポスター/メイラー( 97 )


2018年 12月 08日

「ライカ同盟」のポスター「Leica-mania Alliance - Triplopia」(1998)

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今回は大学時代に写真部に所属していた連れ合いが購入したポスターを取り上げてみたい。今から二十年前の1998年の4月11日から5月17日にかけて三重県立美術館で開催された展覧会「ライカ同盟 三重視(さんじゅうし)」の際に購入したポスターなのだが、気が付けば一度も飾ることなく筒に入れっぱなしなっていた。二十年振りに虫干し(?)がてらに取り出してみたのだが、巻き癖が強く、平らに伸ばすのに一週間ほどかかってしまった。「ライカ同盟」は1960年代から前衛的な活動を行っていた美術家で執筆家の赤瀬川原平(Genpei Akasegawa, 1937-2014), 写真家の高梨豊(Yutaka Takanashi, 1935-)、彫刻家で政治活動家の秋山祐徳太子(Yutokutaishi Akiyama, 1935-)の三氏によって1992年に結成され、写真を深遠なる意図もなく写すだけの人間には畏れ多くて手にすることが出来なかったライカ(M型ライカであることは言うまでもない)を片手に撮影対象の町をそぞろ歩き、それぞれ独自の視点で町の日常の姿を切り取るという三人だけの同盟で、このポスターは「ライカ同盟」が三重県各地(註1)を回って撮影した写真を三重県立美術館で展示するという企画展の告知用ポスターとして作られたもの。連れ合いが購入したのは、通常の告知用ポスター(註2)からテキストを省いたものに、三人がそれぞれ署名を入れたもので、限定100部ぐらいだったように記憶する。

告知用ポスターの写真は美術作品の撮影を手掛ける写真家の二塚一徹(ふたづか かずあき)氏によるもので、二見浦の夫婦岩をバックにポーズをとる三人を撮ったもの。印刷は黒と銀の二色刷りで、テキストには金色のインクが使われている。

●作家:Genpei Akasegawa(1937-2014), Yutaka Takanashi(1935-) & Yutokutaishi Akiyama(1935-)
●種類:Poster
●サイズ:1030x730mm
●技法:Offset
●撮影:Kazuaki Futazuka
●発行:Mie Prefectual Museum, Tsu
●限定:ca.100
●制作年:1998

「ライカ同盟」の活動履歴は以下のとおり(2006年迄):

1992年 「ライカ同盟」結成  
1994年 「ライカ同盟」発表会                                     牧神画廊(東京)
1996年 「ライカ同盟 名古屋を撮る」             中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)
       「本朝ヨリガスミ之展」                         コニカプラザ・東ギャラリー(東京〉
1998年 「ライカ同盟 三重視」                               三重県立美術館(三重)
            ”                         中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)
1999年 「ライカ同盟 旧京橋區ライカ町」                        INAXギャラリー2(東京)
2000年 「ライカ同盟 パリ開放」                中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)
2001年 「ライカ同盟写真展 博多来襲」                      三菱地所アルティアム(福岡)
2002年 「ライカ同盟 東京涸井戸鏡展」           中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)
            ”                                       現代美術制作所(東京)
2003年 「ライカ同盟 ラ・徘徊 東京編」               武蔵野美術大学美術資料図書館(東京)
2004年 「ライカ同盟展 ラ・徘徊/ヱ都セトラ」       中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)
2006年 「ライカ同盟展 エンドレス名古屋」         中京大学アートギャラリーC・スクエア(名古屋)



展覧会の題名「ライカ同盟 三重視(さんじゅうし)」には、三つの意味が含まれているとのこと。「ライカ同盟」三人の視点がどう重なり合って、三重(みえ)の町を視たのか、また同じ志(趣味)を持つ三人が町の風景にどう挑むのか、ということから アレクサンドル・デュマの小説「三銃士(Les Trois Mousquetaires)」に懸けていて、なかなか洒落の効いた題名となっている。

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註:

1.”ギャラリーときの忘れもの”のブログに掲載された森本悟郎氏(1994年から2014年3月末日まで中京大学アートギャラリーC・スクエアのキュレーターを務められた)のエッセイ「その後」第23回-『赤瀬川原平(1930-2012)とライカ同盟(3)三重視』によると、三人が連れ立って1997年の4月16日から4泊5日で行われた第一回撮影旅行の行程は:《名古屋-津-松阪-新宮(泊)-熊野-尾鷲-紀伊長島-南島-伊勢(泊)-二見浦-伊勢-松阪(泊)-名張-上野-関-四日市(泊)-桑名-長島-名古屋》となっている。秋山氏は急事により18日に離脱。第二回は8月に高梨氏単独、第三回は10月に赤瀬川、秋山氏両氏によって行われた。

2.
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図版:「ライカ同盟 三重視」展の告知用ポスター(通常版)
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by galleria-iska | 2018-12-08 14:51 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 08月 31日

ジャン・アルプのポスター「Galerie La Hune」(1961)

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普段あまり飲むことの無い炭酸飲料が咽を通るときのチリチリとした感覚が妙に心地よく感じた今年の夏。小さな発見があった。

今回取り上げるのは、1944年に設立されたパリのラ・ユンヌ画廊(Librairie-galerie La Hune, Paris)が彫刻家で、画家兼版画家、そして優れた詩人でもあったジャン・アルプ(Jean Arp, 1886-1966)の版画の広告用に発行したポスター「Arp Estampes」で、アルプが1961年に制作したモノクロの木版画「Idole(偶像)」(註1)が使われている。現在10万円以上の値が付く版画作品と比べポスターの評価は明らかに低い。その原因となっているのは、欧米の画廊が間違ってその技法をリトグラフやシルクスクリーンとし、複製扱いにしているためであろう。実際は木版の原版を使っており、版画用のリーヴ紙(BFK Rives)に刷られている。

このポスターの刷りを行ったのは、ロベール・デュトル(Robert Dutrou, 1930-1999)の工房(Imprimerie Dutrou, Paris)で、彼は1944年、14歳の時にパリの有名な銅版画工房ラクリエール(Atelier de taille-douce Lacourière, Paris)に見習いとして雇われ、創業者のロジェ・ラクリエール(Roger Lacourière, 1892-1906)の下で、熟練した技量を習得し、ジョアン・ミロの信頼を得、その刷りを担当し、銅版画の出版を始めた人物である。デュトルは1952年に結婚、同じラクリエール工房の見習いだったベルギー人の刷り師アルド・クロムリンク(Aldo Crommelynck,1931-2008) と共に工房を創設するが、クロムリンクは1955年、彼の兄弟たちと自身の工房を開く。デュトル夫婦は1960年に入ると、パリのマーグ画廊の創始者である(Aimé et Marguerite Maeght)夫妻に乞われて、財団の銅版画制作のための工房を運営、1966年に彼らの息子アドリアーン・マーグ(Adrien Maeght)の版画工房(Atelier Arte, Paris)となる。デュトルのことを知っておれば、リトグラフやシルクスクリーンという技法は思い浮かばないはずであるが、見た目から拙速に判断してしまい、それが広まってしまうことで、正しい評価を遅らせている。

ジャン・アルプ (本名:ハンス・アルプ)。アルプは1887年、当時ドイツ領であったシュトーラスブルク(Straßburg)生まれ。ドイツやフランスの美術学校で学ぶ。1927年、ナチスドイツに異を唱え、フランス国籍を取得、1940年以降ジャン・アルプと名乗るようになる。そのアルプの独特の有機的なフォルムが何処から生まれてきたのか興味のあるところ。室伏哲郎が著した「版画事典」(東京書籍株式会社、1985年)によると、アルプは「青騎士」、「ダダ」、「シュルレアリスム」の運動に参加。「頭と心に平和と愛の詩を発生させる」というアルプの言葉は、彼を簡素平明な抽象フォルムへと導く。アルプが表現手段を決めず、内的精神の発露に求めるのは、マックス・エルンストとの言うところの『催眠術的言語』によるもので、その内的精神の造形には木版が最適として数多くの木版画を制作しているとある。以前取り上げたことがある、死の直後に刊行された19点の多色刷り木版画集「たがをはめ直された太陽(Soleil recerclé, 1962-1966)」はその好例であろう。

●作家:Jean(Hans) Arp(1886-1966)
●種類:Poster
●題名:Idol(Idole)
●サイズ:728x450mm
●技法:Woodcut(Bois gravé)
●紙質:BFK Rives
●発行:Galerie La Hune, Paris
●印刷:Imprimerie Dutrou, Paris
●制作年:1961
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註:

1.ジャン・アルプのオリジナル木版画「偶像」。1968年にパリのルイ・ブロデ出版(Louis Broder, Paris)から出版された版画集「日々の魔法」(註2)所収。
●Title:Idole:Bois gravé original, signé au crayon par l'artiste,
extrait de l'ouvrage "La Magie Quotidienne(The Daily Magic)"
●Edition:Louis Broder, Paris.
●Tirage:70 épreuves signées + XX épreuves signées
●Papier:Japon
●Dimensions de l'illustration:250x496mm
●Dimensions du papier (ou de la pièce):368x530mm
●Référence:Arntz n° 233

2.版画集「日々の魔法」は9点の銅版画、木版画、リトグラフからなる。サイズ:550x390mm、紙質:ミスミ楮紙(ピカソの作品のみMurier D'Annam紙)。作家と作品名は以下のとおり:
ジャン・アルプ(Jean Arp):Idol (Arntz 233)
ジュルジュ・ブラック(Georges Braque):Oiseau (not in Vallier)
アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti):Young Woman(Lust 192) & Figurines in the Studio(Lust 193)
アンドレ・マッソン(Andre Masson):Untitled (Cramer 79)
ジョアン・ミロ(Joan Miró):Untitled (Dupin 271)
パブロ・ピカソ(Pablo Picasso):Untitled(Bloch 1460)
ジャック・ヴィヨン(Jacques Villon):Untitled(not in G.& P.)
ザオ・ウーキー(Zao Wou-Ki):Untitled(Agerup 111)
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by galleria-iska | 2018-08-31 13:19 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 07月 30日

藤田嗣治のポスター「La Jeunesse:Les Trois Grâces」(1960)

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フランスの戦後復興期にあたる1951年に創設された比較的新しい美術展覧会(サロン)「Peintres témoins de leur temps/Artists Witness their Time(時代の証人・画家展)」は、1908年にウクライナからのユダヤ系移民の子としてパリに生まれ、画家となったイシス・キシュカ(Isis Kischka, 1908-1973)が、美術評論家のジャン・カスー(Jean Cassou, 1897-1986)と学芸員のイヴォン・ビザルデル(Yvon Bizardel, 1891-1981)と共に創設した美術展覧会で、1951年、《労働(Le travail)》をテーマに、アンリ・マチス、ジョルジュ・ルオー、ラウル・デュフィ、モイズ・キスリングらが参加した第1回展をパリのガリエラ美術館(Musée Galliera)で開催する。キシュカは自身も画家でありながら、サロンには出品せず、その運営に力を注いだ。この展覧会の告知用ポスター(註1)はフランスはもとより、日本でも数多く流通しており、リト刷りであることから、今でも人気が高い。今回取り上げるのは、レオナール・フジタ(Léonard Foujita, 1886-1968)こと藤田嗣治が手掛けた第9回展の告知用ポスター(註2)で、《青春(La Jeunesse)》をテーマに、1960年3月から5月にかけてパリのガリエラ美術館にて開催された。今手元にあるのは、テキストが入れられる前のもので、工房に残されていた見本刷りの一枚ではないかと思われる。ポスターの刷りを行ったパリの石版画工房、ムルロー(Imp. Mourlot, Paris, 1852~1997)の三代目のオーナーであったフェルナン・ムルロー(Fernand Mourlot, 1895-1988)の息子ジャック・ムルロー(Jacques Mourlot, 1933-)が1997年に引退し、経営権が譲渡された際に市場に流れた可能性が高い。版画やポスターは、試し刷りや予備を含めて、ある程度の刷り増しが存在するのだが、工房や刷り師、あるいは画家本人が換金のために売却(横流し?)することもあるようだ。ましてや工房自体が人手に渡るとなれば尚の事。フランスでは《affiche avant la lettre》として紹介され、収集家が珍重するので、必然的に割高となる。

藤田は告知用ポスターのために、同展への出品作の「花の洗礼(Baptême de fleurs)」をもとにオリジナル・リトグラフ「三美神(Les Trois Grâces)」を制作。ポスターと平行して版画ヴァージョンも二種類制作。ひとつはポスターと同じモノクロームの刷りで、リマーク(remarque)が入れられており、もうひとつは、多色刷りのリトグラフとなっている。晩年の藤田の描く女性像、中でも頭部(このポスターでは中央の女性)は、ある意味パターン化しており、少女も成人女性も、同じモデルというか、理想化された容貌を繰り返し描いている。

●作家:Léonard Tsuguharu Foujita(1886-1968)
●種類:Poster
●題名:La Jeunesse:Les Trois Grâces
●サイズ:782x560mm(728x479mm)
●技法:Lithograph
●印刷:Imp. Mourlot, Paris
●制作年:1960
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                     藤田(Foujita)の版上サイン





註:

1.展覧会の告知用ポスターの制作に携わった画家たち(判明分):

開催年  画家名                                     テーマ
-------------------------------------------------------------------------------------------------

1951年:フェルナン・レジェ(Fernand Leger).................................Le travail
1952年:(開催されず)............................................................(pas de salon)
1953年:アンリ・マチス(Henri Matisse).......................................Le dimanche
1954年:ラウル・デュフィ(Raoul Dufy)........................................L'homme dans la ville
1955年:ヴァン・ドンゲン(Kees Van Dongen)...............................Le bonheur
1956年:パブロ・ピカソ(Pablo Picasso).......................................Réhabilitation du portrait
1957年:ジャック・ヴィヨン(Jacques Villon)...................................Le sport
1958年:ベルナール・ビュッフェ(Bernard Buffet)............................Les parisiennes
1959年:アンドレ・ロート(André Lhote)........................................L'âge mécanique
1960年:レオナール・フジタ(藤田嗣治)(Léonard Foujita)..................La jeunesse
1961年:ジョルジュ・ブラック(二種類)(Geroges Braque)...................Richesses de la France
1962年:ベルナール・ビュッフェ(Bernard Buffet)............................Routes et chemins
1963年:マルク・シャガール(Marc Chagall)...................................L'événement
1964年:ヴァン・ドンゲン(Kees Van Dongen)................................L'amour
1965年:-..........................................................................Le pain et le vin
1966年:ジャン・カルズー(Jean Carzou).......................................Les français
1967年:イヴ・ブライヤー(Yve Brayer).........................................La chanson
1968年:ベルナール・ビュッフェ(Bernard Buffet).............................L'année 1967
1969年:ベルナール・ビュッフェ(Bernard Buffet)............................ Art et travail
1969年:-..............................................La recherche et les conquêtes de la science
1970年:コンスタンチン・テレスコヴィッチ(Constantin Terechkovitch)....Le rêve
1971年:-...........................................................................Beautés de l'Europe
1972年:アンドレ・ミノー(André Minaux).......................................Que l'homme figure ...
1973年:ジャン・ジャンセム(Jean Jansem).....................................La vie des choses
1974年:-...........................................................................La rue
1975年:イシス・キシュカ(Izis Kischka)........................................Comme il vous plaira
以下省略

2.
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図版:第9回「時代の証人・画家展」の告知用ポスター。725x476mm。
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同展の招待状
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図録(特装版)
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扉絵
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by galleria-iska | 2018-07-30 21:28 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 05月 08日

ポール・デルヴォーのポスター「Paul Delvaux œuvre gravé - grafishe werk」(1972)

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ルネ・マグリット(Rene Magritte, 1898-1967)とともにベルギーのシュルレアリスムを代表する作家ポール・デルヴォー(Paul Delvaux, 1897-1994)が本格的に版画制作に取り組むのは、齢70間近(日本で言えば古希ということになる)の1965年後半からで、その制作方法は、版画工房に入り、石版に直接描画するというものではなく、転写紙を用いたものが大半である。それはベルギーのブリュッセルから版画工房のあるパリまで出掛けることさえ“彼にとっては何週間も考えあぐんでしまう大旅行”といわれる程であったからのようだ。版元となったのは美術史家のミラ・ジャコブ(Madame Mira Jacob Wolfovska, 1912-2004)が1955年にパリ六区セーヌ通りに開いた、19世紀後半から20世紀のデッサンや水彩、版画を専門とする画廊バトー・ラボワール(Galerie le Bateau-Lavoir, Paris)(註1)であった。リトグラフの刷りはムルロー工房で行われている。

今回取り上げるのは、日本では滅多に紹介されることのない、ジェームズ・アンソール(James Ensor, )がその生涯の大半を過ごしたベルギーのフラマン語圏に属する北海沿岸の海岸リゾート地、オースデンデ(Oostende)の画廊(Galerie L'Orangerie, Oostende)で1972年に開催されたデルボーの版画展(Paul Delvaux œuvre gravé - grafishe werk)の告知用ポスターである。テキストはフランス語とフラマン語の併記となっている。このポスターには通常版(註2)と限定版の二つヴァージョンがあり、今回のものは限定版の方で、展覧会のオープン時にされたものと思われるのだが、デルヴォーがボールペンを使って署名と日付を書き入れている。契約画廊との版権の問題によるものかもしれないが、ポスターには版画作品ではなく、デルヴォーの原画が使われており、印刷には、ライン・ブロックと呼ばれる、凸版エッチングに写真製版を用いた技法が使われている。

●作家:Paul Delvaux(1897-1994)
●種類:Poster
●サイズ:496x321mm
●技法:Line block
●発行:Galerie l'Orangerie, Oostende
●限定:125 + 10 H.C.
●制作年:1972
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                      《P. Delvaux, Oostende le 5 8(Aout), '72》
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註:

1.画廊の名前は20世紀初頭に、ピカソやモジリアーニ、ヴァン・ドンゲンらの画家が居住しアトリエを構えたモンマルトルにあった安アパート“洗濯船(Le Bateau-Lavoir)”から取られている。洗濯船と名づけたのは詩人で、画家、評論家でもあったマックス・ジャコブ(Max Jacob, 1876-1944)。故ジャコブ女史の交友関係は、画家や詩人、評論家(Georges Braque, Marc Chagall, Alberto Giacometti, Paul Delvaux, André Breton, René Char, Jean Paulhan, Jean Cassou)など多岐に渡っている。

2.
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図版:テキストの配置を変えてデザインされた通常版のポスター、470x320mm。



.
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by galleria-iska | 2018-05-08 19:59 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 04月 18日

サム・フランシスのポスター「Sam Francis Métaphysique du vide(II)」(1986)

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今回取り上げるのは、前回取り上げたポスターと対になるポスターで、こちらもパリの出版社フランシス・ドリル(Éditions Francis Delille, Paris)が、美術にも造詣の深いフランスの著作家ミシェル・ワルドベルグ(Michel Waldberg, 1940-2012)が1986年に著したアメリカの抽象表現主義に流れを汲む作家サム・フランシス(Sam Francis, 1923-1994)の1951年から1986年までの油彩とアクリルのよる絵画作品集「Sam Francis Métaphysique du vide」(Coll. Philosophie de Arts)の刊行に合わせて、広報用に出版したオリジナル・リトポスターである。同じ出版社から同年出版されたサム・フランシスのリトグラフによる6点組の版画集「Michel Waldberg:Poèmes dans le ciel」 所収の作品(Untitled, Lembark 273)(註1)と同じ版を用いて刷られている。印刷はパリのデジョベール工房(Atelier d'Art Desjobert, Paris)で行われ、通常のポスター用紙ではなく、透かしが入っていないので特定はできないのだが、薄手の版画用紙が使われている。

こちらのポスターでは、大きな余白は取られておらず、画面の中央付近を斜めに横切る抽象表現主義的な太く力強い描線が、ドリッピングによる即興性や偶然性に支配される空間に楔を打ち込んでいる。この作品を見ていると、サム・フランシスの技法は、染みのような表現を特徴とするタシシムのようなフランスのアンフォルメルを基点に、ジャクソン・ポロックのドリッピングの手法と抽象表現主義運動の創設者とされるロバート・マザーウエル(Robert Motherwell, 1915-1991)などのような無意識(Spontaneous)の描線などがミクスチュアされ、そこに東洋的な間(余白)の美学を加えることで他者にはないスタイル(画風)を築き上げたと見るべきか。とすると、鮮烈な色彩は逆にその間にある白を意識させるための演出として見ることもできるのかもしれない。

●作家:Sam Francis(1923-1994)
●種類:Poster
●題名:Sam Francis Métaphysique du vide(2)
●サイズ:843x558mm
●技法:Lithograph
●印刷:Atelier d'Art Desjobert, Paris
●発行:Éditions Francis Delille, Paris
●制作年:1986
●目録番号:Lembark 273(bis)
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註:

1.
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図版:リトグラフによる6点組の版画集「Michel Waldberg:Poèmes dans le ciel」 所収の作。Untitled(Lembark 273) from the portfolio "Michel Waldberg Poèmes dans le ciel" printed in colours, on Rives, signed in pencil, numbered(the total edition was 176), with text by Michel Waldberg, the set as published by Philosophie des Arts, Paris. 755 x 560mm

参考文献:

「The Prints of Sam Francis. A Catalogue Raisonné 1960 - 1990」(2vols)Francis, Sam and Connie W. Lembark. Introduction by Ruth E. Fine. Published by New York, Hudson Hills Press, 1992. Vol. I: Lithographs. Vol. II: Intaglio Prints, Screenprints, and Posters.
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by galleria-iska | 2018-04-18 19:03 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 04月 18日

サム・フランシスのポスター「Sam Francis Métaphysique du vide(I)」(1986)

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今から思うと随分と羽振りの良かった(?)1980年代後半に手に入れたこのポスター、一度は手放したものの、まわりまわって無事(?)帰還と相成った。パリの出版社フランシス・ドリル(Éditions Francis Delille, Paris)が、シュルレアリスムの美術評論家として知られるパトリック・ワルドベルグ(Patrick Waldberg, 1913-1985)を父に持つ著作家のミシェル・ワルドベルグ(Michel Waldberg, 1940-2012)が1986年に著したアメリカの抽象表現主義の流れを汲むサム・フランシス(Sam Francis, 1923-1994)の1951年から1986年までの油彩とアクリルのよる絵画作品集「Sam Francis Métaphysique du vide」(註1)の刊行に合わせて、広報用に出版した2点組のオリジナル・リトポスターのうちのひとつ。同じ出版社から同年出版されたサム・フランシスの6点組の版画集「Michel Waldberg:Poèmes dans le ciel」 所収の作品(Untitled, Lembark 271)と同じ版を用いて刷られている。印刷は1960年代に菅井汲のリトグラフの刷りを手掛けたパリのデジョベール工房(Atelier d'Art Desjobert, Paris)が行っており、通常のポスター用紙ではなく、透かしが入っていないので特定はできないのだが、薄手の版画用紙が使われている。この工房は油絵の重厚感を意識したような少々重たい刷り上りを特徴とするムルロー工房とは異なり、その色抜けの良さが現代美術の作家に好まれたようである。

西洋人に取って意味を持たない空白を我々東洋人は余白として捉え、そこに大気や間というような形而上学的な空間を見出す。その美意識を学んだサム・フランシスは、筆を用いないドリッピングの手法を取り入れながらも、ポロックのようなオールオーバーな画面とは明らかに異なる作品を描き出している。余白そのものが中心(主題)となったこのポスターにはその特徴が顕著に現れている。


●作家:Sam Francis(1923-1994)
●種類:Poster
●題名:Sam Francis Métaphysique du vide(I)
●サイズ:860x560mm
●技法:Lithograph
●印刷:Atelier d'Art Desjobert, Paris
●発行:Éditions Francis Delille, Paris
●制作年:1986
●目録番号:Lembark 271(bis)
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註:

1.
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図版:ミシェル・ワルドベルグ著「サム・フランシス 空白の形而上学」1986年の書影。Michel Waldberg 「Sam Francis Métaphysique du vide」(coll. Philosophie des Arts), Francis Delille, Paris, 1986, 205pp.,232x167mm

参考文献:

「The Prints of Sam Francis. A Catalogue Raisonné 1960 - 1990」(2vols)Francis, Sam and Connie W. Lembark. Introduction by Ruth E. Fine. Published by New York, Hudson Hills Press, 1992. Vol. I: Lithographs. Vol. II: Intaglio Prints, Screenprints, and Posters.
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by galleria-iska | 2018-04-18 18:58 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 03月 27日

アンディ・ウォーホルのポスター「Space Fruit: Cantaloupes II」(circa 1979)

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懐かしいポスターが出てきた。ポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1987)が1979年に手掛けたシルクスリーンによる6点組の連作版画「スペース・フルーツ:静物(Space Fruit: Still Lifes)」所収の作品《Cantaloupes II》(F.S.198)を用いた版元の広告ポスター(註1)である。別の画廊の名前を入れた広告ポスターも同時に作られており、それらには(Cantaloupes I, Peaches, Watermelon)が使われている。またそれとは別に、版元の異なるオフセット印刷の別ヴァージョン(737x584mm/29"x23")も数種存在しており、少々紛らわしくなっている。

この連作版画を見たとき、ウォーホルが何でこんな作品を制作したのだろうかと訝しく思ったものだが、もう一人のポップ・アートの雄、ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)が1974年に出版したリトグラフとシルクスクリーンによる6点組みの連作版画「Six Still Lifes Series」を意識したのだろうか。ウォーホルはこの連作版画を17世紀オランダで花開いた絵画のジャンルである“静物画”として取り組んでいる。とは言え、そこに何らかの象徴性や寓意が盛り込まれているわけではなく、構図、色彩、空間といったものに対するウォーホルなりの解釈と言えよう。ただ、二つに切り分けられたメロンの断面は性的なイメージを彷彿させなくもない。依頼主のマイケル・ジヴィアンはこの連作版画の制作に当時の金額で80万ドル(註2)、邦貨に換算すると一億九千二百万円を支払ったとあるのだが、本当にそうなのだろうか。もしそうだとすると、この連作版画(限定150部+XXX)の出版時の価格は2千5百ドルなので、販売数に応じて段階的に価格を上げていく方法を採っていなければ、まったく採算に合わない。因みに十年後の1989年には2万5千ドルまで値上がりしている。

●作家:Andy Warhol(1928-1987)
●種類:Poster
●題名:Space Fruit: Cantaloupes II
●サイズ:712x560mm/28"x22"
●技法:Lithograph
●発行:Michael Zivian Gallery, New York
●制作:circa 1979
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註:

1.
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図版:この連作版画の版元であるニューヨーク市のマイケル・ジヴィアン画廊(Michael Zivian Gallery, New York)が1981年(?)に発行した4種類のポスターの販売広告。価格は一枚30ドル($30=JPY7,200)で、送料は30ドルとあり、当時としては幾分高めの設定である。日本へは1980年代の後半、アートポスターはうちが取り仕切ると豪語した国内の額縁メーカーよって紹介されたように記憶する。版画と同じシルクスクリーンではなく、リトグラフで印刷されているのだが、それでもなかなか見応えのあるポスターであったので、4種類全て揃えたのだが、知り合いのお店の開店の際に頼まれ、その内の3点を、インテリアとして、版画のように額装して飾ってもらった。切り離したテキスト部分は、捨てるには惜しく、取ってあったのだが、何処にしまいこんだのか思い出せなくなってしまった。

2.内側から見たアンディー・ウォーホルに関する著作《Holy Terror Andy Warhol Close Up》に次のような記述がある(以下引用)
"The dealers, as usual, paid Andy in advance, probably splitting the $800,000 that Fred(Fred Hughes, Warhol's business manager) had set as the minimum for an Andy Warhol series. That was the amount the Michael Zivian Gallery in New York, paid for the Space Fruits series it commissioned and exhibited in May 1979."(from 「Holy Terror: Andy Warhol Close Up」 by Bob Colacelle, Harper-Collins Publishers, 1990)

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by galleria-iska | 2018-03-27 18:39 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2018年 01月 21日

ルフィーノ・タマヨのポスター「Tow Hundret Years of American Growth 1776-1976」(1976)

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20世紀メキシコの画家ルフィーノ・タマヨ(Rufino Tamyo,1899-1991)のポスター「Two Hundred Years American Growth 1776-1976」を出版したニューヨーク市のトランスワールド・アート(Transworld Art, Inc., New York)は1968年、アレックス・ローゼンバーグによってニューヨーク市に設立された現代美術の版元。アレクサンダー・コールダー(Alexander Calder, 1898-1976), サルヴァドール・ダリ(Salvador Dali, 1904-1989), ロメア・ベアーデン(Romare Bearden, 1911-1988), ヘンリー・ムーア(Henry Moore, 1898-1986), マーク・トビー(Mark Tobey, 1890-1976)、 ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg、1925-2008))など数多くの作家の版画やポートフォリオ、マルチプルを出版したが、現在は、アレックス・ローゼンバーグ・ファイン・アート(Alex Rosenberg Fine Art)と名称を変え、版元として、また、その知識と経験を活かし、鑑定家としても活動を行っている。トランスワールドの頃から版画を購入していたが、当時の米ドルの為替レートは現在の二倍以上しており、購入にはなかなかの決断を要した。ところが、1980年代の後半、あるいは1990年代に入っていただろうか、ある日突然、名称変更に伴う在庫セールの案内と価格表が送られてきた。それでやっとヨーロッパの版元の価格との釣り合いが取れ、何度か注文をだした覚えがある。今回取り上げるタマヨのポスターを初めとして、ダリやアペル、ヘンリー・ムーアのポスターも出していたはずで、価格は概ね25ドルだったように思う。タマヨのポスターは、時を経て風化した壁画のようにも見えなくもないが、描かれた人物が靄の中に隠れ判然としないのが嫌われてか、10ドルという半値以下の価格が付けられていた。現在の価格は300ドルぐらいだが、果たしてどうなのだろうか。

●作家:Rufino Tamyo(1899-1991)
●種類:Poster
●題名:Two Hundred Years of American Growth 1776-1976
●サイズ:649x498mm
●技法:Lithograph
●印刷:Imprimerie Mourlot, Paris
●発行:Transworld Art, Inc., New York
●制作年:1976
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ポスターとは別に、限定175部のリトグラフの版画ヴァージョン「Hombre Oscuro」も出版され、アメリカ建国200周年の1976年に同社が出版したポートフォリオ「An American Portrait 1776-1976」に収められている。ポスター、リトグラフ共に、パリのムルロー工房(Imprimerie Mourlot, Paris)で刷られている。トランスワールド・アートはこの年、タマヨが開発したミクソグラフィア(Mixografia)を7点一気に出版している。

タマヨは1899年、メキシコ南部のオアハカ(Oaxaca)に生まれる。1917年、国立サン・カルロス美術学校(San Carlos Academy of Fine Arts)に入学するが、才能ある者の常か、一年通い、その後の三年は独学で絵を修得し、籍を離れる(卒業?)。1921年、メキシコ市にある国立民族学博物館の民族誌学部長に就任、そこでプレ・コロンビアンの物品に囲まれ、その後の制作の根底を成すプレ=コロンビアン(pre-Columbian:1532年のスペイン人の征服以前のアメリカ先住民)の象徴性の高い品々に囲まれ、次のように語っている。以下引用
:"It opened my eyes putting me in touch with both pre-Columbian and popular arts. I immediately discovered the sources of my work -- our tradition."
1926年、ニューヨークを訪れ、1919年設立の版画を専門とするウェィヘ画廊(Weyhe Gallery, New York)で最初の展覧会を開催、二年後の1929年、メキシコに戻るが、壁画家たちに受け入れられない主題がブルジョア的で迎合的であると思われ、絵画的なリアルとは何かを学ぶために、1937年、再びニューヨークに渡り、1949年まで制作活動を行う。彼の周囲には、マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887-1968), スチュアート・デイヴィス(Stuart Davis, 1892-1964), レジナルド・マーシュ(Reginard Marsh, 1898-1954)や国吉康雄(Yasuo Kuniyoshi, 1889-1953)といった画家たちがいた。1949年、今度はパリに移住、版画作品も数多く制作、1959年には挿絵本の代表作ともいえる「聖ヨハネの黙示録(Apocalypse St. Jean)」(名古屋市美術館が所蔵している)も制作している。その年、メキシコに帰郷、1991年、メキシコ市で没する
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by galleria-iska | 2018-01-21 18:01 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2017年 08月 02日

奈良美智展の案内「Yoshitomo Nara for better or worse」(2017)

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                         2017年新作「Midnight Truth」

少し前のことであるが、連れ合いが、現在愛知県豊田市の豊田市美術館で開催中の展覧会「奈良美智 for better or worse - Works 1987-2017」の案内を頂いてきた。案内は四つ折りで、海外の画廊が展覧会の際に使うメイラー(Mailer)によく見られる、開くとポスターになるようにデザインされている。制作中(?)の新作「Midnight Truth」が置かれたスタジオを撮影したのは森本美絵(Mie Morimoto, 1974-)という若手写真家で、彼女は制作中の奈良美智(Yoshitomo Nara, 1959-)氏とその制作風景を撮影した写真集も出しているとのこと。奈良氏の作品は注目の現代美術作家ということで、テレビや雑誌で見にすることはあるが、絵画作品(タブロー)は未だ目にしたことがない。田舎に住んでいると、都会に出て行かないかぎり、画廊でのリアルタイムの経験というものは先ず無く、数年のタイムラグが必ず付いて回る。奈良氏の作品についても、東京あたりで突然火が付いことは全く知らず、しばらく経って、知り合いの画商が見せてくれた、奈良氏の作品を特徴付ける、愛らしく可愛い仕草のキャラクターとは真逆の、悪い子ぶってこちらを釣り目で睨みつける女の子を描いた小さなドローイングによって、ようやくその存在を知ったのである。たったそれだけのことで、後はあずかり知らぬ世界での出来事のように時が流れ、やがて世界でも注目される現代美術の作家となって再び現れた。当然のことながら、絵画作品は全く手の届かないところに行ってしまい、唯一の接点と言えるのは、東京の森美術館に行った連れ合いが、お土産として買ってきてくれた「グミガール」だけである。自分としてはこの「グミガール」の容器を、遠くは1963年にオランダの版画家エッシャー(Maurits Cornelis Escher, 1898-1972)がデザインして作られた製缶メーカー、フェルブリファ社の創立75周年を記念するブリキ製のキャンディ缶「Icosaëder(Verblifa Tin Can)」(註1)、近くは村上隆の“食玩”(こちらは未だ、オタク文化の象徴的存在であるフィギュアの呪縛から解き放たれておらず、美術界からのアプローチには疑問が呈されるかもしれない)に通じる、一種のマルティプルと見ていたのだが、作家が変わればその意図も変わるのか、「グミガール」は今も生産が続けられ、キャラクターグッズとしての商品価値の方が優先されてしまっているように見える。エッシャーのキャンディ缶がクリスティーズ等のオークションにマルティプルとして登場するにも35年の時を要したことを考えると、「グミガール」の容器も、その第一義的な意味が剥ぎ取られるまでには、まだまだ多くの時間を要すことになりそうである。それまで生きているとは思えないが。

そんな繰言はさておき、連れ合いはどうしても豊田市美術館の展覧会場に足を運びたい様子である。ただ、入場料はもちろん、田舎から都会に出るにはそれなりの費用が掛かる。そのやり繰りをどうするか、思案に暮れる毎日である。NHKの日曜朝の番組で特集でも組んでくれないかと、淡い期待を抱いているのだが。そういえば、以前、山梨県にあるキース・ヘリング美術館からお誘いを受けたが、旅費等に掛かる費用を工面することが出来ず、未だに訪れていない。貧者は-自己責任と言われればそれまでだが-そうやって文化から疎外されていくのであろう。

●作家:Yoshitomo Nara(1959-)
●種類:Leaflet
●サイズ:297x210mm(594x420mm)
●技法:Offset
●写真:Mie Morimoto(1974-)
●発行:Toyota Municipal Museum of Art, Toyota
●制作年:2017
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註:

1.エッシャーのキャンディ缶
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●作家:Maurits Cornelis Escher(1898-1972)
●題名:Icosaëder(Icosahedron)
●サイズ:140x140x140mm
●技法:Printed tin box with embossed relief
●限定:6800 + 300 were produced to replace any defects
●発行:Verblifa(De Vereenigde Blikfabrieken), Krommenie
●制作年:1963

オークションハウスでの落札値:
1998年:Christie's Amsterdam.......US $456(€ 395, Dfl.865)
2012年:Christie's Amsterdam.......US$7,907(€ 6,000)
2013年:Venduehuis Den Hagg......US$1,060(€800)
2014年:New Art Editions..............US$1,425(€ 1,075)
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by galleria-iska | 2017-08-02 20:24 | ポスター/メイラー | Comments(0)
2017年 02月 03日

ジョアン・ミロのポスター「Poster for the exhibition 'Joan Miró' Tokyo-Kyoto」(1966)

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ビートルズが来日した1966年、現在はフィルム・センターとなっている東京・京橋の国立近代美術館とその京都分館で、20世紀スペインの画家、彫刻家、版画家のジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893-1983)の大回顧展「ミロ展:ユーモアと夢とよろこびと」(註1)が開催された。これはその展覧会のポスターとして制作されたものであるが、実際に告知用ポスターとして採用されたものは、ミロが展覧会のために制作したグアッシュによる作品を用いたオフセット印刷のポスターである。ミロは当初、日本国内でリトグラフ・ポスターの制作が行えると思っていたようなのだが、その当時日本にはムルロー工房にあるような機械刷りのための設備がなかったため、グアッシュによる原画を制作したのである。今から10年ぐらい前に、実際に掲示されたものを手に入れたことがあるが、コレクターに譲ってしまったため、今は手元にない。また記録用にと保存しておいた画像も、PCのOSが壊れた際に消失してしまった。

日本を代表するグラフィック・デザイナーのひとり、原弘(Hiromu Hara, 1903-1986)が文字入れを行ったこのポスター、現在、幻のポスターとしてコレクターズ・アイテムとなっており、数年前に、ニューヨーク市のポスター・オークション会社から出品されたことがあったが、なかなかの評価であった。現在、東京国立近代美術館の他に、ポスター収集に力を入れている武蔵野美術大学の美術館・図書館が所蔵しているので、興味のある方はそちらに問い合わせてみて欲しい。

今回取り上げる方のポスターは、ミロの好意で制作されたもので、ミロの契約画廊であったパリのマーグ画廊Galerie Maeght, Paris)のリトグラフ工房(Arte Adrien Maeght, Paris)で印刷されている。文字の部分は日本国内でシルクスクリーン印刷で入れられているためであろうか、印刷所名《(Imprimerie)Arte Paris》の記載がない。出版は毎日新聞社(Mainichi Newspapers, Tokyo)である。ポスターの他に、35部限定で、ミロの署名入りの版画ヴァージョンも作られている。

私事であるが、撮影に使っている200万画素のコンパクトカメラは、今や骨董品とも言えるもので、解像度が低く、特に赤い背景の上に刷られた文字は地に溶け込んでしまい、判読できなくなってしまう。連れ合いが持っている1200万画素のコンパクトカメラを借りることも出来るのだ、自力(?)で購入するつもりでいるので、もう何年も(!)、やせ我慢を続けている次第。

●作家:Joan Miró(1893-1983)
●種類:Poster
●サイズ:395x575mm
●技法:Lithograph(Image)+Silkscreen(Text)
●発行:The Mainichi Newspapers, Tokyo
●印刷:Arte Adrien Maeght, Paris
●制作年:1966(?)
●目録番号:Mourlot 504a,(poster catalogue raisonné): 「Malmö Konsthall, Joan Miró - posters - affischer, Malmö 1993」31
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図版:ポスターの原画を制作中のミロを捉えた写真をダストカバーに用いたフランスの美術専門誌『二十世紀(XXe siècle)』のミロ特集号「Hommage à Joan Miró」(1972)
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図版:(左)ポスターと同時に制作された限定35部の版画ヴァージョン(原画に呼応している)、(右)ポスター


註:

1.「ミロ展:ユーモアと夢とよろこびと」(会期・会場・主催: 1966年8月26日-10月9日 国立近代美術館 10月20日-11月30日 国立近代美術館京都分館、国立近代美術館、毎日新聞社)

図録「ミロ展」:ミロ展カタログ編集委員会, 国立近代美術館, 毎日新聞社編/毎日新聞社/1966年/256x240mm
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by galleria-iska | 2017-02-03 19:06 | ポスター/メイラー | Comments(0)